手数料が安いネット証券の中でも、特に楽天証券とSBI証券が人気です。そこで、本記事ではこれから投資を始めようと考えている方のために、楽天証券とSBI証券のサービスを徹底比較します。口座開設で迷っている方はぜひ参考にしてください。

証券会社のサービス比較ポイント

楽天証券,SBI証券,比較
(画像=PIXTA)

証券会社を選ぶ際、比較するべきポイントは3つあります。

株式手数料

株式への投資は、売買のたびに手数料が掛かります。手数料は証券会社ごとに違い、手数料が高い証券会社での取引は不利に働いてしまいます。

投資信託の取り扱い本数

投資信託とは運用をプロに任せる商品です。証券会社ごとに取り扱っている投資信託は異なります。取り扱いが極端に少ないと、資産運用の選択肢をせばめてしまいます。

NISAなど優遇制度の充実度

投資では、より有利に運用できる優遇制度が用意されています。

用意されている優遇制度は主に3つあります。利益に税金が掛からなくなる「一般NISA(ニーサ)」と「つみたてNISA」、利益に税金が掛からないことに加えさらに投資額が全額所得控除になり給与の手取りが増える「iDeCo(イデコ)」です。

できるだけ優遇制度を利用した方が有利に運用できますが、すべての証券会社で3つとも利用できるわけではありません。証券会社によっては利用できない優遇制度もあるので、事前に確認しましょう。

楽天証券とSBI証券のサービス比較

楽天証券とSBI証券で、2019年11月20日時点のサービスを比較しました。

  楽天証券 SBI証券
株式手数料
※税込み
◯超割コース
最低:55円
最高:1,070円
※大口優遇条件を達成すると
最低:無料
最高:936円
◯いちにち定額コース
最低:無料
最高:上限なし
◯スタンダードプラン
最低:55円
最高:1,070円
◯アクティブプラン
最低:無料
最高:上限なし
投資信託の取り扱い数 2,643本
(内ノーロード1,359本)
2,656本
(内ノーロード1,332本)
iDeCo あり
※金融機関手数料0円
あり
※金融機関手数料0円
一般NISA あり
※国内株式の手数料0円
あり
※国内株式の手数料0円
つみたてNISA あり(152本) あり(153本)
ポイントバック 楽天ポイント Tポイント

株式手数料は同額

株式へ投資する際の手数料は、楽天証券とSBI証券では同額となりました。両社の基本の取引コースでは最低55円、最高でも1070円の手数料で取引ができます。

株式の取引手数料は基本的に取引のたびに掛かりますが、1日の取引の合計金額で手数料を計算するタイプもあります。楽天証券では「いちにち定額コース」、SBI証券では「アクティブプラン」がそのタイプで、10万円未満の取引ではどちらも無料です。

投資信託の取り扱い数もほぼ互角

投資信託の取り扱い本数は楽天証券とSBI証券のどちらも2,600銘柄以上の取り扱いがあります。わずかにSBI証券の方が取り扱い本数が多くなっていますが、両社充実した品揃えだといえるでしょう。

取引の際に手数料が掛かる投資信託もありますが、手数料が掛からない「ノーロード投資信託」もあります。ノーロード投資信託も両社1,300本以上の取り扱いがあり、選択肢はとても多いといえます。

iDeCoやつみたてNISAの制度も充実

有利に投資できる優遇制度も、楽天証券とSBI証券はどちらも積極的に取り組んでいます。両社とも3つの優遇制度をすべて提供しており、さらにキャンペーンの内容もほとんど同じです。

iDeCoでは証券会社の上乗せ手数料が掛かる場合がありますが、楽天証券とSBI証券はどちらも無料としています。

一般NISAでは株式か投資信託に投資しますが、その際手数料が掛かる場合があります。しかし、楽天証券とSBI証券は、一般NISAで国内株式を取引する場合の手数料を無料にするキャンペーンを実施しています。

つみたてNISAでは投資信託のみが投資対象で、そのすべてが取引手数料無料です。証券会社によっては取り扱い本数が少ない場合がありますが、SBI証券は国内1位、楽天証券は国内2位の取り扱い数を誇ります(2019年10月24日時点)。

基本のサービスでは差がほとんどない

楽天証券とSBI証券を比較すると、基本サービスの差はほとんどないということがわかります。どちらを選んでも充実した資産運用ができるでしょう。

また、両社はそれぞれポイントサービスを提供しています。楽天証券では「楽天ポイント」が、SBI証券では「Tポイント」が取引に応じポイントバックされます。普段利用しているポイントでどちらか選んでもいいかもしれませんね。

楽天証券のメリットは?

楽天証券とSBI証券では基本のサービスにあまり差がありませんでした。では、それぞれが選ばれる理由はなんでしょうか?まずは楽天証券のメリットについて、もう少し踏み込んでご紹介します。

投資信託を楽天カードで買える

楽天証券の特徴的なサービスの1つに、投資信託を楽天カードで買えるという点があります。

楽天カードで投資信託を買うと、買う金額の1%分ポイントバックされます。1万円買えば100円分のポイントバックを受けられます。ノーロード投資信託ならポイントがまるまるお得になりますよ。

楽天証券で投資信託を楽天カードで買うには条件があります。毎月定額で投資信託を買い付ける「積立て投資」で、投資の上限は月に5万円までです。つみたてNISAも対象なので、ぜひ有効に利用したいサービスですね。

ポイント投資すると楽天市場で+1倍

楽天証券では取引に応じ楽天ポイントがもらえますが、ポイントを利用し投資信託や株式を買うこともできます。

特に投資信託をポイントで買う場合、楽天市場で楽天ポイントの還元率が+1倍になるSPU(スーパーポイントアッププログラム)の対象にもなります。

1回で500円以上投資信託を買う場合に、1ポイントでも利用すれば対象です。楽天カード決済と組み合わせることもでき、より効率的にポイントを貯めることができるでしょう。

楽天銀行と連携で普通金利が100倍に

楽天銀行と楽天証券を連携させると、楽天銀行の普通預金の金利が0.1%まで引き上げられます。普通預金の金利の全国平均は0.001%ですから、実に100倍もの金利を受けることができます。

楽天銀行と楽天証券を「マネーブリッジ」というサービスで連携させることが条件です。取引のたびに楽天証券に入金しなくても、自動的に入出金をしてくれるようになります。入出金の手間がはぶけるので利便性も向上しますね。

SBI証券のメリットは?

次にSBI証券で口座を開設するメリットを確認しましょう。

新規上場の実績が豊富

新たに株式を上場させる場合、一般投資家は誰もその株を持っていません。これでは取引が行われませんから、上場日の前に抽選などで投資家を選び、選ばれた投資家は「公開価格」という値段を支払い配分が行われます。

そして、実際に取引所で初めて取引される金額を「初値(はつね)」というのですが、この初値が公開価格を大きく上回る例が多いのです。

SBI証券によると、2017年5月から2018年4月までに株式の新規上場は82銘柄ありましたが、この内75銘柄で初値が公開価格を上回りました。勝率は実に90%を超えており、公開価格で買えた投資家は上場日に初値で売るだけで利益を得られます。最も上昇した銘柄はHEROZで、初値が公開価格の11倍にもなりました。

SBI証券は新規上場の取り扱いが豊富で、2018年は86銘柄となっています。楽天証券は11銘柄なので、新規上場の取り扱いでは大きく上回っています。新規上場も必ず利益が得られるわけではありませんが、新規上場株の抽選を狙うならSBI証券の方がよいといえるでしょう。

外国株式の取り扱いが豊富

楽天証券 SBI証券
6か国
※アメリカ、中国、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア
9か国
※楽天証券の6か国に加え、韓国、ロシア、ベトナムへも投資可能

楽天証券とSBI証券はどちらも海外の株式へも投資ができます。海外株式の取り扱い数は証券会社によって違い、SBI証券はより多くの国へ投資することができます。

楽天証券では6つの国の株式へ投資できますが、SBI証券では9つの国の株式へ投資することができます。  

投資信託なら楽天証券、新規上場株式や海外株ならSBI証券

楽天証券とSBI証券は、基本サービスはほとんど互角ですが、どちらにも独自のメリットがあります。

楽天証券の投資信託はカード決済できる点や楽天市場のSPUの対象になるなど、ポイント還元が手厚くなっています。投資信託の取引は楽天証券を利用することがおすすめです。

SBI証券は新規上場株式の取り扱い実績や海外株が豊富に用意されています。新規上場株式と海外株へ投資する場合はSBI証券を利用するとよいでしょう。

どちらを開設するか迷った時には、両方開設してしまっても大丈夫です。サービスによって使い分けると両方のメリットを取ることができますよ。

複数の証券口座を持つ場合は損益通算に注意

1つの証券会社で取引しておくと、年内の損益通算は証券会社が行ってくれます。しかし、証券会社が違う取引は損益通算ができません。

複数の証券会社で投資を行っている人は、確定申告を忘れずに。確定申告を行うと証券会社が違う場合でも損益通算ができます。証券会社が発行する「年間取引報告書」を利用し、申告を行いましょう。

上手に使い分け両方の長所を活かす

楽天証券もSBI証券も、ネット大手だけあってサービス内容は充実しています。より詳細に比較すると一長一短ありますが、口座を両方開設し、有利なサービスで使い分けるとより効率的に資産運用できるでしょう。パスワードや暗証番号の使い回しに注意し、上手に活用しましょう。

文・若山卓也(ファイナンシャルプランナー)/fuelle

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