前日の海外時間では、米中通商協議の進展期待が高まり、前日高値に迫る109.15円付近までドル円は反発しました。東京時間に、中国と米国が26日に電話協議、第一段階巡る話し合い継続で合意とのヘッドラインが流れ、ドル円は一時109.207円まで上値を拡大しましたが、本日はこのラインの上抜けなるかどうかが注目されます。トランプ大統領が、「米国は香港の民主化デモを支持するとともに香港の民主化を望んでいる」との見解を示しているものの、「米中貿易交渉は最終盤にある。中国の習近平国家主席との関係は非常に良好だ」と発言しており、基本的にはリスク選好の流れは継続するものと思われます。

劉鶴副首相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表、ムニューシン米財務長官で行われた電話会議では、通商協議の第一段階の合意に関する問題点を話し合い、残る課題についても、引き続き協議することでも合意したと報道されています。この点については、リスク選好の材料になりそうですが、第一段階をクリアしたとしても、第二段階では難問の知的財産権などが含まれるとみられることから、ハードルは一段と高くなりそうなため、第一段階まではリスク選好の動きが優勢となることが想定されますが、合意後は、一旦ポジション調整主体の動きになるのではないでしょうか。

明日は、米国が祝日(サンクスギビングデー)になるため、流動性が徐々に低下することが想定され、値動きは限定的なものになりそうです。テクニカル的にも、ドル円は109.50円付近がレジスタンスラインとして意識されている可能性があり、このラインを上抜けるにはサンクスギビングデーを控えたボラティリティでは難しいかもしれません。また、米中通商協議関連では、まさにヘッドライン相場になっており、この点について苦言を呈する向きも少なくないため、ヘッドライン相場についても、これまでのような無造作な動きは控えられるかもしれません。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

二転三転する米中通商協議関連の報道ですが、基本的にはトランプ大統領はなるべく早く合意したいものと思われます。理由としては、ウィグル文書が明るみになったことで、米国にとっては中国の香港デモへの弾圧だけでなく、中国への人権問題がフォーカスされる可能性があり、なるべく早く合意することで大統領選前の株価下落に繋がりそうなトピックスからは離れたい思惑があると考えらます。また、引き続き、トランプ大統領に対する弾劾調査が断続的に行われており、大統領の立場は依然として不安定なこともあり、第一段階合意により、大統領選を優位に進めたい思惑があるのではないでしょうか。

週明けの世論調査で、想定外に保守党が労働党とのリードが縮小するというサプライズがあった英国総選挙情勢ですが、基本的な見方は、保守党が勝利し、1月末にEUを離脱するとの見方が依然として強いものの、確証を得る程のリードがあるわけではないので、ポンドを積極的に買い進める動きは手控えられています。ただ、ここから一気に形勢が逆転するほどのインパクトがあるわけでもないので、ポンド円が140円を割れるようば場面では、押し目買い意欲が強まるのではないでしょうか。

保守党有利である限り、ポンドについては仕切り直し

世論調査で保守党のリードが縮小したことが嫌気され、ポンドについては若干下押しする場面がありましたが、保守党優勢の状況は変わりはなく、下値も限定的になっています。1.2840ドル台でのポンドドルのロング、1.2980ドルでの利食い、1.2780ドル下抜けでの損切り設定は変更なしとします。

海外時間からの流れ

前日の海外時間で注目されていたロウ・豪中銀(RBA)総裁の講演については、「豪州が量的緩和を必要とする可能性は低い」「マイナス金利となる可能性は極めて低い」「量的緩和は政策金利が0.25%に達した場合のみ考慮される」との見解を示し、デベル・豪中銀(RBA)副総裁に続いてプラス面を強調する内容になりました。これを受けて、豪ドルは買い戻しが進んでおり、本日もその流れを継続しています。

今日の予定

本日は、米・第3四半期GDP(改定値)、米・10月耐久財受注(速報値)、米・新規失業保険申請件数、米・11月シカゴ購買部協会景気指数、米・10月中古住宅販売保留指数、米・10月個人所得/米・10月個人支出、米・ベージュブック(地区連銀経済報告)などの経済指標が予定されています。要人発言としては、レーン・ECBチーフエコノミストの講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。