激務なコンサルタントでありながら、不動産投資家として本業の年収の何倍もの金額を稼ぎ、“億超え”の資産を築く。連載『資産“億超え”の兼業投資家が教える「時間レバレッジ」のかけ方』では、石川貴康さんがいかにして時間を生み出し、資産を増やし続けているのかを実例を交えて紹介してもらう。

第16回のテーマは「ロットサイズ最適化と段取り時間最小化」である。作業をするにあたり1回で処理する数量を「ロットサイズ」という。石川さんはロットサイズを最適化することで、都度発生する準備などの「段取り」時間を最小化できると語る。無駄な時間を減らせば、意味のあることに時間を有効活用できるようになるのだ。

かける時間の最小化とアウトプットの最大化を同時に行う知恵

KieferPix/shutterstock.com,ZUU online
(画像=KieferPix/shutterstock.com,ZUU online)

日本の製造業は知恵の宝庫である。世界でも有数の効率化実践国だと言えよう。その土台には、効率=時間当たりのアウトプットの最大化を目指す姿勢がある。同じアウトプットなら、使う時間を最小化する、あるいは、投入する時間当たりのアウトプットを最大化するのが、日本の製造業が目指すべき姿だ。

例えば100個製造するのに、10時間使う場合と8時間使う場合、当然だが8時間のほうが効率は良い。また、同じ8時間を使うなら、8個より10個作れたほうが効率は良いし、時間を有効に使えていることになる。

製造業は日夜、インプットのための時間を最小化すると同時にアウトプットを最大化することに努力を傾けている。この知恵はモノづくりだけでなく、一般的な事務仕事や家事などのプライベートな作業にも活用できるのだ。

「まるめ」実践で無駄な時間=段取りを最小化する

同じ時間を使う際、アウトプットを大きくする方法の一つは「まるめ」である。まるめとは単純な話、1回で作る数量を大きくすることである。つまり、1回の製造作業で100個まで作れるなら、100個作ろうという考え方である。

100個作れるにもかかわらず、70個しか作らなければ、1個当たりの投入時間が大きくなり、生産コストが悪化する。

物流も工場にとっては重要である。倉庫間を移動するトラックで最大100個運べるのに70個しか運ばなければ、30個分は荷台が空のまま運ぶという非効率を生む。また100個を運び切るために、1台目で70個、2台目で30個運ぶようでは輸送が2回発生し、輸送時間が2倍になる。

100個運べるならば、作業性やトラックの積載効率も良く、1回当たりの輸送数量を大きくできるため、まとめて(=適切な数量にまるめて回数を減らすことで)効率化することができる。

機械であれば、2回で70個作るよりも、1回で100個作るほうが、無駄な段取り回数を減らし、トータルの製造時間を減らすことができる。ここで言う「段取り」とは、作るのを変えるときに行う、設備治具や工具の取り換え、洗浄や清掃といった作業である。

こうした段取りは準備作業であって、実際にモノを作っている時間でない。段取り時間はできるだけ減らし、実際にモノを作っている時間を最大化しようというのが、製造業の考え方である。

では、製造業以外の仕事では、この「まるめ」をどう生かせるだろうか。