令和元年(2019年)の株式相場も大詰めを迎え、残すところあとわずかになりました。このままいけば、日経平均株価は前年末比2割に近い上昇率を残して終わることができそうで、新元号の始まりの年としては、まずまずと言えそうです。

令和2年(2020年)はどんな年になり、株式市場の動きはどうなるのでしょうか。7月から始まる東京五輪がもっとも注目をあびるテーマになりそうですが、それに先んじて次世代通信規格である「5G」の商用化がスタート(3月)することも忘れてはならないと思います。5Gサービスが世の中に浸透することで、AI(人工知能)や自動運転、そしてIoTなど、様々な次世代技術が利用可能となり、半導体の需要はまさしく「うなぎ登り」になると期待されます。その意味で半導体もまた、重要な投資テーマであり続けると考えられます。

そこで、年末・年始を前に、「日本株投資戦略」では、2020年に注目されそうな投資テーマについて考えてみました。今回は「半導体」です。「5G」の商用スタートもあり、需要拡大が期待される「半導体」は引き続き重要なテーマであると考えています。

市場で人気を集め、高パフォーマンスの半導体関連銘柄

日本株投資戦略,上方修正期待銘柄
(画像=PIXTA)

株式市場は半導体関連株をどう評価しているのでしょうか。それをたった1銘柄で雄弁に語ってくれるのが「SOX指数(フィラデルフィア半導体指数)」で、図1に長期チャートを掲載しています。インテルやマイクロンテクノロジー、クアルコム、アプライドマテリアルズなど、半導体の製造・流通・販売等を手掛ける複数の企業で構成される単純平均株価指数で、米国のフィラデルフィア証券取引所が算出しています。

そのSOX指数ですが、12/19(木)の米国株式市場では同指数の終値が1,834.973ポイントと過去最高値を更新しました。株式市場は半導体市場の拡大に期待しているようです。日本では2020年に五輪イヤーを迎え、「5G」の商用化が開始される予定ですが、米国や韓国ではすでに始まっており、こうした「5G」市場の拡大が半導体需要をさらに拡大させると予想されているようです。

こうした中、12/19(木)に米半導体大手マイクロンテクノロジー(MU)が四半期決算(2019年9~11月期)における減収・減益を発表しましたが「業績のサイクルは2019年12月~20年2月期に底入れすると楽観している」(同社CEO)とコメントし、これが同社株を含む半導体関連株の上昇につながりました。12/20(金)の東京株式市場は、全般的には方向感の乏しい動きでしたが、アドバンテスト(6857)やSUMCO(3436)など、半導体関連株の一角が買われ、東京エレクトロン(8035・図2)も底堅く推移しました。

SBI証券では、株式市場で人気・話題となっている「投資テーマ」に簡単に投資できるツールとして「テーマキラー!」をご紹介しています。12/20(金)現在、アクセスランキング、急上昇ランキングともに第1位が「5G」、第3位が「半導体」となっています。SBI証券がご紹介している関連銘柄のパフォーマンス(1年)は「5G」が37%、「半導体」が76%となっています。

図1 半導体SOX指数(月足)

図1 半導体SOX指数(月足)
(画像=Bloombergデータを用いてSBI証券が作成)

図2 東京エレクトロン(8035)

図2 東京エレクトロン(8035)
(画像=当社チャートツールを用いてSBI証券が作成)

2020年相場での活躍に期待したい半導体関連銘柄(例)

前述したように、2020年3月より、5Gの商用化が計画されています。具体的にはこの月に、KDDIとソフトバンクが5Gを導入し、NTTドコモは「春」に導入する予定です。世界的にも、「5G」の商用化が進展し、半導体の需要拡大が期待されそうです。

投資家は「半導体関連銘柄」としてどんな銘柄に投資すべきでしょうか。実は、半導体関連銘柄は、自分で企業調査をする手段をもたない個人投資家にとって、個別銘柄の取捨選択の判断が非常に難しいセクターであり、パッケージ投資が非常に有効であると「日本株投資戦略」では考えています。

長く半導体関連銘柄をウォッチすると、買い場は実は、その会社が赤字であった時だったりします。かつて半導体関連銘柄は好況の時には大きく利益を稼ぎ出すものの、不況の時は多くの企業で一気に赤字になるという傾向が強い銘柄でした。赤字でほとんどの投資家が見向きもしない局面が結果的に買い場であったりします。逆に、利益が積み上がり、短期業績についても多くのアナリストが増益見通しを出すような時が売り場であったりします。

「業績が良い株を買い、悪い株を売りましょう」というある意味、素朴な投資スタンスは通じない業種だと考えられます。同様な傾向は、電子部品や電子材料、そのほか市況産業でも見受けられます。それでは、赤字の時に買えば良いかというと、半導体産業の不況の底が長引き、経営問題に発展してしまう企業もあり、難しいところです。かつて「半導体」は、「電子立国ニッポン」の象徴でしたが、諸外国の産業政策や、優れた投資判断能力を有する海外企業との競争に敗れ、メーカーの多くは淘汰されてしまいました。

表1でご紹介したのはほとんどが「テーマキラー!」の銘柄です。「テーマーキラー!」はテーマ株へのパッケージ投資を容易に行うことを手助けするツールでもあります。個人投資家の方が半導体関連銘柄に投資をする際に、個別銘柄のリスクを分散できるこの「テーマキラー!」はより有効であると「日本株投資戦略」は考えています。

個別銘柄にこだわって銘柄を選択する場合は、当社企業調査部のアナリストがカバーしている銘柄をご参考にすると良いでしょう。半導体関連銘柄でありながら、投資判断が「中立」以下のためにご紹介していない銘柄もあります。それらの銘柄も業績や株価の変動により、投資チャンスを迎えてくることもあり得ますので、注意深くウォッチされるとよいでしょう。

表1 2020年相場での活躍に期待したい半導体関連銘柄(例
(画像=SBI証券)

表1 2020年相場での活躍に期待したい半導体関連銘柄(例)
取引 / チャート / ポートフォリオ / コード / 銘柄 / 株価(12/19) / 株価騰落率1ヵ月 / 株価騰落率年初来
<3436> / ★SUMCO / 1,804 / 25.7% / 47.0%
<4063> / ★信越化学工業 / 11,960 / 1.2% / 40.1%
<6258> / ★平田機工 / 7,210 / 3.9% / 47.0%
<6481> / ★THK / 2,961 / 3.2% / 43.6%
<6616> / トレックス・セミコンダクター / 1,639 / 27.4% / 44.9%
<6721> / ★ウインテスト / 232 / -4.1% / 154.9%
<6758> / ソニー / 7,453 / 16.9% / 39.9%
<6857> / ★アドバンテスト / 5,980 / 27.0% / 166.5%
<6920> / ★レーザーテック / 10,200 / 55.0% / 264.0%
<7735> / ★SCREENホールディングス / 7,530 / 15.1% / 63.5%
<8035> / ★東京エレクトロン / 23,910 / 15.1% / 91.1%
<8036> / ★日立ハイテクノロジーズ / 7,740 / 23.4% / 124.0%
<御参考> / フィラデルフィア半導体株指数 / 1,834.973 / 15.3% / 59.9%
<御参考> / TOPIX (東証株価指数) / 1,736.11 / 7.5% / 16.2%

※★印の銘柄は当社「テーマキラー!」で半導体関連銘柄としてご紹介している銘柄です。また、無印の銘柄は、当社企業調査部が12/20時点で投資判断「買い」でカバーしている銘柄(ただし企業調査部が「半導体関連銘柄」として紹介している訳ではありません)で、「日本株投資戦略」が「半導体関連銘柄」と評価している銘柄です。あくまでも「半導体関連銘柄」の例を示すもので、すべての関連銘柄を網羅している訳ではありません。なお、信越化学工業は「テーマキラー!」の組み入れ銘柄であるとともに、当社アナリストのカバー対象でもあります。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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