ジャック・マー(馬雲、英語:Jack Ma、以下ジャック・マーと表記)氏は1999年に香港で「阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング、英語:Alibaba Group Holding Limited。以下「アリババ集団」または「アリババ」と表記)」を創業し、株式時価総額の世界ランキング7位にまで育てました。アリババ以外の企業とも関わりを持ち、ソフトバンクグループの取締役も務めましたが、2019年9月10日、55歳の誕生日を機にアリババ会長を勇退し、世界を驚かせたのは記憶に新しいところです。彼が各メディアで語った「リーダーの条件」を整理しました。

ジャック・マー氏が語るリーダーの条件1 「信頼を得ること」

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(画像=Frederic Legrand - COMEO/Shutterstock.com)

ジャック・マー氏は2018年4月に来日した際、早稲田大学の特別対談で登壇しました。その成功の法則をテーマにしたインタビューの中で、「会社のプロジェクトであれば当然チームを組んで実現を目指すことになるが、その場合は信頼できる人、すなわち言葉に裏表がない有言実行タイプの人間でチームを組むべきだ」と説いています。

またチームを率いるリーダーとして大事なのは、「まず自分が信頼を得ること」であり、チームから信頼を得るコミュニケーション方法として「メンバーと率直に話すこと」「隠しごとをしないこと」を挙げています。

ジャック・マー氏が語るリーダーの条件2 「失敗に負けないメンタルの強さ」

マー氏が「世界経済フォーラム2015」に登壇した際は、人生の節目では失敗続きだったという自身の過去についても語っています。世界の株式時価総額トップ10に入る大企業のリーダーになる道は、決して平坦ではなかったのです。

若き日のマー氏は大学受験に3回落ち、警察官をはじめ就職試験でも不採用の連続でした。ハーバード大学は何と10回落ちたそうです。それでもマー氏は挫けることなく、英語の習得に活路を見出します。シャングリラホテルに通い詰めて外国人観光客のツアーガイドを務めることで、生きた英語を学べたことが大きかったといいます。この経験が1995年にアメリカへ渡るきっかけになり、シアトルでインターネットビジネスを知ることになります。

もしも彼が学ぶことをあきらめていたら、アリババは誕生しなかったでしょう。失敗に負けないメンタルの強さも、リーダーの条件の一つと言えるでしょう。

ジャック・マー氏が語るリーダーの条件3 「未来を見通す力」

最後の条件は、「未来を見通す力」です。

組織やチームを「成功」へ導いてこそ優れたリーダーと言えます。マー氏は2014年11月に行われた世界インターネット大会で講演した中で、清朝末期の実業家・胡雪巌氏の言葉を引用して、「今しか見ていない者はその日限りの商売しかできないが、10年後を見通すことができたなら、未来の商売ができる」と語っています。

「未来を見通す力」は、特に経営者や経営層に求められるスキルでしょう。卓越した先見性を持ち「このような社会になるはず、だからこういうビジネスが成功する」というビジョン(見通す力)がなければ、強固なビジネスモデルを構築することはできません。また突出した先見性を生み出すためには知識と教養、過去の情報を集め分析し冷静に俯瞰するスキル、自身に学びを与えてくれる人脈をつくり経験を積むことも必要です。

時代の流れに合わせた柔軟性をもつリーダーは運も掴む

マー氏は上記の講演で「運の良さ」にも触れ、「時代の流れに合わせた柔軟性を持ち、運を取り込むことも大切だ」と説いています。

アリババが現在の地位を築くことができた理由はたくさんありますが、「もしも「中国イエローページ」をやってなかったら、対外経済貿易協力部での業務経験がなかったら、過去に経験した試行錯誤がなければ、現在のアリババはなかったはず」とマー氏は述べています。

2019年10月現在のアリババの株式時価総額は世界ランキング7位で、中国を代表する企業に成長しました。その理由が、本人が語った3つのリーダーの条件だったとすれば、マー氏の生き方から学ぶことは多いと言えそうです。

参考:
・NNA ASIA 【アジアインタビュー】ジャック・マーが語った“成功”の法則 早稲田大学の特別イベントに登壇
・ logmiBiz ジャック・マー「人生の節目では失敗続きだった」逆境の中どうやってアリババを創業したのか
・NewsPicks ジャック・マー講演全録(1)「なぜ私は成功できたか」(財新網)(提供:Wealth Lounge

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