iDeCo(イデコ)を始めるならSBI証券と楽天証券のどっちがいい?ネット証券大手を徹底比較

iDeCoを始める上で重要となるのが、どの金融機関で始めるかということだ。そこで今回は個人投資家に人気のネット証券会社大手であるSBI証券と楽天証券をピックアップ。それぞれのiDeCoの特徴を徹底比較する。

iDeCo(イデコ)を始めるには金融機関選びが重要——4つの比較ポイント

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(画像=Rido/Shutterstock.com)

iDeCoは自分で掛金を拠出し、自分で選んだ金融商品で運用しながら積み立て、60歳以降に受け取れる個人型の年金だ。iDeCoではどんな金融商品で運用するのか自分で決めることができ、運用対象となる金融商品は、申し込みをした金融機関によっても異なるため、金融機関選びが大きなポイントとなる。

iDeCoの金融機関を比較するポイントとして、「手数料」、「商品ラインナップ」、「インデックスファンドの信託報酬」、「各種サービス」の4つを挙げることができる。

iDeCoができる金融機関は証券会社をはじめ、銀行などさまざまある。中でも手数料が格安で商品が充実しているのがネット証券会社だ。魅力的な商品をそろえており手数料も安く充実したサービスなどで、特に人気なのがネット証券大手のSBI証券と楽天証券だ。

iDeCo(イデコ)の手数料をSBI証券と楽天証券で比較

iDeCoの手数料には、加入時や企業型確定拠出年金などから移管する際の「加入・移管時手数料」、iDeCo加入中に負担する「口座管理手数料」(掛金の拠出「あり」「なし」で手数料が異なる)、企業型確定拠出年金や他金融機関へ移管する際の「企業型年金や他金融機関への移管時手数料」などがある。

これらの手数料は国民年金基金連合会や信託銀行へ支払う共通分と、iDeCoを利用する金融機関への追加分で構成され、後者については金融機関により異なる。SBI証券や楽天証券では、加入・移管時手数料と口座管理手数料において、金融機関分は無料になっている。

SBI証券と楽天証券のiDeCo手数料の一部を下の表にまとめた。

  SBI証券 楽天証券
加入・移換時手数料 2,829円
(金融機関分無料)
2,829円
(金融機関分無料)
口座管理手数料
(掛金拠出者)
171円/月
(金融機関分無料)
171円/月
(金融機関分無料)
口座管理手数料
(掛金を拠出しない場合)
66円/月
(金融機関分無料)
66円/月
(金融機関分無料)
企業型年金や他金融機関への移管時手数料 4,400円 4,400円

※SBI証券、楽天証券の公式ホームページを基に筆者作成

iDeCo(イデコ)の商品ラインアップをSBI証券と楽天証券で比較

SBI証券と楽天証券でiDeCoの商品ラインアップを比較してみたい。SBI証券にはオリジナルプランとセレクトプランの2つのプランがあり、利用するプランを選択するようになっている。

SBI証券の2つのプランと楽天証券の商品本数を比較すると以下の表になる。

  SBI証券 
オリジナルプラン
SBI証券 
セレクトプラン
楽天証券
商品本数 38本 37本 32本
国内株式 9本 6本 6本
国内債券 1本 1本 2本
国内REIT 1本 1本 2本
海外株式 9本 11本 5本
海外債券 2本 4本 4本
海外REIT 1本 1本 1本
国内外株式 2本 3本 2本
コモディティ 1本 1本 1本
バランス型 7本 4本 5本
ターゲットイヤー型 4本 4本 3本
元本確保型商品 1本 1本 1本

※SBI証券と楽天証券のホームページを基に筆者作成

続いてSBI証券と楽天証券のiDeCo商品ラインアップの特徴を紹介しよう。

SBI証券のiDeCo(イデコ)の特徴――圧倒的な商品数から自分に合った商品が選べる

SBI証券はiDeCoの運用を10年以上行っており、楽天証券と比較した場合に大きく異なる点として商品ラインアップの充実度が挙げられる。iDeCo向けの金融商品は楽天証券の32本に対し、SBI証券は38本のオリジナルプランと37本のセレクトプランの2つのプランから選ぶ。両プランともにさまざまな商品をバランスよくそろえており、投資スタイルなどに合わせて選べるというメリットがある。

提案される商品はSBI証券の取扱銘柄の中でも設定から3年以上経過しており、モーニングスター社の格付けで高評価を得ているものだけなので安心だろう。

楽天証券のiDeCo(イデコ)の特徴――運用コストを抑えた厳選ラインナップで選びやすい

楽天証券はSBI証券に比べると商品本数は32本と少ないものの、厳選された商品ラインナップになっており、コストの安いインデックスファンドも充実している。本数を厳選しているため、商品選びがしやすいというメリットがある。

特に「楽天・全米株式インデックス・ファンド」と「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」が楽天証券のiDeCoで購入できるのは大きなメリットだ。これは楽天投信投資顧問の米国大手投信会社であるバンガード社と共同で提供している商品で、日本を含む全世界の株式または全米の株式に投資できる商品だ。低コストで世界の会社に投資ができるというのは魅力的なため注目を集めている。

iDeCo(イデコ)で取り扱うインデックスファンドの信託報酬をSBI証券と楽天証券で比較

投資初心者が選びやすいのがインデックスファンドだ。インデックスファンドは、インデックス(指標)と同じ値動きを目指すファンド(投資信託)である。インデックスファンドを選ぶポイントは、低い信託報酬(ファンド保有中の手数料)だ。

低信託報酬で単一指数のインデックスファンドをSBI証券と楽天証券で比較

SBI証券と楽天証券の単一指数のインデックスファンドの信託報酬を比較すると以下のようになる。

  ファンド名
(SBI証券) 
オリジナルプラン
信託報酬 ファンド名
(SBI証券) 
セレクトプラン
信託報酬 ファンド名
(楽天証券) 
信託報酬
国内
株式
三井住友・DCつみたてNISA・
日本株インデックスファンド
0.1760% eMAXIS Slim国内株式(TOPIX) 0.154%
以内
三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド 0.176%
国内
債券
三菱UFJ 国内債券インデックスファンド(確定拠出年金) 0.132% eMAXIS Slim 国内債券インデックス 0.132%
以内
たわらノーロード国内債券 0.154%
国内
REIT
DCニッセイJ-REITインデックスファンドA 0.275%
以内
<購入・換金手数料なし>ニッセイJリートインデックスファンド 0.275%
以内
三井住友・DC日本リートインデックスファンド 0.275%
海外
株式
DCニッセイ外国株式インデックス 0.154% <購入・換金手数料なし> ニッセイ外国株式インデックスファンド 0.10989%
以内
たわらノーロード先進国株式 0. 10989
海外
債券
野村外国債券インデックスファンド
(確定拠出年金向け)
0.154% eMAXIS Slim先進国債券インデックス 0.154%
以内
たわらノーロード先進国債券 0.187%
海外
REIT
三井住友・DC外国リートインデックスファンド 0.297%
以内
三井住友・DC外国リートインデックスファンド 0.297%
以内
三井住友・DC外国リートインデックスファンド 0.297%

※SBI証券と楽天証券のホームページを基に筆者作成

SBI証券の2つのプランを比較すると、オリジナルプランよりもセレクトプランのほうが低信託報酬の商品がそろう。SBI証券にて単一指数のインデックスファンドでポートフォリオ(金融商品の組み合わせ)を構成するなら、セレクトプランの選択が望ましいと考えられる。

SBI証券のセレクトプランと楽天証券を比較すると、SBI証券のセレクトプランのほうが低信託報酬の商品が多いが、信託報酬に差がない商品もある。自分が投資する資産配分などでどちらの証券会社を選ぶかを検討しよう。

低信託報酬のインデックス・バランスファンドをSBI証券と楽天証券で比較

初心者にとっては単一指数のインデックスファンドの組み合わせを選ぶのは難しいことがある。そのような場合に選びやすいのが、複数指数のバランスファンドだ。バランスファンドは単一指数のインデックスファンドに比べて信託報酬が高めというデメリットがあるが、一つの商品で複数資産への分散投資ができることやリバランス(資産配分のバランス調整)の手間が省けるなどメリットも多い。

SBI証券と楽天証券の低信託報酬のインデックス・バランスファンドは以下となる。

  ファンド名
(SBI証券) 
オリジナルプラン
信託報酬 ファンド名
(SBI証券) 
セレクトプラン
信託報酬 ファンド名
 (楽天証券)
信託報酬
バランス
ファンド
DCインデックスバランス (株式20) 0.187% eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) 0.154%
以内
楽天・インデックス・バランス(DC年金) 0.207%
DCインデックスバランス (株式40) 0.198% - - - -
DCインデックスバランス (株式60) 0.209% - - - -
DCインデックスバランス (株式80) 0.22% - - - -
iFree  8資産バランス 0.242% - - - -

※SBI証券と楽天証券のホームページを基に筆者作成

インデックス・バランスファンドを信託報酬で比較するとSBI証券のセレクトプランが最も低信託報酬の商品を選ぶことができ、楽天証券の商品も低信託報酬だ。しかし、それらの商品はそれぞれ一つだけであるため、資産配分を選べない。一方、SBI証券のオリジナルプランにはさまざまな資産配分の商品が用意されている。SBI証券のセレクトプランや楽天証券の商品とは異なる資産配分の商品を選びたい場合には、SBI証券のオリジナルプランを選択するのがいいだろう。

iDeCo(イデコ)におけるサービスをSBI証券と楽天証券で比較

iDeCoを利用する際のサービスも比較したいポイントである。SBI証券と楽天証券のiDeCoに関連するサービスを紹介する。

セミナー……SBI証券も楽天証券も会場や動画で利用できる

SBI証券は、iDeCo向けやそれ以外の会場型セミナーやオンラインセミナーを無料で利用可能だ。楽天証券も、動画で学べるiDeCoセミナーや会場型のセミナーを無料で利用できる。

ロボアドバイザー……SBI証券はSBI-iDeCoロボがある

投資初心者はiDeCoを始める際の商品選びに迷う可能性がある。そこでSBI証券では「SBI-iDeCoロボ」というロボアドバイザーが商品選びをサポート。SBI-iDeCoロボは、いくつかの質問に答えるだけで、元本確保派から積極派まで6種類の運用スタイルに分類し、それに合った商品を提案してくれる。「SBI-iDeCoロボ」はSBI証券で証券口座を開設していない人でも試せるため、iDeCoを始める前に試してみるのもいいだろう。

資産管理のしやすさ……SBI証券も楽天証券もiDeCo(イデコ)専用アプリの提供はないがスマホサイトにて管理できる

SBI証券と楽天証券ともにiDeCoの専用アプリは提供していないが、両社ともスマホサイトでiDeCo口座の管理が可能だ。特に楽天証券は証券口座とiDeCo口座を一括で管理できるため、iDeCoと合わせて他の投資を行う場合は便利だろう。

サポート体制……SBI証券も楽天証券も電話で平日と土曜日・日曜日に問い合わせできる

SBI証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)サポートデスクは平日および土曜日、日曜日(年末年始を除く)の午前8時~午後6時に利用できる。

楽天証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)ダイヤルは平日午前10時~午後7時(祝日を除く)と土曜日・日曜日の午前9時~午後5時に利用可能だ。さらに、iDeCo専用のAIチャット(ベータ版)をLINEで提供しており、24時間の問い合わせに対応する。

  SBI証券 楽天証券
セミナー あり(無料) あり(無料)
無料のロボアドバイザー あり(SBI-iDeCoロボ) なし
専用アプリ なし(スマホサイトを利用) なし(スマホサイトを利用)
サポート体制 電話(平日、土曜日、日曜日) 電話(平日、土曜日、日曜日)、AIチャット

※SBI証券と楽天証券のホームページを基に筆者作成

iDeCo(イデコ)を始めるならSBI証券と楽天証券を候補に入れたい

SBI証券と楽天証券は共にiDeCoにもかなりの力を入れている。サービス、商品ラインナップともに優れており甲乙つけがたい。どちらも一考の価値がある証券会社であり、iDeCoを始めるならぜひ候補に入れておきたい。

文・松本雄一(ビジネス・金融アドバイザー)/MONEY TIMES

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