(本記事は、ビジョン税理士法人編著『平成31年度:令和元年の税制改正対応版 Q&A:対話式 超わかりやすい ネットで稼ぐ人の確定申告』セルバ出版の中から一部を抜粋:編集しています)
ネットのプロバイダー料金は
●ネットビジネスと言えば通信費
あかり:通信費は、電話代、切手代、はがき代などの通信にかかった費用をいいます。ネットビジネスをしている人に必須のインターネット関連費用もこの通信費で処理します。
なるみ:プロバイダー料などですか。
あかり:そうです。プロバイダー料以外にも、ドメイン取得費用、サーバーレンタル料なども通信費に該当します。
なるみ:ウイルス対策ソフト購入費用はどうですか。
あかり:通信のためと考えれば通信費で処理します。
ドメイン取得費、サーバーレンタル料、ウイルス対策ソフト購入費用、プロバイダー料金など、パソコンに関連する費用をまとめて「パソコン関連費」という勘定科目名をつくって処理することもできます。
勘定科目名は必ずこの勘定科目を使わなくてはいけないと決まっているわけではないので自分が使いやすいものを選んでください。
オリジナルの勘定科目名をつくることもできます。
●夫婦や親族が負担する事業支出は経費で落とせるか
なるみ:家のネット関連費を主人が支払っていて、名義も主人の場合に私の経費にできますか。
あかり:実は、ご主人名義の支出であっても経費として認められます。複数の税務署に確認したので、安心してください。
なるみ:なぜ、自分が支払っていないのに経費として認められるのですか。
あかり:税金は実費主義をとっています。
例えば、なるみさんが自宅の一室を仕事場としていて、毎月3万円を事務所の家賃としてご主人に支払っているとします。
このような同一生計の親族に対する家賃の支払いは、経費として計上することができません。
なるみ:生計を一にする親族に対する支払いは、経費として認められないんですね。
あかり:そうなんです。その代りに夫婦や親族が負担する事業支出は、経費として認めてもらえます。ご主人が支払っている家賃のうち事業と関連している金額のみ経費として認められるので按分して経費に計上してください。
勉強会に行くための交通費は
●売上アップのためのセミナー代は経費
あかり:1人ビジネスは自分の知識やスキルが売上に直結するので、勉強会やセミナーに参加する人が多いと思います。
なるみ:参加のための支出も経費にしてよいでしょうか。
勘定科目はどうしたらいいですか。
あかり:勉強会やセミナー代、書籍代は採用教育費又は研修費などが使えます。書籍代は別に新聞図書費という勘定科目をつくっても管理がしやすいと思います。
なるみ:写真教室のお月謝は採用教育費や研修費でいいですか。
あかり:はい。また、ホームページやブログの閲覧数を増やして売上アップを図るための経費は、仕事に関連する支出なので経費としていいでしょう。
●セミナー会場までの交通費も経費になる
なるみ:セミナー会場までのタクシー代も経費になりますか。
あかり:セミナー会場までの交通費も仕事に関連する支出なので経費になります。
タクシーを使った場合は、領収書の裏に参加したセミナーの名前を書いておくことで事業支出の証拠となります。電車代など領収書が出ない場合は、金額と日付、行き先のメモを書くようにしましょう。
事業に関連する書籍の購入、見本市への参加、仕入や取材のための電車代、車を使っている人はガソリン代、高速道路代なども旅費交通費として認められるのでモレのないように計上してくださいね。
●交通系電子マネーのチャージの記帳
なるみ:Suicaなど交通系電子マネーへのチャージはどのように処理をしたらいいですか。
あかり:厳密にはチャージしたときに現金の減少、電子マネーの増加を記帳し、電子マネーを使用したときに電子マネーの減少、旅費交通費の発生を記帳します。
ただし、プライベートでの利用やコンビニでの支払いに電子マネーを使わない場合はチャージのタイミングで旅費交通費の発生を記帳することもできます。
仕事仲間や取引先の人との飲食代は
●人付き合いの大切さをアピール
なるみ:仕事のために使った費用って経費になりますよね。接待交際に使ったものもOKですよね。
あかり:接待交際費をはじめ、情報収集や情報交換などのために使った飲食代などの費用も経費にできます。
なるみ:ネットビジネスは、自宅で1人でするというイメージがあるので人づきあいが重要という認識がうすいのではないですか。
あかり:仕事の幅を広げたり仕事内容を充実させたりするには、もっと人づきあいの大切なことをアピールすべきですね。
●ネットで稼ぐために使った接待交際費用
なるみ:接待交際費で計上できるのはどんなものですか。
あかり:図のような費用で、営業的に必要だと認められるものです。
なるみ:取引先や仕事仲間との飲食、お土産代、お中元、お歳暮などは大丈夫ですよね。
それと、法人企業は交際費と認められる金額に上限があると聞いたことがあるのですが、個人事業主にもそういったきまりがあるのですか。
あかり:個人事業主の場合、交際費に上限はありませんが、仕事のために使った費用しか認められないので、営業的に必要な範囲なのかをよく判断してください。