技術、生産量とも国内トップクラスを誇る、タオルの産地・愛媛県今治市。100社以上のメーカーがしのぎを削るなか、環境への配慮と品質で、国内外から支持を受ける自社ブランドを築いたタオルメーカーがある。その名は「IKEUCHI ORGANIC」。売上の99%をOEM生産で占めていたメーカーが、自社ブランドのつくり手に反転したきっかけは、主要取引先の倒産だった。民事再生法の適用を申請する事態で、舵を切る。「最大限の安全と最小限の環境負荷」を唱えつづけ、工場、店舗すべてを風力発電で稼働し、自社製品のすべてでオーガニックコットンを使う。究極の一枚を追求しつづける代表の池内計司(いけうち けいし)さんを取材した。
風力発電100%で稼働
IKEUCHI ORGANICは、人口16万人の今治市に本社がある社員30名ほどの会社だ。 「最大限の安全と最小限の環境負荷」。それが、1999年、業界初となる「ISO14001」を取得してから20年間、一貫してきたコンセプトだ。
2001年、生産工程、商品のすべての安全性をテストする国際機関「エコテックス」の最も厳しい基準をクリアし、翌年には、国内初となる風力発電100%の工場を稼働。大企業が稼働の一部で電力のグリーン化に取り組んでいた時代に、中小企業ではじめて、すべての電力でのグリーン化を決めた。環境へ配慮することが求められる時代を強く感じ取っていたからだ。
2014年、社名を「池内タオル」から「IKEUCHI ORGANIC」に変更すると同時に、生産するすべての商品で「オーガニックコットン」(遺伝子組み換えでない種を使い、3年以上農薬、化学肥料を使用していない畑で栽培)に切り替えた。食品工場の安全基準「ISO-22000」を業界初で取得し、「赤ちゃんが食べられるタオル」を求めて安全性を追究している。