(本記事は、ビジョン税理士法人編著『平成31年度:令和元年の税制改正対応版 Q&A:対話式 超わかりやすい ネットで稼ぐ人の確定申告』セルバ出版の中から一部を抜粋:編集しています)
ネットで稼ぐ人は全員納税が必要ってホント
●確定申告をしなければならない可能性のある人
なるみ:始めたばかりでネット収入が少ない人や経費が多くて儲けがない人などは確定申告をしなくていいんでしょ。
あかり:今までずっと「儲けたら確定申告が必要」と言い続けてきましたが、ネットで稼ぎのある人は全員申告が必要なわけではありません。
なるみ:どのような人が確定申告をしないといけないんですか。
あかり:専業か副業かで確定申告が必要な要件が違ってきます。
給与所得があって副業でネット所得のある人は、給与所得以外の所得が20万円を超える人、専業の人は年間38万円を超えるネット所得がある人は確定申告をしなければならない可能性があります。
●38万円は「基礎控除」の金額のこと
あかり:38万円という基準は、日本に住む人なら誰でも受けられる「基礎控除」の金額のことです。
なるみ:「基礎控除」ってどういうものですか。
あかり:「基礎控除」は「所得控除」の1つで、控除とは、所得から差し引ける金額のことです。
なるみ:事業所得が38万円の人が確定申告をすると、基礎控除額の38万円がまるまる差し引かれて税金がかかる所得が0円になるから、確定申告が必要ないというわけですね。
あかり:はい、そうです。税金がかかる所得、つまり課税所得が0円なので納める税金も0円です。それから、副業の場合は「所得20万円まではサラリーマンのお小遣いとして見逃してあげるよ」ということで、20万円までは確定申告の必要がありません。
ネット収入にかかる税金はどのくらい納めればいい
●たくさん稼ぐ人からたくさん納めてもらうのが所得税
あかり:申告が必要となると、いったい自分がどのぐらい税金を納めないといけないのかということが気になりますよね。
なるみ:はい。とっても気になります。たしか、所得税はたくさん稼いだ人からたくさん納めてもらう仕組みになっているんですよね。
あかり:はい。収入から経費、所得控除を差し引いて算出した課税所得の金額が多くなれば税率も上がっていきます。税率は5%から始まって段階的に高くなり、最高45%までになります。
●所得税の速算表に当てはめて計算する
あかり:例えば、収入が300万円、経費が100万円の場合、所得金額は収入金額から経費を差し引いた200万円になります。所得控除が基礎控除38万円だけの場合、先ほど算出した200万円から38万円の所得控除を差し引いた162万円が課税所得金額です。その金額をもとに皆さんの税金を計算します。
なるみ:速算表に当てはめると、税率5%、所得税の速算表控除額が0円なので、162万円×5%ー0円で、納める税金は8万1000円になります(注:復興所得税は含んでいません)。
あかり:さらに、図の②、③の計算を経て、申告納税額を計算します。
確定申告をしなかったらペナルティーがあるってホント
●確定申告をしなくてもバレないというのはウソ!
なるみ:確定申告をしないでバレちゃったらどうなりますか。
あかり:バレたら罰則(ペナルティー)が課されます。儲けが少ないからとか、赤字だったから申告しなくても大丈夫だろうと確定申告をせずに何年も放置しておくと、突然税務調査が入って無申告がばれる場合があるのです。
なるみ:どこからバレるんですか。
あかり:例えば、フェイスブックやブログで集客をしている場合は、そこから目をつけられる可能性があります。ネットオークションで稼いでいる人は宅急便の利用が多すぎるということで目をつけられたと聞いたことがあります。
国税局には電子商取引担当という専門チームが配備されていて、怪しいお金の動きがないかを年中チェックしているからです。
無申告が見つかった場合は、過去7年にさかのぼって調査を受けて税金を払わないといけなくなる可能性があります。
確定申告が必要か否かの判断はどうすればいい
次のフロチャートで確認しましょう。
※副業でネット収入のあるサラリーマンは20万円までは確定申告の必要はありません。サラリーマンでなくても、開業届を出している場合は、ネット所得が38万円を超えたら申告の必要があります。ネット収入が、臨時的収入のときは雑所得扱いになります。
ここでは、ネットで稼ぐのは事業と思われるので、事業所得として話を進めていきます。