ここ数年、貯金だけではなく投資をはじめてみたい人向けに、NISA、つみたてNISA、iDeCoなどさまざまな制度ができています。これらの制度には期限が設けられており、NISAに関しては投資可能期間が2023年まで間近に迫っています。そこで今回は、NISAとはどのような制度なのか、何がおすすめなのかをあらためて解説し、NISA口座を開設するのにおすすめの証券会社を5つ紹介します。
NISAの基本を知っておこう
NISAで投資をすると税金面でお得
NISAは2014年に少額からの投資を行う方のために始まった制度です。普通であれば、投資をして利益が出ると、その利益に対して20.315%の税金がかかります。ところがNISAで運用すれば、5年間という限られた期間ではありますがその税金が非課税になります。投資をして出る利益には「譲渡益」と「分配金」があり、NISAではそのどちらも非課税になります。
まず、1つ目の譲渡益とは、株や投資信託の値段が上がった時に売ることによって出る利益のことです。例えば、ある株式を100万円で買い、5年後110万円になった時に売った場合、普通の証券口座であれば利益10万円に対して20.315%の2万315円税金がかかります。つまり、実際に受け取れるのは7万9,685円になるのですが、これがNISAであれば税金がかからないので10万円そのまま受け取ることができます。
次に分配金ですが、購入する株式や投資信託によっては毎年配当金が出るものがあります。例えばある投資信託を100万円分持っていて、毎年2万円の配当金を受け取れるとすると、通常であればその配当金2万円にも20.315%の税金がかかります。NISAではこの配当金にかかる税金も非課税になるということです。
毎年120万円を5年間投資ができる
NISA口座では、毎年120万円分まで株や投資信託が買えます。購入した金融商品を運用して出た利益が5年間非課税になるので、この120万円は非課税投資枠と言われます。NISAでは非課税投資枠を利用できるのは最長5年なので、この非課税投資枠を利用して投資できる金額は最大600万円になります。
NISAの注意点やデメリット
口座は1人1口座まで
銀行口座や証券口座は1人で複数持つことができますし、実際に生活用口座や貯金用口座、投資用口座などと使い分けている人も多いと思いますが、NISA口座は1人1口座しか持つことができません。一度どこかの金融機関でNISA口座を開設すると、別の金融機関で口座を開設したくなった時、元の口座は解約しなければならないということです。馴染みの金融機関でとりあえず開設しようと考えるのではなく、はじめに慎重に選びましょう。
また、NISAには今回ご紹介している一般NISAのほか、特に少額からの長期・積立・分散投資に適した「つみたてNISA」という制度もありますが、NISA(一般NISA)とつみたてNISAの口座はどちらか一方しか持つことができず、NISA口座を開設するとつみたてNISAの口座は開設できなくなることにも注意が必要です。
5年後の取り扱いによっては損をすることも
NISAの非課税期間は5年なので、5年以内に利益が出て売ることができれば、本来かかるはずだった税金がかからなくてよかったね、で済みます。しかし、買った株式の値段が5年後下がっていたなどの理由で売るタイミングではない時はどうすればいいでしょうか。この場合、翌年の非課税投資枠に資産を移管するロールオーバーと、普通の課税される証券口座に移管する2つのパターンがあります。
まず、ロールオーバーですが、例えば2015年にNISAで買った投資信託の非課税期間は2019年末で終了しますが、同じ金融機関で2020年もNISAを利用する場合、2020年の非課税枠に2015年に買った投資信託を移管することができます。つまり、実質的に非課税期間を延長できるということです。
次に、NISA口座ではなく一般の証券口座に移管する方法ですが、この時は注意が必要です。証券口座は利益に税金が発生することは前述しましたが、NISAから資産を移管した場合、その移管した時の値段が利益と損失の基準になります。
例えば、2015年にNISA口座において100万円で買った投資信託が、2020年には60万円に減っていたとします。この60万円を一般の証券口座に移管した場合、この商品を60万円で買ったのと同じ扱いにされるということです。仮にその後、運用が上手くいって買った時の値段である100万円に戻せたとしても、その状態で売ると60万円からの利益40万円に対し、20.315%の8万1,260円税金がかかってしまいます。
NISA口座を開設するときにチェックしたいポイント
手数料はきちんと確認しよう
株や投資信託を売買する時にかかる手数料は金融機関によってかなり違いがあります。NISAでは利益にかかる税金が非課税になりますが、場合によっては非課税で得した金額より手数料の方が高くついてしまうことも起こりますので、口座を開設する前に手数料はしっかりチェックしておきましょう。
とにかく手数料を低く抑えたいという人は、ネット証券がおすすめです。国内株式取引手数料を無料にしている証券会社も多いですし、ETFや投資信託の手数料もキャッシュバックやポイントで還元するなど、各証券会社ごとに特徴があります。
取り扱い商品が豊富だと選択肢が広がる
NISA口座で投資信託を買ってみたいという人は、自分の好みの投資信託があるかあらかじめチェックしておきましょう。現在日本には公募投資信託だけで6,000本以上の商品がありますので、どこの証券会社もすべての投資信託を扱っているということはなく、取り扱う商品の分野や手数料の体系は大きく異なります。
また、日本国内だけでなく海外の商品の取り扱いも証券会社によって特徴が出ます。そもそも海外の商品を取り扱ってない会社もありますし、対象となる国もさまざまです。
株式を買いたいなら少量から買えることも大きなポイント
投資信託ではなく、応援したい会社などの個別株を買いたいという人もいると思います。普通、株は1株からではなく最小で買える単位が決まっていて、これを単元株といいます。この単元株の単位ですが、昔は10株、100株、1,000株などさまざまでしたが、今は100株に統一されています。
例えばある会社の株価が3,000円とすると、最小の単元株である100株買うには30万円かかります。しかし、証券会社によってはミニ株やプチ株という形で単元株未満でも買えるところがあります。自身がどのような投資をしたいかによって、これらのサービスの有無も確認しましょう。
NISA口座におすすめの証券会社5選
SBI証券
ネット証券最大手のSBI証券は、NISA口座を開設する証券会社としても第一候補です。NISAでの国内株式手数料と海外ETF買付手数料が恒久0円になったのに加え、投資信託でも買付手数料無料のノーロード投資信託本数が1,284本と、取引コストは業界最低水準です。
また、商品ラインナップも豊富です。投資信託の本数も2,560本と他の証券会社と比べ非常に多いのですが、外国株式もネット証券最多の9ヵ国の取り扱いがあり、ほとんどの方の投資ニーズに応えてくれるでしょう。
そのほかにも、SBI証券では通常の取引時間に加え、17時から23時59分までの夜間にもリアルタイムで取引できること、投資信託の買付が100円から可能なこと、そして対象となる投資信託の保有額に応じてTポイントが貯まるなど、利用者に嬉しいサービスが整っています。
楽天証券
国内株式の取引手数料が無料の楽天証券も、NISA口座開設におすすめの証券会社の1つです。楽天証券で取り扱う投資信託2,645本がすべてNISA対象で、ノーロードの銘柄も1,366本とトップクラスとなっています。また、海外ETFの買付手数料も全額キャッシュバックされます。
楽天市場や楽天トラベルなど、楽天グループのサービスを利用することによって貯まる「楽天スーパーポイント」で投資信託、国内株式の購入ができるのも楽天証券独自の特徴と言えるでしょう。
マネックス証券
マネックス証券の特徴はなんと言っても手数料が安いことです。国内株式の取引手数料が無料なのはもちろんですが、米国株や中国株を購入した時、約定代金に応じてかかる国内取引手数料も全額がキャッシュバックされ、実質0円で取引ができます。
1,000本以上の投資信託の取り扱いのほか、米国株や中国株のラインナップも豊富で、日本だけではなくこれらの2ヵ国にも資産を分散投資したい人には特におすすめです。
松井証券
100年以上の歴史を持つ松井証券は、日本で初めてインターネットによる本格的な株式取引を開始した証券会社です。株式取引手数料が無料であるのに加え、投資信託の購入時手数料も無料で利用できます。
海外株式の取り扱いはありませんが、初心者にも優しい投資情報ツールが豊富に用意されており、どのような投資スタイルの人でも安心して利用できるでしょう。
カブドットコム証券
カブドットコム証券も特徴のある証券会社です。国内株式の取引手数料が0円のほか、カブドットコム証券が指定する8銘柄のETFの売買手数料も無料になります。また、プチ株と呼ばれる単元株未満の株もNISA口座で1株から買うことができるので、手軽に投資を始めることができるのが魅力です。
※商品数や手数料などデータは全て2019年12月10日現在
NISAの口座選びは慎重に行おう
NISAは運用で得た利益に対してかかる税金が非課税になるのが一番のメリットですが、利益を出すためには当然投資に関する知識と商品選びが大切になります。今回は自分にあった口座の選び方とNISAにおすすめの証券会社を紹介しましたが、まずは自分がどのような投資をしたいのか考えてみることが大切です。その上で、自分に合った商品やサービスがある証券会社を選んでみてください。
文・松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所)/fuelle
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