(本記事は、伊藤亜紋氏の著書『ちょうどいいお金持ちのすすめ やりたいこと・ほしいものが手に入る賢者のお金の常識』セルバ出版の中から一部を抜粋・編集しています)

お金持ちは具体的な判断基準を持っている

目標設定
(画像=Sergey Nivens/Shutterstock.com)

●思考の「具体化」

車を運転中にわき見をしてしまうと、自然と車がその方向に進むように、人は意識した方向に自然と進んでいきます。より具体的な目的地があると、人はその方向めがけて進んでいくのです。

ところで、思考を具体化するときに、皆さまはどんな考え方で具体性を導き出しますか。

多くの人は、思考を具体化するときに、5W1Hと覚えているのではないでしょうか。

5W1Hとは、「When(いつ)・Where(どこで)・Who(誰が)・What(なにを)・Why(なぜ)・How(どのように)のことをいいます。

●「6W3H」の9マスを埋め、Howを選択する

実は、5W1Hという具体化の思考では、「お金と時間と相手先様」が省かれてしまっているので、決してうまくはいかないのです。

お金持ちは「お金・時間・健康・有効な人間関係」をとても大切にします。これらの要素が5W1Hから抜けているため、決してうまくいかないのです。

お金持ちは、「How Much(金額)・How Long(期間)・How Often(頻度)・Whom(対象者)」を含めた6W3Hを確認した上で、最後にHow(手段)を選択するという習慣を身につけています。その結果、6W3Hで具体化した自らの目的に合致する手段(How)をあれこれと選択することが可能になるのです。

もちろん、これが考えることであって、悩みから解放されることにもつながるのです。

●5W1Hでは、「豊かさ」は手に入らない

一方、5W1Hでは、誰に喜んでいただけるのかという対価の元、期間や頻度という継続性や回数などのプロセス管理、金額という達成レベルがポッカリ抜け落ちてしまっているのです。

これでは、金銭的・時間的なゆとりなどできるはずもありません。

How Muchというお金(水準)、How Longという時間(効率)、How Oftenという頻度(習慣化)、Whomという対象者(傍楽)を学ぶことのなかった日本人の多くは、無計画にお金を消費・浪費し、年を重ねるごとに窮屈な生活を強いられることになってしまったのです。

●「選択基準」を持たず、6W3Hがないと……

いつの時代も、詐欺が横行しているとか、金融商品のパンフレットなどに書かれている細かい文字を見ていないから説明を受けていないだとか、「選択の基準」や「決断の基準」を持っていないことから起こる悲劇をよく見聞きします。

誰かのせいにしたいという気持ちはわかりますが、もはや起こってしまったことは過去に戻ってやり直すことができません。悪い結果を受け入れるしか選択肢がなくなってしまうのです。

何事においても、選択基準を身につけることは、「転ばぬ先の杖」を手に入れることに通じるのです。

●「○○に弱い」消費者

「営業マンにすすめられた」、「顧問税理士がこう言った」、「親に反対された」など、誰かのせいにしてしまいがちなお金のこと。それもこれも、選択基準を持たず、手段を選択しようとした結果です。

(1)キャッシング・リボ払い……、とかく金融用語はとても横文字が多いのが特徴です。横文字を見ただけで、読み飛ばしてしまったり、わかったふりをしたりすると、後悔することも多くなります。

(2)ガン保険・教育保険・女性疾病特約……、ガンを予防したり治ったりする保険ではありません。学費の物価上昇以上に増える保険ではありません。女性特有の病気でない場合支払われません。消費者は、商品名(ネーミング)にとても弱いという一面を持っています。

(3)利回り……教育費を一生懸命貯めながら、車をクレジットで購入したり、ショッピングをリボ払いにしたりしてしまいます。金利の計算は複雑なもので自分は苦手だと決めつけて、初めから比較しないことが多いので す。

(4)セールス……性格がいい、相性が合う、面白い、説明が上手という理由で人を信じて、こんなはずじゃなかったということも多々あります。自分の選択ミスを「いい人なんだけどね」というフレーズで片づけてしまいます。

(5)知っているもの……CMで見たことがある、看板をよく見かける、聞いたことがある、新聞に載っていたからという理由で、自分に合わない商品を購入していますが、知っているものには広告費をたくさんかけている可能性が高いのです。

(6)肩書き……酒気帯び運転をする弁護士、粉飾決算に加担する税理士、ヤブ医者、ハレンチ教師、似非(えせ)FPなど、いないわけではありません。また、それ以前に先生と呼ばれていますが、本来雇い主は、お客様であって、彼ら(私を含め)は雇われ者です。会社で雇えばコンプライアンス担当、経理担当、教育担当、財務担当なのに、資格を取得すると先生と呼ばれる士業は偉い人だと思ってしまいます。

これらは、いずれの選択基準も誰かのせいにして終わることが多いので、決していい結果には結びつかず、また同じような失敗を繰り返す原因となります。ちょうどいいお金持ちは、自律と依頼を身につけています。決して、自立(何でも自分でできるようになろうとする)と依存(うまくいかないときや、知らないもの・わからないものを丸投げする)ではないのです。

《コツ》
・6W3Hで具体化した選択基準は、自らの目的に合致する手段(How)をあれこれと選択することが可能になる。

・お金持ちになれない人は一般や平均・相手の資格や立場・知名度などで選んでいる。

お金持ちは長期の目標設定を大切にしている

●主婦(夫)は「毎日の献立」を考えることが大変

365日の献立表があれば、毎日毎食、何を食べようかとあれこれ悩まなくてすみます。また、買い物も、悩みながらウロウロすることが減り、ムダな時間を浪費することがなくなります。さらには、食材のムダもロスも減り、食費も軽減できます。

このように、長期の計画や、スケジュール、タイムテーブルなどがあると、「悩む時間、ムダな行動、経費の削減」ができるのです。

●「大きな目標」を達成できる

1ヵ月で英会話をマスターするのは至難の業ですが、10年かけて英語が話せるようになることは、誰もが達成できるレベルとなります。

プロスポーツ選手が3歳からゴルフを始めたとか、4歳から卓球を始めたとかいう類の話はよくあることです。

このように、長期の目標は時間と行動と経費の効率が上がり、短期間では達成できない高レベルの目標達成をも可能にしてくれる魔法なのです。

●「短時間に1人で」何とかしようとしない

何をやってもうまくいかない人たちは、「今すぐに」「自分で」「何とかしよう」と考える習慣を身につけています。これは、幼い頃から、「自分でちゃんとできるようにしなさい」とか「早くしなさい」とか言われ続けた弊害なのかもしれません。

その逆に、うまくいく人は、「時間をかけて」「人の力を借りて」「達成するまでやろう」とする習慣があります。

もしかしたら、家庭に執事がいて、どんな困難なことも最後まで力を貸してやってくれていたからかもしれません。あくまでも、もしかしたらです。

どんな環境で育ったにせよ、社会に出ると様々な能力や性格を持った人と多く出会います。

時間をかけて、周囲の力を借りて、長期の目標を達成する癖をつけたいものです。

●「目標管理」の重要性

長期の目標達成のためには、「長期のやることリストの管理」が重要なカギとなります。

うまくいっている会社ほど10年先、20年先の長期経営計画を立て、3~5年の中期計画や、単年度計画でその具体的行動管理まで行っています。

これは、長期の目標を管理する重要性を知っているからです。

逆に、長期計画や予算を組まず決算しかしない会社、家計簿ばかりにこだわって決算すらしない家庭では、お金や時間にゆとりができないのは無理もありません。

予算と決算の比較をはじめ、長期の物差しを活用することで、1歩ずつ自分の理想の姿に近づいていくことを、ちょうどいいお金持ちはコツコツと行っているのです。

決して一朝一夕に、今のことだけを考えて手に入れた姿ではないのです。

《コツ》
・長期の目標は、時間と行動と経費の効率が上がり、短期間で自分だけでは達成できない高レベルの目標達成をも可能にしてくれる。

お金持ちは時間と達成レベルを大切にしている

●「計画」なんて立ててもそのとおりにいかない

今ある自分は、過去からの積重ねの結果です。過去を振り返ることはできても、過去を変えることは決してできません。

一方、将来のことは、何1つ決まっているものはありません。無限大の可能性を秘めているともいえます。

今後の行動次第で、よくも悪くも結果が出ていくものです。何1つ決まっていないからこそ、何かを決めなければ行動ができないのです。しかも、行動が鈍くなれば、当然のこととして、結果も少なく鈍くなります。

ところで、皆さまは、海辺でスイカ割りをした経験はありますか。

スイカ割りは、目隠しをして、グルグル回されて、方向も距離も確認できない状態で、耳から入る情報だけでスイカまで到達し、キレイに割らなければなりません。

ゲームだから楽しいのですが、これが企業経営や人生だったらゾッとします。

見聞きする情報だけで目的を確認せずに経営や生活をすることは、まさしくスイカ割りと同じことなのです。

「計画なんて立てても、そのとおりに行かないのだからムダな労力でしかない」──このフレーズは星の数ほど耳にしました。

もちろん、予算どおりにいかないかもしれず、決算や結果は変えられませんが、未来の可能性を探る脳=ポッシブル脳を駆使して、昨日よりきょう、きょうより明日へと改善していくことで、今より豊かなお金と時間が手に入れることはできるのです。

少なくとも、「目を開けて、スイカを目視し、近づいて割る」という行動は速やかに行えます。

キレイに割れるかどうかは別ですが……。

●「将来」を豊かにする特に大切な項目

人が目的地に向かうとき、その「方向」と「距離」と「時間」、そして自分に合った「ペース」を意識するものです。

山に登ろうと思ったら、浮き輪や水着を持っていきますか。海で泳ごうと思ったら、登山靴を履いていきますか。

当たり前のことですが、目的によって「持参物」が違います。目的地を設定することで、ムダな持ち物を省くことが可能となります。

また、同じ山の頂上を目指すにしても、その登山ルートも様々です。険しいけど早い道、安全だけど時間のかかる道。現在地と目的地を結ぶことで、様々な手段が浮かび上がります。

さらに、頂上だけが山のよさではありません。山の中腹の平らなところでフィールドアスレチックやアウトドアグッズで楽しむこともできますから、山頂までというレベルではなく、中腹までというレベル設定も存在するのです。

個々人の価値観に基づいて、目的や目標を設定することが大切なのです。

このように、目的(地)が決まると、現在地からの方向、距離、時間、速さが決めやすくなり、持参物(ツール)も変わってくるのです。

●「企業や家計の計画」に置き換えると

経営の方向性が、品質重視なのか生産重視なのかで、購入されるお客様も、価格帯も、売り場も変わってきます。

ただやみくもに、「できるだけ生産し、できるだけ多くの人に、できるだけ安く提供したい」などと言っている経営では、会社が存在しなくなるのも時間の問題でしょう。

「高品質・高価格で、希少なものを、どうしてもその道具を使わなければいけない人に買ってもらいたい」となれば、生産戦略も販売戦略も容易に決まってくるでしょう。

家計においても、幸せになりたいという漠然とした方向ではなく、(1)家族の幸せとはどんな状態なのかを話し合い、(2)ライフ・イベントを年表にし、(3)将来の資金準備を計画的に備えていけば、ムダな金利を払うことや、夢や希望を諦めることもなく、時間の余裕を持って準備することが可能です。

このように、家計も経営も計画を持っていることが効率的な選択を行うカギとなるのです。

《コツ》
・人生は長い。方向・距離・時間を決めてペースを守る、まるで「長距離走」のようなもの。焦らず、力まず、されど怠らないことが大事。

ちょうどいいお金持ちのすすめ やりたいこと・ほしいものが手に入る賢者のお金の常識
伊藤亜紋(いとう・あもん)
1967年生まれ。北九州市出身。株式会社人財コンサルティング代表取締役。大学卒業後、大手生命保険会社にて、東京で特別法人部・法人部・財務部・支社業務、その後広島で支部長を経験。29歳で退職。保険中心の日本では珍しい「所得づくりを支援するファイナンシャル・プランナー」として独立開業を果たす。1997年「ライフ&マネーネットワーク」(人生とお金と人とのつながり)を創設。2000年お金の総合学習講座「ワンズのお金の学校」創設。2001年「お金の学校プロ養成講座」開設。2005年日本ファイナンシャルプランナーズ協会主催、FPフェアにて講師を務める。2006年生存時・死亡時に加え、就労不能時の分析を可能にしたライフプランソフトを開発。2016年20周年を機に、後進に事業を譲り、単身、株式会社人財コンサルティングの業務に専念する。

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ちょうどいい お金持ちのすすめ ーやりたいこと・ほしいものが手に入る賢者のお金の常識
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