保全の方法-確実な担保提供と物件価値による説得
このようにして、マンション投資のための融資を得るためには、あくまでも貸し手の立場を把握することです。保全が必要という貸し手の立場を満足させるということがポイントとなります。具体的にはどのような保全の方法があるのでしょうか。まず、受けた融資により購入する物件の価値がどれほどかということを具体的な数値をもって説明することが必要不可欠です。マンションの価値算定方法については、積算法や収益還元法などの方法があります。積算法は、物件の土地と建物の評価額を足し算したものであり、収益還元法は、合理的な推定の利回りを提示するという方法です。この場合、収益還元法よりも積算法の方が価値がわかりやすいと言えます。銀行としては万が一の場合には、担保権実行により回収することができる価値を把握しやすくなります。収益還元法は、いかに合理的なものであっても、あくまでも「推定」です。そのため、積算法によって、銀行に対して、万が一の際に回収できる価値を客観的に示すことが保全の要求を素直に満たすことができます。
また、可能な限り現実性のある他の担保を提供するということも銀行の保全の要求を満たすためには効果的です。例えば、他の不動産を共同担保として抵当権の追加設定をすること、退職金を担保に提供すること、可能であれば保証人を立てること、車などの価値の高い動産に譲渡担保権を設定すること、加入している保険金の受給権を担保に提供することなどを提案することが保全の要求を満たしえます。このようにして物件価値に加えて可能な限り現実味のある担保を提供することで融資を受けることができる可能性が高まることになります。
「マンション投資も所詮は担保」という文脈でお話させていただきましたが、この点をあくまでも現実として把握されることが融資を得るためには重要です。ただ、一方で、貸し手は優良な借り手の方にお金を使ってもらうことが「商売」であること、そして金融機関として存在する社会的意義であることもまた事実です。相手には「保全の必要性がある」という当たり前の事実をしっかりと把握した上で、物件価値を熱意を持って説得するなどが重要です。あくまでも「敵を知る」ことが融資成功のための重要な第一歩となります。
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