前日については、注目されていたFOMC政策金利が発表され、市場の予想通り現行の下限1.50%-上限1.75%に据え置かれました。声明では「労働市場は力強く推移し、経済活動が緩やかなペースで拡大している」と指摘し、前回の声明から「見通しに対する『不確実性』は残る」との文言を削除しました。また、FOMCメンバーの見通しでは、大方の予想通り、2020年末まで現行の金利が据え置かれる内容になっていたことから、マーケットの動きは限定的となりました。『不確実性』の文言が削除されたことから、一時ドル買いが強まる場面もありましたが、パウエルFRB議長が、利上げについては「1990年代半ばの利下げサイクル時より低い」「著しく持続性のあるインフレ加速が必要」との見解を示し、当面現行の金融政策スタンスを維持する姿勢を示したことから、ドル買いの動きは続きませんでした。

米中通商協議については、15日に予定している対中制裁関税第4弾の発動があるかどうかが焦点ですが、ナバロ米大統領補佐官は、「15日の対中追加関税を延期させるかは大統領が決める。その決定はまもなくされるだろう」との見解を示し、トランプ大統領は、本日通商交渉チームと協議すると報じられていることから、英国の選挙一色になりそうではありますが、明日には何かしらの方向性が決まりそうです。メインシナリオとしては、追加関税延期ですが、発動した場合は、米中通商「第1段階」の部分合意が後退することを意味すると思われます。

注目の英国選挙ですが、英紙テレグラフの委託でサバンタ・コムレスが実施し、11日公表された最終の世論調査結果では、保守党のリードは5ポイントと10月半ば以降で最も縮小する内容になりました。詳細を見ると、保守党に投票する意向と回答した有権者の割合は41%であり、労働党は36%になっています。また、この内容を議席数に換算すると、328議席になることから、単独過半数である326議席ギリギリの内容になっています。ただ、BMGリサーチが英紙インディペンデントの委託で行った調査では、依然として保守党41%、労働党32%で前回調査から横ばいだったことから、大きなポンド売りにはなっていません。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

FOMCを無難に通過し、明日に英国選挙の投開票を控えているものの、本日はECB理事会が開催されます。政策金利の変更はないでしょうが、ラガルド新総裁の初めての金融政策理事会後の記者会見が注目されます。もともとラガルドECB総裁は、ハト派寄りの考えを持っていますが、ラガルド体制下では、当面9月の理事会で発生した意見の相違を修復し、今後のECBの政策目標・手段を再検討するところから始めると予想されています。ハト派的なトーンは一時的に封印される可能性があるため、言葉のニュアスンス次第では、ユーロ買いが強まる可能性がありそうです。

英国選挙については、依然として保守党優勢の情勢に変わりなく、過半数獲得がメインシナリオになっています。ただ、直前で最も保守党と労働党のリードが縮まっていることが懸念事項ではありますが、米系メガバンクの予想では、ハングパーラメントになる可能性は25%以下だと算出されています。ただ、保守党過半数獲得を織り込む形でここまでポンド買いが強まっていたこともあり、シナリオ通りになったとしても、一旦は利食い優勢のポンド売りが強まることが想定されます。

英国選挙を控え、目標値に達しなかったので、一旦利食い

英国選挙を間近に控え、目標値である1.3300ドルに達しなかったことで、一旦1.3100ドルのポンドドルのロングは1.3220ドルにて利食い、手仕舞です。保守党が過半数を獲得するとの見通しを織り込んでいると考えられるため、例え予想通り保守党が過半数を獲得しても、一時的には手仕舞いのポンド売りが主導する可能性を考慮し、早々にポジションクローズとします。一旦選挙動向を鑑み、再度戦略を練り直したいと思います。

海外時間からの流れ

本日の東京時間では、明日に英国選挙の投開票を控え、幾つかの調査会社が保守党のリード縮小を伝えていますが、依然として保守党が優位であることには違いなく、ポンドの買い戻しが強まっています。投票は本日日本時間16時から開始されるため、以降はポンドについては結果待ちの展開になりそうです。

今日の予定

本日は、独・11月消費者物価指数(確報値)、スイス国立銀行政策金利、トルコ中銀(TCMB)政策金利、欧州中銀(ECB)政策金利、米・11月生産者物価指数、米・新規失業保険申請件数などの経済指標が予定されています。要人発言としては、ラガルド・ECB総裁の定例会見、ポロッツ・加中銀(BOC)総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。