前週末については、直近の重要イベントが一気に凝縮する形となり、英国総選挙の結果と、米中貿易協議の第1段階合意がマーケットの主役となりました。東京時間早朝から始まった英国選挙の投開票の結果は、与党・保守党が解散時議席数の298から365へ67議席も伸ばし、過半数である326議席をも大きく上回り、最大野党である労働党は、203議席と40議席を減らし、大敗するという内容になりました。既に、出口調査の段階で保守党が圧勝するという旨の報道が出たことから、ポンドは急騰し、ポンド円は144円付近から147.80円台、ポンドドルでも1.3170ドル付近から1.3510ドル付近まで上昇しました。その後は利食い優勢の動きになりましたが、2020年1月31日でのEU離脱が確実視されており、年内にもEU離脱案は議会で可決される見通しです。

保守党の圧勝に終わったことから、英国は1月31日にEUを離脱することが決定的です。また、スムーズに合意ありの離脱になりそうなことから、英国の来年の経済成長が年率で2.0%に達すると見られており、今年の1.3%を大きく上回る見通しです。英国は2020年12/31までの移行期間に入る予定であり、英国経済のリバウンド、ポンドや英資産価格の上昇を維持する可能性が高く、BOEは2020年中旬くらいから利上げを実施するのではないでしょうか。

米中通商協議については、紆余曲折ありましたが、トランプ大統領が中国と第一段階の通商合意に達したと発言しました。また、同様に、15日に予定していた対中追加関税の発動を見送ることを明らかにしました。ただ、同大統領が指摘したようにWSJの記事には誤りがあり、既存の関税引き下げはなく、トランプ大統領はツイッターに「25%の関税は残るだろう」と投稿しています。マーケットは必要以上の期待値を持ってしまったこともあり、109円後半では再び上値の重さが意識されています。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

今後は、年末に向けて材料難になることから、今までと違ったポイントに市場が注目するかもしれません。その最たるものが、トランプ大統領の弾劾審理にるのではないでしょうか。米下院司法委員会が、弾劾訴追案を巡る採決を実施し、権力乱用と議会妨害の弾劾条項を賛成多数で可決したと報じられており、材料難だからこそ、今後の格好のドル売り材料として意識されるかもしれません。

米中貿易協議の第1段階合意後は、第2段階がポイントになりそうです。ここで気になるのが、トランプ大統領はすぐにでも取り掛かる旨の発言をしていますが、ライトハイザーUSTR代表は日程は不明と発言しており、大統領選以降に先伸ばしされる可能性があります。また、第2段階では、サイバー問題を取り上げるとしており、知的財産権の話題になれば、再び摩擦があってもおかしくはないでしょう。また、それ以前に、トランプ大統領が第1段階合意の署名の日時を明確にしていません。来年1月中ではないかと言われていますが、この署名が延期になるようであれば、再度ドル売りに傾く可能性が高そうです。

ドル円110円レジスタンスが年末に向けてのポイント

出口調査後の1.3450ドルのポンドドルの成行ロングについては、1.3380ドル下抜けにて損切り、手仕舞です。もう一段高を目指すかと思いましたが、見通しが甘かったようです。ここにきて、ドル円110円レジスタンスが意識されていることもあり、ポンドからドルへ方向転換したいと思います。ドル円、109.70-80円での戻り売り戦略、利食いは11/21の108.30円付近、損切りは、明確に110円を上抜ける110.30円付近に設定します。金曜日のマーケットでも、弾劾審理関連の報道ではNYダウが下落する場面があったことから、徐々にマーケットの視線を集めつつあるのかもしれません。

海外時間からの流れ

英国総選挙、米中貿易協議の第1段階合意と、直近マーケットを賑わせた主要なイベントを消化しました。ここから材料難になることが想定されることから、今まで意識されてこなかったイベントが重要視されるかもしれません。筆頭候補としては、トランプ大統領の弾劾審理になるでしょう。米下院司法委員会が、弾劾訴追案を巡る採決を実施し、権力乱用と議会妨害の弾劾条項を賛成多数で可決したことで、ドル売り材料として見なされるかもしれません。

今日の予定

本日は、トルコ・9月失業率、独・12月製造業PMI/12月サービス業PMI、ユーロ圏・12月製造業PMI/12月サービス業PMI、英・12月サービス業PMI(速報値)、米・12月NY連銀製造業景気指数、米・12月マークイット製造業PMI/マークイットサービス業PMIなどの経済指標が予定されています。要人発言としては、ウデギンドス・ECB副総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。