2019年の10月に関東地方や東北地方を襲った台風19号は、日本の各地に甚大な被害をもたらしました。死者は90人に上り、71の河川で決壊が起きるなど、改めて台風や水害の恐ろしさを見せつけられました。

台風が年々強力になっているのは地球温暖化よる海水温の上昇が関係していると指摘されていますが、その仮説に従うと、今後も巨大台風が日本に来襲することが大いに考えられます。こうした台風の巨大化、強力化は、不動産投資にも少なからず影響を与えます。そこで本稿では、巨大台風の不動産投資に与える影響と、その影響に対する今後の不動産投資のあり方について考察してみたいと思います。

大都市の脆弱性に加えて「タワマン」のリスクが顕在化

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(写真=Joel_420/Shutterstock.com)

台風に限らず、大都市が自然災害に対して脆弱であることはたびたび指摘されています。そんな中、台風19号によって脆弱性がとりわけ浮き彫りになったのが、武蔵小杉のタワーマンションで起きた浸水被害です。

武蔵小杉にあるタワーマンションの地下にある電気設備が浸水によって故障し、停電が発生しました。
タワーマンションではさまざまなインフラが電力によって稼働しており、停電になってしまうと照明や家電が使えないだけでなく、電力で稼働していた上下水道も使えなくなってしまったのです。その結果、トイレすら使えない事態が発生したのは人が生活していく上で不可欠の機能が欠如したということで、影響は深刻でした。

不動産の優等生だった武蔵小杉で起きたこと

武蔵小杉というと、「住みたい街ランキング」でも上位となっているエリアであり、その人気ゆえに不動産価格の相場も高めで、富裕層が多く住む「セレブタウン」という異名もあるほどです。実際、現地ではその人気に応えるようにタワーマンションが林立する風景を臨むことができます。

今回の台風19号が武蔵小杉で引き起こした水害は、そんな武蔵小杉の人気に文字通り冷や水を浴びせる結果となりました。天災リスクが顕在化したと見る人もおり、停電被害が発生したタワーマンションを含め、不動産の売却を検討する住人もいるでしょう。

不動産の価格相場は需給のバランスで決まります。今後は武蔵小杉というブランド価値だけでなく天災リスクを意識する人が増えることが予想されるため、資産価値に黄信号が灯るおそれも否めません。

物件選びに付け加えるべき「自然災害リスク度」

今回の台風被害が教えてくれたのは、地震だけでなく、台風や集中豪雨といった水による災害リスクも大きな被害をもたらすという事実です。地震への備えは声高に叫ばれているため、高い関心を持っている人が多いのですが、台風や豪雨がここまでの被害をもたらすというのは想定外だった、という人も多いことでしょう。

天災において不動産投資家が留意すべきなのは、投資を検討している地域、またはすでに物件を所有している地域の水害リスクについてです。巨大地震による津波到達リスクだけでなく、河川からの距離や高低差、さらにそこで昔に大きな水害が発生したことはないかといったリスク情報を収集、考慮する必要があります。

巨大地震については「〇〇年に一度」といったように数十年、数百年単位の周期で発生が危惧されていますが、台風の巨大化は今後毎年起こりうるリスクです。2019年の11月には中心気圧が905ヘクトパスカルという猛烈な台風23号が発生しました。日本に接近しなかったため被害は発生しませんでしたが、気象庁によると11月にこれだけの台風が発生するのは珍しいとされています。

大規模な台風被害に備えた不動産の所有を

今後、未曾有の台風が日本に来襲したらと思うとゾッとするわけですが、それが来年、再来年に起きないという保証はありません。不動産を所有するということは自然災害のリスクと向き合う必要があるという基本に立ち返って、台風や水にも強い地域を考慮した物件選びを心掛けたいものです。(提供:Incomepress

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