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投資に興味があるにもかかわらず、なかなか実行できない理由のひとつに専門用語が多くて難しいということがあるようです。そもそも投資は元本保証がなく、リスクがあるため1つ1つの項目を慎重に確認しながら行わなくてはいけません。でも、証券会社のサイトや株の本での説明を見て、言葉の意味がわからずギブアップしてしまう人は少なくないようです。
そこで、数ある証券用語*1の中から、投資初心者がこれだけは知っておきたい株式投資の基本用語をピックアップしました。投資の参考にしてみましょう。
投資デビューする前に!「貯蓄」と「投資」、「投機」の違いを知っておこう
将来に向けてお金を準備することを「資産形成」と言います*2が、資産形成には大きく分けて「貯蓄」と「投資」があります。様々な考え方があり、明確な定義を言うのは難しいのですが、一般的には「貯蓄」はお金を蓄えることを意味します。一方、「投資」は利益を見込んでお金を出すことで、値上がり益や配当金などを通して出したお金を増やすことを目的としています。低金利が長く続く昨今では預貯金よりも投資と言われるのがわかりますね。
ところが利益を見込んでお金を出す行為には「投機」といわれるものもあります。どちらも似た言葉ですが、投資デビューをする前には、投資と投機の違いをしっかり理解しておきましょう。どちらも利益を見込んでお金を出す一方で、リスクがあるのは同じです。しかし、投機はより高いリターンを狙い、ハイリスクの下、短期間で利益を得ようとする行為*3と言われています。投資が比較的長い期間をかけてお金を増やすのに対し、投機は短期的な視点で、いわゆる一か八かの要素が高い投資法と言えるかもしれません。
このように、投資は長期的な目線を持って行うところが、投機とは異なるところですが、元本保証ではないという点は同じです。そのため、何も知識がないままで株式投資を始めることは、おすすめできません。誰でも初めてのコトやモノに遭遇するときには難しいと敬遠してしまう傾向がありますが、基本的な用語などは知ってから投資を始めたいですね。
株式投資を始めるために!知っておきたい基本用語
株式投資を始めるにあたり、知っておくべき用語をみていきましょう。
一般口座/特定口座/NISA口座
投資を始めるためには証券会社に口座を開設しなければなりませんが、口座の種類は大きく分けて「一般口座」と「特定口座」の2つがあります。投資デビューをする人の中には、それぞれの違いを知らない人もいるかもしれません。どれを選ぶかによって後々税金面で違いが出てきますから、きちんと知っておきましょう。
「一般口座」で行う投資では、譲渡損益や利子、配当など投資で得られた損益の通算などの計算や納税手続きをすべて投資家自身で行わなければなりません。
一方、「特定口座」は納税にかかわる投資家の負担を軽減するために設けられた制度です。特定口座で取引を行えば、売買内容の記録や損益の計算は、証券会社が自動的に行なってくれます。さらに、特定口座の「源泉徴収あり」を選べば、得られた利益から自動的に源泉徴収してくれ納税完了となるのでさらに負担が軽減されます。
「NISA口座」は現在の法制上では2023年12月までの時期限定の口座です。少額投資非課税制度といって、株式や投資信託などから得られる利益にかかる税金が、一定の条件のもと非課税となります。
銘柄(コード)
取引の対象となるそれぞれの有価証券(株式、債券、投資信託等)のことを言います。株式投資においては「どの会社の株式か」という会社の名称と考えておくとわかりやすいでしょう。上場株式銘柄にはそれぞれ4桁の銘柄コード(証券コード)が割り当てられています。中には銘柄(企業名)が似ているものもありますから、自分が買いたい銘柄であるかどうかを、名称だけでなくコードも確認しておきましょう。
単元
株式売買の取引基準となる単位のことを言い、現在は1単元=100株とされています。つまり、通常の株式取引では1単元(100株)の整数倍ずつ購入したり売却したりするようになります。1単元に満たない数を取引する「ミニ株」という制度もありますが、株主総会における議決権の行使や株主優待を得るためには1単元以上所有していることが必要です。
注文と約定
株式の購入あるいは売却の希望を出すことを「注文」と言いますが、注文しただけでは取引が成立するとは限りません。買いたい株を売ってくれる人がいてこそ取引が成立します。この売買が成立することを「約定(やくじょう)」と言います。
指し値と成り行き
株式の売買注文をする際に、いくらで買う、いくらで売ると値段を指定することを「指し値(さしね)」と言います。一方、売買の値段を指定せずに、売買の成立を優先させる方法を「成り行き(なりゆき)」と言います。
損切り
企業業績や株式取引における需給関係など、さまざまな要因で株価は常に変動しています。保有している株が購入したときの価格よりも下がることもあります。そのようなときに、今売れば損失が出るけれども、これ以上損失を大きくさせないために敢えて売ってしまうことを「損切り(そんぎり)」と言います。投資初心者には「損切り」のタイミングを決めるのは簡単なことではないですが、場合によってはリスクを最小限に抑えるためには「損切り」した方がいいこともある、ということは知っておきましょう。
株式銘柄を選ぶために!知っておきたい株式指標に関する用語
投資経験の浅い人は知っている会社名や最低取引価格などで選ぶ傾向がありますが、投資指標も参考にしながら選ぶことができると投資効果をより期待できます。一般的に用いられることの多い指標は用語の意味や使い方を知っておくといいでしょう。
PER
株価収益率(Price Earnings Ratio)と言い、その会社の利益から見た「株価の割安性」を表します。株価が割安か割高かを判断するための指標として用いられます。たとえば、ある銘柄の株価が1,000円、1株当たり利益が100円なら「1,000円÷100円=10倍」というように示されます。 東京証券取引市場第一部に上場している株式全体の平均PERは約15倍*4という状況ですが、業種によっても異なります。買いたい株式のPERが割安であるか割高なのかの判断は、同じ業種の複数銘柄と比較をしてみるようにしましょう。
PBR
株価純資産倍率(Price Book-value Ratio)と言い、その会社の純資産から見た「株価の割安性」を表します。PER同様に、株価が割安か割高かを判断するための指標として用いられます。PBRの計算式は「株価÷1株当たり純資産」で表され、たとえば、ある銘柄の株価が1,000円、1株当たり純資産が1,000円なら「1,000円÷1,000円=1倍と」いうように示されます。これは、この時点で会社を解散すると株主は1株当たり1,000円を手にすることができるという意味になります。
東京証券取引市場第一部に上場している株式全体の平均PBRは約1.1倍*4という状況ですが、業種によっても異なります。買いたい株式のPBRが割安であるか割高なのかの判断は、同じ業種の複数銘柄と比較をしてみるようにしましょう。
配当利回り
決算期の1株当たりの年間配当金が、株価の何%に相当するかを示す指標です。配当利回り(%)は「1株当たりの年間配当金額÷株価☓100」で計算されます。たとえば、1株当たり20円の配当をもらえる株の株価が1,000円の場合の配当利回りは「20円÷1,000円×100=2%」というように示されます。配当利回りは預貯金の利率を上回ることが珍しくなく、投資尺度の1つとして注目する人がふえています。ただし、配当金は会社の業績に応じて支払われるものです。期待通りの配当金が受け取れるとは限らないことは知っておきましょう。
まずは少額でトライしてみては?
今回紹介した株用語以外にも知っておきたい用語は多々あります。しかしながら、最初から頭でっかちにすべてを学んでから始めようと思うほど、なかなか実行できなくなる傾向があるものです。「習うより慣れろ」というのは投資の世界でも言えることで、最初は難しくても投資をしながら学んでいくこともあります。
とはいえ、出したお金が減るかもしれないリスクを考えるとやはり投資は慎重に行うべきだと言えます。慣れないうちは、万一損しても大丈夫と思える少額で試してみるのがおすすめです。
出所)
*1 日本証券業協会「金融・証券用語集」
*2 金融庁「投資の基本」
*3 知るぽると「投資(investment)とは」
*4 日本取引所グループ「規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧(2019年8月)」
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- 三菱UFJ国際投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員