前週末については、サンクスギビングデー翌日のブラックフライデーということもあり、米国債券、株式市場が短縮取引となったため、マーケット参加者が少なく、値動きも限定的なものになりました。唯一の見せ場としては、月末ロンドンFIXでドル売りがでたことで、ドル円が109.667円から109.401円付近まで下落した程度で、その後は再び閑散とした取引となりました。

週末に公表された英総選挙に関する世論調査では、5つの調査会社のうち4つの調査会社が保守党のリードが縮まったと発表しました。2週間前は14ポイント保守党がリードしていることで、単独過半数になるだろうとの思惑と、1月末のEU離脱は問題なく通過するだろうと考えられていましたが、総選挙を2週間後に控えているなかで、ここまでリードが縮小したことが嫌気されており、月曜オープニングのポンドは若干下落してのスタートになりました。特に、圧倒的勝利が確実視されていた2017年の総選挙が、結果としてハングパーラメントになった経緯があるだけに、マーケットのポンド買いは一旦小休止するのではないでしょうか。

また、同じく週末に発表された中国・11月製造業PMIについては、市場予想49.5に対して結果は50.2、中国・11月非製造業PMIも市場予想53.1が54.4になっており、総じて強い内容になりました。特に、製造業PMIについては、景気分岐点となる50.0を上回る結果になっており、50.0を上回るのは7ヵ月ぶりのことです。ただ、週末のドイツ社会民主党党首選挙は、連立継続に積極的なショルツ財務相と連立維持に懐疑的なワルターボーヤンス氏の対決でしたが、結果としては、メルケル政権で要職を務めるワルターボーヤンス氏がショルツ財務相に勝利しました。同氏が、「連立政権を崩壊させるよりは改善を望む」と強調しているため、リスク回避の動きにはなっていませんが、この材料が意識され、中国の経済指標改善の影響も限定的になっています。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

注目の米中通商協議については、12月15日に発動予定の対中制裁関税第4弾を控え、部分合意が間近との楽観的な見方と「香港人権・民主主義法」の成立で、米中対立激化の可能性という悲観的な見方が錯綜しています。日々違ったヘッドラインが流れるため、マーケットも何が正解かわからなくなってきていることが考えられるため、米中の高官がきちんとした形で公表する以外のヘッドラインには、徐々に反応も鈍くなってくるのではないでしょうか。ただ、「香港人権・民主主義法」の成立を巡り、中国政府は「内政問題であり、断固とした報復措置をとる」と反発していることは事実であるため、ネガティブなヘッドラインの方がマーケットは反応しやすいかもしれません。

トランプ大統領の弾劾審理については、ウクライナ疑惑を巡る弾劾調査を進めてきた野党民主党のシフ下院情報特別委員長は、政府高官らの公聴会証言などを証拠として取りまとめた報告書を3日に承認する方針を固め、4日から弾劾訴追状の作成に向けた公聴会を開く司法委員会に送付し、審議の土台とすると報じられています。実際に同大統領が弾劾される可能性は極めて低いですが、ドル売りの材料にはなり得るイベントであるため、引き続き注視する必要がありそうです。

保守党有利である限り、ポンドについては仕切り直し

今週末も、引き続き世論調査の内容が公表され、結果としては保守党のリードが縮まっていることが発表されました。依然として、保守党がリードしているものの、ここから積極的にポンドを買い進めるには材料が足りないかもしれません。一旦様子を見ますが、状況によっては、現在のポンドロングを解消するかもしれません。1.2840ドル台でのポンドドルのロング、1.2980ドルでの利食い、1.2780ドル下抜けでの損切り設定は、目先は変更なしとします。

海外時間からの流れ

本日は、日経平均株価が寄り付きより堅調に推移していることから、ドル円が上値を拡大しています。直近はリスク選好の動きが強まりつつも、株安の動きが上値を抑えていたこともあり、久々に堅調な動きを見せている株式の動きを睨みながら、ドル円は110円トライを目指す展開になるのではないでしょうか。

今日の予定

本日は、トルコ・第3四半期GDP、ユーロ圏・11月製造業PMI(確報値)、英・11月製造業PMI(確報値)、米・11月マークイット製造業PMI(確報値)、米・11月ISM製造業景況指数などの経済指標が予定されています。要人発言としては、ホルツマン・オーストリア中銀総裁の講演、ラガルド・ECB総裁の議会証言が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。