30代になると、女性は体調の変化を敏感に感じ、また厄年も重なることから、病気になった時や万が一の場合のことを考え始める方も多いのではないでしょうか。今回は特に、女性特有の病気に対して保障が手厚い女性向けの医療保険を解説し、女性の保険の考え方を紹介します。

女性特有の病気にはどんなものがある?

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(画像=PIXTA)

女性特有の病気はがんと出産に関連する症状の割合が高い

女性特有の病気には、女性にしかない乳房や子宮、卵巣などに関わるがん、上皮内新生物、機能障害などがあります。厚生労働省が2019年に発表した「平成29年患者調査」によると、特にがんに関しては、乳がんや子宮がんなど女性特有のがんにかかった人の割合が、女性のがん患者全体の39%にのぼっています。

また、女性には妊娠・出産によるリスクもあります。妊娠・出産は病気ではありませんが、切迫早産、異常分娩や子宮外妊娠などの合併症といった命に関わるトラブルもあり、それらによって長期入院することも考えられます。

女性特有の病気になる人は30後半から増加傾向

がんは高齢になればなるほど罹患率が高くなりますが、女性特有のがんは30代後半から急激に増えます(表1参照)。がんと診断されると、その後の医療保険を変更できにくくなったり、加入自体に制限がかかったりすることもあるので、女性の場合は特に早い段階で医療保険を見直しておく必要があります。

表1.女性の年齢別がん患者数

  0~24
25~34
35~44
45歳~54
55歳~64
65歳~74
75歳~84
85歳
以上
食道がん 0 0 0 0 1 4 1 1
胃がん 0 0 1 4 9 20 20 8
結腸がん 0 0 3 8 11 26 29 13
乳がん 0 3 16 50 49 59 39 14
子宮がん 0 3 8 14 11 12 6 2

女性保険に加入するメリット

入院給付金を増額するよりお得になる

医療保険では、基本的にどのような病気やケガで手術や入院をしても保障を受けることができます。女性保険は、医療保険と同じように病気の種類に関わらず保障を受けることができますが、さらに女性特有の病気で入院した場合、保障が上乗せされるのが特徴です。

保障の上乗せの内容としては、主契約による入院給付金に加え、女性入院給付金が支払われるタイプが多くなっています。例えば、通常の入院給付金の日額が5,000円だった場合、女性特有の病気で入院した際には、さらに5,000円が上乗せされ、合計で1万円の入院給付金が受け取れるというような形です。

上乗せ分が女性特有の病気に限定されているので、すべての病気に対する保障がつく医療保険の入院給付金をただ単に倍の1万円にするより保険料が割安になります。

覚えておきたい差額ベッド代

公的な健康保険に加入しているのであれば、治療費や入院費の自己負担は3割ですし、また平均的な年収(標準報酬月額28万円から50万円の場合の年収)の方であれば、治療費がどんなに高額になっても1ヵ月の自己負担額を8万円強に抑えることができる高額療養費制度を利用することができます。

しかし、女性特有の病気で入院する場合、プライバシーなどを気にして個室や少人数の部屋を希望するケースもあるでしょう。その際に注意したいのが、個室や少人数(4人以下)の部屋に入院すると、公的な医療保険が適用されない差額ベッド代がかかってしまうことです。

厚生労働省が2018年に発表した中央社会保険医療協議会(第401回)によると、1日あたりの差額ベッドの平均徴収額は、1人室で7,837円、2人室3,119円、3人室2,798円、4人室2,440円でした。仮に1日あたり7,000円の差額ベッド代が発生した場合、5日間の入院で3万5,000円の費用がかかります。

女性向けの医療保険では、女性特有の病気になった時に保障が上乗せされますが、その上乗せされた給付金で差額ベッド代を気にせず個室を選択できるというのは安心感があるのではないでしょうか。

こういう人は保険の加入を検討しよう

もしもの時の蓄えが少ない人

「保険は生活に余裕がある人が加入するもの」とか「お金が貯まってから保険のことは考えよう」と思っている人もいるかもしれませんが、保険はいざという時の蓄えが無い人ほど加入した方がいいものです。貯金が無い時に入院費がかかると、上でご紹介したようにプライバシーのために個室に行くという選択がしにくくなりますし、入院が長引くと最悪の場合どこかから借金をしなければならなくなる可能性もあります。

逆に、いざという時のためにすでに充分な貯金がある人は、医療保険に加入するのもいいですし、貯金をさらに増やしていってもいいでしょう。

結婚・出産を考えている人

医療保険には現在の状態、また過去の病気や入院歴によって、加入に関してさまざまな条件が付くことがあります。例えば、妊娠中に保険に入っても出産に関する保障は適用外になることもあります。また、最初の出産の時に帝王切開になったので、次の妊娠に備えて医療保険に入ろうとしても帝王切開は給付金の支払いの対象外になることもあります。

何らかの病気になってから、また妊娠してから保険に加入しても必要な保障が受けられないことは多々あるので、結婚・出産を考えている人は健康なうちに保険に加入しておくとよいでしょう。

体調の変化を感じた時は保険を見直すタイミングかも

女性は30代後半から女性特有の病気にかかる確率が上がってくることや妊娠・出産の機会があること、また男性よりも長生きであるため、その分余計にケガや病気に備える必要があります。30代になると体調の変化を感じることも多くなると思いますが、もしかしたらそれは保険を見直すタイミングかもしれません。ぜひ健康なうちに保険のことを考えてみてください。

文・松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所)/fuelle

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