前日の海外時間では、米国の経済指標の改善がドル円を押し上げました。まず、米・第3四半期GDP(改定値)が市場予想+1.9%に対して結果は+2.1%、新規失業保険申請件数も22.1万件予想が21.3万件、米・10月耐久財受注(速報値)では、-0.9%予想が+0.6%と大幅に改善したことからドルが買われました。ドル円は109.10円付近から徐々に上値を拡大し、レジスタンスラインとして考えられていた109.50円を上抜け、一時109.608円と5月31日以来約半年ぶりのを水準まで上昇しました。
ポンドについては、引き続き、総選挙を巡る調査会社の結果に一喜一憂していますが、ユーガブの世論調査が発表され、保守党は359議席、労働党が211議席獲得する公算と発表されました。あくまで調査段階のものではありますが、このままであれば保守党が単独過半数を獲得する公算となるため、ポンドは上昇基調を強めています。ポンド円はドル円上昇の連れ高の側面はあるものの、141.80円付近まで上昇し、ポンドドルでも1.2950ドル付近までポンド買いが進んでいます。
本日は、米国がサンクスギビングデーとなるため、NY時間では流動性が一気に低下することが想定されますが、明日はブラックフライデー、翌月曜はサイバーマンデーとなるため、基本的には様子見姿勢が強いマーケットになりそうです。ただ、米国中西部が大寒波になっていることで、今年のセールに大きな影響を与えるのではないかと懸念されており、小売売上高の伸びが伸び悩むのではないかとの思惑が広がれば、一旦上値を抑える材料として意識されるかもしれません。
今後の見通し
本日の東京時間では、トランプ大統領が「香港人権民主法案」に署名とのヘッドラインが流れ、ドル円は109.60円付近から109.30円付近まで下落しました。一旦は落ち着きを取り戻しているものの、米中通商協議の進展に歯止めがかかるのではないかとの思惑があるため、これまでのようなリスクオン一辺倒の動きは限定的になるかもしれません。中国側が、トランプ大統領が署名した際は報復措置を示唆していたため、中国からの声明待ちの動きになりそうです。また、中国と貿易で関係性の強い豪ドルについては、同ヘッドラインを受け、豪ドル売りが強まり、豪ドル円では74.20円付近から73.90円付近まで下落しています。
既に、中国の劉鶴副首相がさらなる協議のために、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とムニューシン米財務長官に中国への招待状を送付したことが報道され、米中両国が来年1月にスイスで開かれる世界経済フォーラム(ダボス会議)で首脳会談を行い合意文書に署名することを検討などと報じられていたため、今回のトランプ大統領の「香港人権民主法案」への署名が、どのような影響を及ぼすのかが焦点になりそうです。
保守党有利である限り、ポンドについては仕切り直し
ユーガブの世論調査で保守党が過半数を獲得する見込みであることが発表され、ポンドについては堅調に推移しています。1.2840ドル台でのポンドドルのロング、1.2980ドルでの利食い、1.2780ドル下抜けでの損切り設定は変更なしとします。
海外時間からの流れ
調査会社ユーガブによる英総選挙の世論調査が、保守党の単独過半数獲得という結果に対し、英紙ガーディアンの記者が「労働党は支持率を上げたものの、保守党が過半数に十分な支持を獲得するだろう」と述べたことも意識され、ポンド買いが強まっています。事前に単独過半数になるとの思惑が強まれば、選挙前にポンド買いが強まる可能性があります。ただ、2016年の国民投票のトラウマがマーケットにはあるため、ポンド堅調ながらも、急伸するような動きは限定的になりそうです。
今日の予定
本日は、ユーロ圏・11月業況判断指数、独・11月消費者物価指数(速報値などの経済指標が予定されています。要人発言としては、ビルロワドガロー・仏中銀総裁の講演が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。