所得から差し引くことで節税ができるのが所得控除です。年末調整や確定申告では、所得控除をフル活用したいものですよね。そこで、所得控除にはどんな種類があるか、まずは基本を知ることからはじめましょう。

所得控除とは

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(画像=PIXTA)

所得控除とは、国が認めた経費のようなものです。税金は「収入」から「経費」を差し引いた「儲け」に対してかかります。「儲け」を少なくすれば税金も少なくなります。「儲け」を少なくするためには、「経費」を増やせば良いわけです。そして、この「経費」にあたるのが所得控除で、全部で14種類あります。

所得控除の種類一覧

・基礎控除 基礎控除とは、自営業でも会社員でもパートでも、一定所得以下であれば、誰にでも認められた控除です。基礎控除は、所得によって控除できる金額が異なり、合計所得が2,500万円超で受けられなくなります。

2019年までは、所得にかかわらず誰でも差し引くことができましたが、2020年からは所得に応じて控除額が変わるため、年末調整で申告が必要になります。

・社会保険料控除 公的年金の保険料や健康保険料、介護保険料等の社会保険料を支払ったときに支払った金額を所得から差し引くことができます。

・生命保険料控除 生命保険料等を支払ったときに、一定の金額を差し引くことができます。新契約と旧契約で控除できる金額と保険の種類が異なり、2012年1月1日以降に契約した保険を新契約、2011年12月31日までに契約した保険を旧契約といいます。

・地震保険料控除 地震保険の保険料や掛け金を支払ったときに一定額を所得から差し引くことができます。

・医療費控除 1月1日から12月31日までに支払った医療費が一定額を超えると受けられる控除です。年末調整では受けられないので確定申告を行います。医療費控除の特例として、医薬品等購入額が1万2,000円を超える部分を控除できるセルフメディケーション税制があります。医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できないため、対象者はどちらか一方を選択してください。

・小規模企業共済等掛金控除 中小企業基盤整備機構と結んだ共済契約、iDeCoや企業型確定拠出年金、心身障害者扶養共済制度の掛け金を全額控除できます。

・寄付金控除 国や地方公共団体などに寄付をしたときに受けられる控除で、ふるさと納税で受けられる控除がこれにあたります。

・雑損控除 災害や盗難、横領で資産に損害を受けたときは、一定額を所得から控除できます。台風や地震などで被害を受けた時に利用できる控除です。

・配偶者控除 配偶者の合計所得が48万円以下(給与収入のみの場合は103万円以下)の時に受けられる控除で、控除を受ける本人の合計所得額によって控除額が変わります。合計所得が1,000万円を超えると、控除は受けられません。

・配偶者特別控除 配偶者の合計所得が48万円を超えるため、配偶者控除が受けられない場合でも、合計所得が133万円以下(給与収入のみの場合201万円以下)であれば、本人の合計所得に応じて、一定額を所得から差し引くことができます。合計所得が1,000万円を超えると控除は受けられません。

・扶養控除 16歳以上23歳未満の子どもや父母等、合計所得金額が48万円以下の控除対象の扶養親族がいる場合に受けられる控除です。

・寡婦(夫)控除 夫や妻と離婚や死別をして、再婚をしていない人で、総所得金額等が48万円以下の生計が同じ子ども等がいる場合に受けられる控除です。本人の合計所得が500万円を超えると、控除は受けられません。

・勤労学生控除 納税者本人が大学生などの学生で、合計所得が75万円以下(給与収入のみの場合130万円以下)の場合、所得から27万円を控除できます。

・障害者控除 納税者本人や生計が同じで合計所得が48万円以下の配偶者、扶養親族が所得税法上の障害者の場合、受けられる控除です。

個人事業主は青色申告特別控除も受けられる

個人事業主など事業所得がある人や不動産所得がある人で、複式簿記による記帳をしている人は、青色申告特別控除を受けることができます。控除額は55万円ですが、e-TAXを使用するなど要件を満たせば、65万円を控除することができます。

税額控除も利用してさらに節税

所得控除は所得から差し引くものですが、税金から直接差し引くことのできる税額控除という仕組みもあります。住宅ローン控除がそれにあたり、そのほかには、住宅の耐震改修をした場合に受けられる住宅耐震改修特別控除などがあります。

申請し忘れた場合はどうする?

年末調整で申請し忘れた場合は、まずは、会社の担当者に相談をしてみましょう。年末調整のやり直しができるかもしれません。もし、やり直しができない場合は確定申告をします。

しかし、大半のケースでは所得税が戻ってくる還付のケースですから、確定申告の時期に関係なく、翌年の1月1日から5年間の間に申告すれば税金は戻ってきます。これを還付申告と言います。

個人事業主など、確定申告をして控除を申請し忘れた場合でも還付申告を行うことで税金が戻ってきます。

文・前田菜緒(1級ファイナンシャルプランナー、FP相談ねっと 前田菜緒)/fuelle

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