激務なコンサルタントでありながら、不動産投資家として本業の年収の何倍もの金額を稼ぎ、“億超え”の資産を築く。連載『資産“億超え”の兼業投資家が教える「時間レバレッジ」のかけ方』では、石川貴康さんがいかにして時間を生み出し、資産を増やし続けているのかを実例を交えて紹介してもらう。
第14回のテーマは「プロジェクト型仕事の“型”を押さえて、時間をムダにしない」である。ルーティン型仕事が減り、プロジェクト型仕事が大半になってきている現代、プロジェクトマネジメントができるようになれば、時間に加え人やお金もムダにしない働き方ができるようになる。プロジェクト型仕事の“型”となる8つのステップを詳しく紹介する。
仕事はルーティン型とプロジェクト型の2種類
仕事の形態はルーティン型とプロジェクト型の大きく2つに分類できる。ルーティン型とは、繰り返し行われる決まりきった仕事、定期的な仕事だ。例えば、経費精算や各種申請、給与計算、営業報告会議などである。主に、固定的な組織内でルーティン仕事は処理されていく。繰り返し性が高い仕事だ。
一方、プロジェクト型とは、目的に対して体制や仕事がその都度構築され、期限を切って行われる仕事だ。まさに、システム構築プロジェクト、新製品開発プロジェクト、セールスプロモーションプロジェクトなどである。
プロジェクト型で進める仕事が圧倒的に増えている
変化が激しい現代では、仕事はすべからくプロジェクト型になってきている。一方で、システム化によってルーティン仕事の重要性は薄れつつある。プロジェクトでは多くの場合、組織を横断してチームを組み、仕事を進めることになる。
個人の仕事もプロジェクト化してきている。個人の作業自体も複雑化し、目的に従って、他組織を動かしながら成果を生まなければならない。しかも、人や他の組織と連携して仕事を進めなければならなくなってきているのだ。
さらに、自社内の組織どころか、他社であるパートナー企業やシステムベンダー、仕入先なども動かなければならない仕事も増えている。ひとり、一部署だけで完結する仕事は少なくなっており、そうした仕事の価値は低くなっている。仕事はすべからくプロジェクト化しているのだ。
こうした背景を踏まえ、まずプロジェクト型仕事の定義をしてみよう。
プロジェクト型の仕事とは、「達成すべき目的を設定し、目標達成に適した体制を組んで、期限内、予算内に、品質を担保した仕事を行い、目的と目標を達成すること」である。
つまり、有期の活動を有限の予算と人で推進したうえで、目標を達成し、目的を遂げることがプロジェクト型の仕事なのである。仕事の中身は、プロジェクトごとに設定するため、ルーティン作業ではできない。作業内容を考えて、プランすることが必要なのだ。
実際、企業活動も、仕事外の私的な活動でさえもプロジェクト化してきている。複数の多様なバックグラウンドを持つ人と仕事をする場合、プロジェクトとして捉えて人をまとめなければならない。しかし「とにかく人だけ集めて、やることを考えろ」式のやり方となっている場合が多い。これでは、まともな成果は生み出せない。
プロジェクト型仕事の“型”を知らない日本人
実際、多くの企業でプロジェクトという名前は付いているものの、単に人を集めただけの活動が行われている。たいてい何の成果も生まず、いつの間にか活動自体が立ち消えているだろう。まさに、時間のムダ、人のムダ、金のムダだ。
そもそも日本企業では、プロジェクト型仕事の推進方法が教育されていない。学んでさえもいない。その結果、プロジェクトと称して人だけ集め、ミーティングで毎回右往左往して、何をすべきかでもめて、さらに役割分担でもめて終わりだ。
仕事のほとんどがルーティン型ではなくなったというのに、これでは、いくら時間があっても、いくらお金をかけても、何も達成されず、時間とお金がムダになる。
逆に言うと、プロジェクト型仕事の“型”を学んで身に付けて、プロジェクトプランを作って仕事を回していけば、時間を有意義に使えるうえに、短時間、低コストで目標達成ができるのである。
私がたったひとりで4〜5つのプロジェクトを同時に回しながら、不動産投資を行い、本やコラムが書けるのは、本業を中心としたプロジェクトプランを立てるスキルがあるからだ。
プロジェクト型仕事の進め方の要点を知ることは、時間レバレッジにもつながるため、ここで皆さんに紹介したい。少し難解な話に感じられるかもしれないが、お付き合いいただければうれしい。
プロジェクト型仕事は8ステップで進める
プロジェクト型仕事の“型”は以下のような作業ステップになる。
- 目的の設定
- 目標の設定
- 期限の設定
- 予算の制限設定
- 体制の確定と人の確保
- タスクの洗い出しと割り付け
- タスク進捗の追跡方法
- 課題対応方法
プロジェクト型仕事では、始める前に上記8つの作業ステップを終わらせてプランを立てる。その後はプランに沿って粛々と進めるのみだ。この一連の作業は「プロジェクトプラン」と呼ばれる。作ったプランどおりに進めていくことで、ムダなあつれきを取り去り、物事をスムーズに遂行するのだ。