(本記事は、小宮 一慶の著書『伸びる会社、沈む会社の見分け方』PHP研究所の中から一部を抜粋・編集しています)

競争のある職場か

いつの間にか稼いでくれるすごいチーム
(画像=GaudiLab/Shutterstock.com)

○ 「切磋琢磨」できる環境は人も会社も伸ばす
× 「和気藹々」とした組織を謳う会社は伸びない

▼競い合いながら共に成長していけるか

これも社風に関する話です。

私は、トップが「和気藹々」をモットーとしている会社はダメだと考えています。

人間関係が良いということを言いたいのでしょうが、和気藹々をいちばんに掲げるようなところでは、人は磨かれません。

しばらく前に、小学校の運動会で順位をつけるのがよくないといって、みんなで手をつないで横一線でかけっこをする、というのが話題になったことがありました。

そういうなかで、子どもたちに「頑張って走ろう」という気力が生まれるでしょうか。一生懸命、力の限り走るから、脚力がついていくのではないでしょうか。

周りの人と合わせることは覚えるでしょう。最下位になって自信を失うこともないでしょう。しかし、自分の実力というものを知ることはできません。

自分がどの程度の力を持っているかを知るから、「次はもっと頑張っていい結果を出したい」と思うようになるのです。

ライバルがいて「あいつに負けたくない」という気持ちが、やる気の原動力になっていく部分はとても大きいのです。

スポーツも、勉強も、そして仕事もそうです。

伸びる会社、大きくなる会社は、切磋琢磨できる環境になっています。

切磋琢磨とは、競争して互いの関係が悪くなることではないのです。自分の力を磨き、他者との競争の中で励まし合ったり刺激し合ったりして、向上を目指すためのものです。

ですから、「うちは競争なんかしないで和気藹々とやっている組織です」と言うのはダメなリーダー。自分自身、力を磨こうという気持ちがなく、リーダー自身が置いてきぼりを食らいたくないだけだと見たほうがいいのです。正しい社風は切磋琢磨なのです。

社内結婚や離職率

30代,人脈
(画像=PIXTA)

○ 社内結婚が多い会社は良い職場
× 管理職の離職率が高い会社は危ない

▼ラクでない仕事を楽しくやるのが仕事の醍醐味

最近よく「ブラック企業」という言葉が用いられるようになりました。その会社が本当にブラック体質なのかどうかは、法令に違反するようなことをしているかどうか、きちんと調べてみないと分かりません。 ただ、仕事がきついとすぐに「ブラックだ」と言うような社会的風潮については、私は違和感があります。

仕事とは、そもそもラクなものではないのが当たり前。ラクで儲かる仕事には、たいてい裏があります。それこそまさにブラックな世界です。

根本的にラクではない仕事というものを、いかに楽しくやるか。大事なのはそこです。

仕事に喜びを感じることができ、対価として得られる金額に納得できていれば、人は楽しく働くことができます。

働く幸せと経済的幸せは両輪です。そのバランスの中で、私たちはやりがいを感じます。

例えば、自分の能力が高く評価され、高給を得られる会社に入れたとします。その高給は何に裏打ちされたものか。それに見合うだけの成果を上げる人間だという評価です。

ですから、そういうところで働いている人は、対価にふさわしいだけの力を発揮しようと猛烈に働きます。それは楽しくないか。そんなことはありません。仕事内容がハードでも、能力が評価されていると思えることで、やりがいを感じて頑張れるのです。

仕事にやりがいを感じることができていたら、キツい状況でも辞めようとはしません。辞めたくなるのは、その均衡が崩れ、仕事が楽しめなくなるからです。

▼「離職率が低い会社=良い会社」だが......

日本も次第に終身雇用が崩れつつありますが、アメリカの完全な実力主義的な社会構造と比べると、まだ定着率はかなり高いです。ですから、基本的に離職率の低い会社のほうが働きやすくて良い会社だ、と考えられています。私も一般論としてはそう思います。

ただ、私は、離職率が低いかどうかだけでは会社の良しあしは判断できないと思っています。他社へ転職する実力がないから、ただそういう人たちが居残っているだけなら良い会社ではありません。切磋琢磨の社風の中で、働きがいを感じる人が多くいて、離職率が低い会社が良い会社なのです。

給料だけでも判断できません。業績が素晴らしく伸びていて、給料も社員平均2000万と日本国内トップクラス、だけど離職率も高いという会社もあります。投資家目線で言えば、利益率がよくて伸びている優良株ということになりますが、働く人が定着しないということをどう捉えるか、評価は大きく分かれます。それだけの高給をもらっていても辞めたくなる、あるいは辞めざるを得なくなるということは、仕事を楽しめなくなってしまう要因が何かあるのかもしれません。

離職率ということだけで言えば、管理職レベルの人が次々と辞めていく会社は危ういということも言えます。経営に何か問題があるから離れていくのだ、と考えるのが自然だからです(とくに、経理や財務の人が頻繁に辞める会社は危ない会社です)。

▼会社の将来性がお先真っ暗だったら、社内結婚はしない

就職や転職をしたい知り合いに自社を勧められるのであれば、それは良い会社です。従業員として内側から会社の実情をいろいろ知っていて、周りの人に紹介できるのですから。

同様に、社内結婚のある会社も良い会社です。

どちらかが辞めたりすることもあるかもしれませんが、そこそこ会社の状態が良く、かつ会社に将来性があると考えられなかったら、結婚には踏み切れないでしょう。両方とも勤め続ける会社だったら、より将来性が気になります。

また、社内結婚に限りませんが、結婚後の働きやすさがどうかということも、結婚を後押しする要素です。子どもが生まれた際の育休制度がしっかりしているとか、子育て中の人のためにテレワークやフレックス制が認められているなど、子育て支援の制度が整っている会社は、長く働きやすい良い会社と言えます。

伸びる会社、沈む会社の見分け方
小宮 一慶(こみや・かずよし)
経営コンサルタント。株式会社小宮コンサルタンツ代表。十数社の非常勤取締役や監査役、顧問も務める。1957年、大阪府堺市生まれ。1981年、京都大学法学部卒業。東京銀行に入行。1984年7月から2年間、米国ダートマス大学経営大学院に留学。MBA取得。帰国後、同行で経営戦略情報システムやM&Aに携わったのち、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたる。その間の1993年初夏には、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。1994年5月からは、日本福祉サービス(現セントケア)企画部長として在宅介護の問題に取り組む。1996年に小宮コンサルタンツを設立し、現在に至る。
著書に、『社長の心得』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経営者の教科書』(ダイヤモンド社)、『図解「ROEって何?」という人のための経営指標の教科書』『図解「PERって何?」という人のための投資指標の教科書』(ともにPHP研究所)など多数。

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