「若い時こそお金を使うべき」という意見と、「若い時は貯金をして年を取ってからお金を使うべき」という意見があります。今回は、それぞれの意見の正しい解釈と、人生を通したお金との付き合い方について、FPがわかりやすく解説します。

「若い時こそお金を使うべき」の根拠は?

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(画像=nito/Shutterstock.com)

「若い時こそお金を使うべき」という意見を正しく汲み取るには、お金の使い方には3種類あることを知らなければなりません。お金の使い方は、主に浪費・消費・投資の3つに分けられます。

浪費とは、「自分でも無駄と感じる出費」のことです。過度なギャンブルや、衝動買いなどが該当します。消費とは、家賃や食費・光熱費・医療費など「生活する上で必要な出費」です。

投資とは、「支払った以上のリターンが見込める出費」です。株式投資や不動産投資のほか、自己投資も投資の一つと言えるでしょう。自分自身のスキルアップにつながるセミナー代や書籍代なども、自己投資に含まれます。

「若い時こそお金を使うべき」という意見は、言うまでもなく投資のことを指しています。貯金をせずに浪費をしてもいいという意味ではありません。

この意見には、一理あります。投資は、一般的に長期で行うほどリスクが低くなります。20代・30代のうちに投資を始めることで、リスクを抑えつつ着実に資産を形成できるでしょう。

長期投資では、複利効果が大きくなるのもメリットです。複利効果とは、投資で得られた利益を再投資することで、雪だるま式に資産が増えていくことを指します。

若いうちに投資を始めることで、経験を積むこともできます。投資には多くの種類があり、それぞれ向き・不向きがあります。どの投資方法が自分に向いているか、情報収集をしたり実際に経験してみたりするのは、頭が柔らかく飲み込みの早い、若い時のほうがいいでしょう。

「若い時は貯金をして年を取ってからお金を使うべき」は本当か?

一方で、「若い時は貯金をすべき」という考え方もあります。2019年は「老後資金2,000万円不足問題」が話題になり、資産形成セミナーに通う人が増えましたが、普通預金や定期預金で堅実に貯金をしたいと考える人も依然として多いです。

この考え方も、あながち間違いではないと言えます。単純に考えて、さまざまなライフイベントを控えた若い頃は、いつどのぐらいのお金が必要になるかわからない人がほとんどでしょう。その中で、まとまった資金を投資することは簡単ではありません。

結婚や出産、子育てなどのライフイベントが一段落した時に、じっくり腰を据えて資産運用に取り組むというのも、立派な選択です。それまでにまとまった資金を貯めておけば、投資の選択肢も増えます。

「人生100年時代」では、退職後に40年もの自由な時間が待っています。若くて体力があるうちは、なりふり構わず本業に専念してスキルアップを図り、老後に資産運用を始めるのもいいでしょう。

自分なりのお金との付き合い方を早めに見出すことが大切

「お金は若い時に使うべきか、年を取ってから使うべきか」という問いに、正解はありません。大切なのは、「自分がどんな人生を歩みたいか」について深く考え、それに見合ったお金の使い方を選ぶことです。

リスクを覚悟で投資家として身を立てたいなら、若い頃から株式投資やFX投資について死に物狂いで勉強するのもいいでしょう。本業に専念しつつ資産運用をしたいなら、不動産投資や投資信託が向いています。

所得水準によって、投資と消費の配分は変わります。所得が高ければ、節税対策を行う必要もあるでしょう。

もったいないのは、「お金の使い方」を意識しないまま過ごしてしまうことです。過ぎた時間は、決して戻ってきません。10年後、20年後に後悔しないためにも、早いうちに自分の人生を見つめ、自分なりのお金との付き合い方を見つけることが大切です。(提供:YANUSY

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