2019年のIPO市場は活況だったが、その勢いは2020年も続くのか。金融業界の展望を探る新年特集の第6回は新規公開株(IPO)市場。RAKAN RICERCA 代表取締役社長の若杉篤史さんに寄稿いただいた内容をお届けする。

ようやく動き始めた東証改革のインパクト

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(画像=slyellow/,ZUU online)

2020年は新規株式公開(IPO)市場のみならず、株式市場にとっては大きな“変化”が待ち受けている。その1つが、東京証券取引所(東証)の市場改革だ。

日本取引所グループの清田瞭CEOは2019年12月17日の会見で、東証の市場改革の制度設計について「来年6~7月までの間に一定の形を作りたい」と述べた。

また、東証の市場改革をめぐる金融庁の金融審議会は12月25日の会合で、現在の1部、2部などの4市場を3市場に再編するよう促すとともに、新たな1部に新規上場するには市場で売買可能な「流通時価総額」で100億円以上が必要だとの方向性を示した。

情報漏洩問題で出だしからつまずいた東証の市場改革が、ようやく進み始めた印象だ。

詳細は今後詰めていくことになるため、変更になる可能性はあるが、現時点で東証は「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3市場に再編されると見られる。2019年のIPO市場を振り返った記事でも触れたが、足元でJASDAQへの上場が減少し、東証2部への上場が増加した背景には、こうした動きがあると見られている。

また、影響の度合いまでは分からないが、東京五輪のも少なからず影響を与えるビッグイベントと言えよう。

アジアが活況でも日本は19年並みか