肌感覚に合わないからといって無視してはいけない

結果を出す人がやっている「思考整理」の習慣,生方正也
(画像=THE21オンライン)

ロジカルシンキングや情報活用術、仮説思考などについて指導や執筆活動を行なっている生方正也氏は、仕事の生産性を高めるためには、行動に移す前に思考を整理することが重要だと指摘する。ここでは、データを見る際に行なうべき思考整理について聞いた。

※本稿は、生方正也著『結果を出す人がやっている「思考整理」の習慣』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

違和感のある情報は宝の山

データを調べたり情報を集めてみると、もともと自分が思い描いていた結果とは違う内容だったりすることがあります。そうすると、「データがおかしい」とそのデータを無視してしまいたくなります。データが自分の肌感覚と合わない原因は、集め方が変だったりする可能性もありますから。

しかし、そういった違和感を無視するようなやり方は少しもったいないですね。せっかくなので、違和感からいろいろと考えを深めていくようにするほうが生産的です。

あるお店の店長の例で考えてみましょう。接客していると、どうも若いお客様の来客が多く、商品もたくさん購入しているようです。さらにターゲットを広げるため、中高年層に対して販売促進をしようと思ったとします。しかし、実際に年代別での売上データを集計した結果、中高年層の売上高は若者の売上高とそう変わりませんでした――。この場合どうすればいいでしょうか?

もちろん、売上データが間違っているわけではありませんし、自分自身の肌感覚も間違っているわけでもないでしょう。両者のギャップは何かを探ることが大切です。そのときは、もう少しデータを詳しく見てみたり、自分の肌感覚を振り返ってみたりしてください。

売上データに関しては、単に売上高のレベルでチェックするのではなく、もっと細かく見てみましょう。

例えば、年代別の売上高をさらに時間帯で分けてみるとどうでしょうか? もしかしたら、自分が接客をしている時間帯は若者の売上が多い一方で、自分が接客をしていない時間帯の売上は中高年層が中心だったりすれば、自分の肌感覚と合わない理由がわかります。

別の見方もできます。年代別で、売上をさらに購入客数と客単価に分けて調べてみます。すると、若者は購入する人数自体は多いもののあまり単価は高くない一方、中高年層は一人当たりの支払額が多めだったりすると、レジで接する人数という肌感覚とは合っていることがわかります。