未来の世界を見通したトーマス・エジソン

電球を実用化したエジソン

発明王エジソンの例です。

エジソンも、ラテラルシンキングの達人でした。

ところで、電球の「発明者」はエジソンだと思っている人は多いのではないでしょうか。実は、電球を最初に発明したのはイギリス人のジョセフ・スワンです。

ただ、スワンの電球は10~40時間程度しか持ちませんでした。それでもロウソクよりは、はるかに長い時間点灯するとあって、とても重宝されたのです。

エジソンも同じ頃に電球の実験をしており、日本の竹をフィラメント(発熱部に使われる細い線)の素材に採用して、一気に1000時間を超えるまで電球の寿命を延ばしました。

エジソンが実用化した白熱電球の寿命は、現在使われている電球の寿命とさほど変わりません。

フォードが、一部のお金持ちの趣味に近かった自動車を大衆化したのと同じように、エジソンは電球を改良し、実用化することに成功したのです。

電球普及の先にエジソンが見ていたもの

ところで、なぜエジソンは電球の実用化にこだわったのでしょうか?

エジソンが考えていたのは、電球が普及したあとのことでした。「実用化に成功すれば、たくさんの人が電球を買い求める。だから、電球を製造すれば儲かるはずだ!」

普通は、こんなふうに考えます。

でも、エジソンはちょっと違う発想をしました。

電球がたくさん売れれば、それだけ「電力」が必要になります。

だから、電力供給会社をつくればいいのではないか。

電力が売れれば研究費用を捻出(ねんしゅつ)できますから、思う存分、大好きな研究に没頭できます。

そこでエジソンは、発電所を設立して電気の供給を行いました。もちろん、供給する電気をつくる発電機もエジソンの発明です。

その後、電球は一気に普及。需要が供給を上回り、発電所は成功します。

エジソンの読みは当たったのです。

ここがポイント!
発明品の普及後の世界を想像した。

有利な報酬を選んだジョージ・ルーカス

映画監督が交渉で得たもの

もうひとり、目先の報酬にとらわれず、将来の大きな利益を手にした人物を紹介します。「スター・ウォーズ」シリーズで知られる映画監督ジョージ・ルーカスです。

あるときルーカスは、映画「スター・ウォーズ」の制作を20世紀フォックス社(配給会社)に持ちかけました。

このとき彼は、ある交渉をします。

自分が受け取る監督としての報酬は低くても構わないから、代わりに作品に関わる一切の権利を譲渡してほしいという内容でした。

配給会社としては、監督に支払う報酬が安くて済むなら、それに越したことはありません。そこで、ルーカスの申し出をあっさり受け入れたのです。

爆発的に売れたキャラクター商品

やがて映画が完成しました。

当初、配給会社はまったくヒットを期待していませんでした。「マニア向けのSF映画」という位置づけで、上映館も少なく、地味なスタートだったと言います。

ところが……フタを開けると映画は大ヒット。記録破りの大成功で、瞬く間に興行記録を塗り替えていきました。

ところで、映画のヒットにともなって、飛ぶように売れたものがありました。

一体、何でしょう?

「キャラクター・グッズ」です。

ルーカスが譲り受けた権利の中には、キャラクター・グッズの商品化権が含まれていました。

当時の映画業界は、作品以外で儲けるという発想がなかったため、配給会社としても、それほど重要視していなかったのでしょう。

この権利をもとにキャラクター・グッズを販売したルーカスは、結局、監督報酬をはるかに超える収益を手に入れたのでした。

キャラクター商品そのものの価格は、安いものです。

しかし、1個1個の価格は安くても、世界中の人が購入するわけですから、収益は莫大になります。

ルーカスは、この収益を元手に自身の映像製作会社「ルーカス・フィルム」を立ち上げ、自由な立場で映画を制作できるようになったのです。

目先の報酬にこだわらず、最終的にメリットのある権利を選んだということです。

つまり大切なのは、ラテラルシンキングを使うとおもしろいほど可能性が広がります。

ぜひ活用をオススメします。

ずるい考え方
木村 尚義
流通経済大学卒業後、ソフトウェア開発会社を経てOAシステム販売会社に転職。その後、外資系IT教育会社にて、それまでの経験を生かした研修を展開。2万人以上の受講者から好評を得る。従来の発想の枠を越え、常識にとらわれないビジネススタイルを「創客営業」と名付け、全国にてセミナーを実施中。株式会社創客営業研究所代表取締役・アカデミーヒルズ六本木ライブラリー個人事業研究会会長

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