毎日新聞は2019年11月13日、賃貸の仲介手数料1ヵ月分は取りすぎだとして、裁判所が仲介会社に返還命令を出したことを報じました。これを受けて、賃貸における仲介手数料が注目されています。今回は、裁判の概要と借り手が交渉する際の注意点について解説します。

仲介手数料1ヵ月分は高すぎる?裁判の内容をおさらい

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(画像=kan_chana/Shutterstock.com)

仲介手数料とは、物件を仲介してくれた仲介会社に対して、手数料として支払う対価のことです。

これまで賃貸住宅を借りる時、高いと思いつつも疑問を抱かずに仲介手数料を支払ってきた人は多いでしょう。多くの仲介会社は、家賃の1ヵ月分を仲介手数料として請求します。

居住用建物の賃貸の仲介について仲介会社が受け取れる仲介手数料は、宅地建物取引業法の報酬告示で定められており、上限は貸し手・借り手合わせて賃料の1ヵ月分の1.1倍以内とされています。貸し手や借り手の承諾を得ている場合は、貸し手または借り手から賃料の1ヵ月分以内の金額を仲介手数料として受け取ることが認められています。

つまり、貸し手・借り手の双方から仲介手数料を受け取る場合、原則は「月額賃料の0.55倍」以内ということになります。

今回の裁判の発端は、都内在住の60代の男性が、「承諾していないのに1ヵ月分の仲介手数料を支払わされた」と主張し、大手仲介会社を訴えたことです。一審では男性が敗訴したものの、控訴審において東京地裁は、「月額賃料の0.55倍」を超える約12万円の仲介手数料を返還するよう仲介会社に命じました。仲介会社は現在高裁に上告中で、「コメントは差し控える」としています。

裁判所が返還命令を出したのは事前に同意を得ていなかったから

仲介手数料は原則「月額賃料の0.55倍」とされていますが、事前に借り手の同意を得て借り手だけに請求するのであれば、賃料の1ヵ月分を請求しても問題にはなりません。

今回の裁判で争点は、「仲介の依頼を受ける前に、仲介手数料について借り手である男性の承諾を得ていたか」です。

今回のケースでは、仲介会社の担当者が契約締結日を男性に連絡しており、その時点で仲介依頼が成立したとみなされました。その後送付された明細書に仲介手数料が明示されており、男性はそのまま支払いました。

つまり、男性の承諾を得る前に明細書に1ヵ月分の仲介手数料を記載し、請求したことになります。これが問題視され、裁判所は仲介会社に多く受け取り過ぎた分の仲介手数料を返還するよう命じました。

仲介手数料の減額交渉はできる?タイミングや注意点

結論から言えば、仲介手数料が原則である「月額賃料の0.55倍」より高く設定されている場合、借り手として減額交渉をすることができます。タイミングとしては、仲介会社が仲介手数料について説明した時になるでしょう。

今回の裁判のように、仲介手数料についての説明がないまま明細書が送付され、そこに1ヵ月分の仲介手数料が記載されていた場合も、交渉によって仲介手数料を値下げできる可能性が高いです。

ただし人気がある物件の場合は、交渉に時間をかけていると別の人が契約してしまうかも知れません。このことを踏まえて、慎重に行動する必要があります。

最近は「仲介手数料無料」や「仲介手数料半額」を謳う物件もありますが、そのような物件は借り手がなかなか見つからないため仲介手数料が安くなっているケースが多いです。

部屋を借りる時は、仲介手数料以外の面も十分に比較検討した上で決断することが大切です。(提供:YANUSY

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