(本記事は、伊藤亜紋氏の著書『ちょうどいいお金持ちのすすめ やりたいこと・ほしいものが手に入る賢者のお金の常識』セルバ出版の中から一部を抜粋・編集しています)
お金持ちの生態
●「お金、時間、健康、有効な人間関係」を心から大切にしている
私は、個別相談を始めるとき、お金持ちの生態をイメージしていただきます。皆さんもイメージしてみてください。
高級な車に乗っている……大きな家に住んでいる……高級なレストランで食事している……ブランド品に身を固めている……意外と孤独……意外とケチケチしている……など、様々な憶測が飛び交います。案外、自分の周りにお金持ちは存在していないという方は多いのではないでしょうか。
次に、想像してみてください。
ネイティブな英語を話せない英語教師……まずい料理店……運転の荒いタクシードライバー……飯の食えないファイナンシャル・プランナー……など、よく考えるとおかしなものですが、私たちの周りにとても多く存在しています。
間違ったお金持ちのイメージも、的確なサービスを提供できないプロたちも、「目指すべき、そのものの本質」からズレてしまっていることから起こる現象です。
正しい姿や明確な目的、具体的な目標という「目印」が間違っていれば、お金持ちにも、ネイティブな英会話を流暢に話す教師にも、安全運転を心がけるドライバーにも、お金ごときで困るはずのないお金の専門家であるファイナンシャル・プランナーにもなれないのは無理もありません。
実は、お金持ちは、自分や周囲のためになる行動に努め、健康管理に気を配り、終生大切に思える友達に1人でも多く出会えることを心がけています。
お金・時間・健康・適切な人間関係をとても重んじているのです。
●ちょうどいいお金持ちの「お金についてのあり方」
ちょうどいいお金持ちは、「お金は人の役に立った対価」であることを認識しているので、収入面では相手が対価を払いたくなることに重きを置いて仕事に取り組みます。
子供の頃、両親にお手伝いを頼まれたとき、イヤイヤお手伝いをしていた自分を思い出すときがあります。「はい、喜んで!」と気持ちよく手伝っていれば、両親がお小遣いをくれたかもしれません。
会社にお勤めの皆さまだったら、お客様のお役に立つのはもちろんですが、会社のための仕事をして対価である給与を得ています。ところが、社長や上司の陰口を酒の肴になんて姿はよくある光景です。
もちろん、彼らがお金持ちになれるとは到底思えません。お金をもらっている相手の陰口を平気で言えるのですから、「自分や周囲のためになる行動」とは程遠いものです。
ちなみに、ちょうどいいお金持ちは、陰口ではなく、本人の目の前で、相手を思って面と向かって指摘します。
支出の面では、ケチケチするのではなく始末をします。今さえよければいいという使い方ではなく、始まり(始)と終わり(末)、つまり、そのお金を使う先の効果(費用対効果)を考えたり、使うペースを考えたりしているのです。
●ちょうどいいお金持ちの「時間についてのあり方」
時間は、命そのものであり、限りのあるもの、ゆとりある時間は最高の贅沢と考えていて、「忙しい」というセリフは持ち合わせていません。
他人にスケジュールを組まれることを嫌い、自ら行動を選択する自由を好みます。行列に並ぶなどという行為そのものが時間のムダであるため、人混みや行列には生息していません。
労働は、成果や効果で考え、時間で測ることをナンセンスだと思っているので、できるだけ短時間・短期間でよりよく・多くの結果を出すことを心がけています。
自分の時間だけでなく、人との面談や会議など、多くの人の時間をも有効に活用したいと考えているので、時間の約束にも厳しく、ダラダラとした生産性のない会議や打合わせを嫌います。
「要件を手短に」という口癖を持っている方もよくいらっしゃいます。
起床時間・就寝時間にもこだわりを持ち、睡眠時間やリズムを大切にしているので、常に自分のポテンシャルを高位に保つことができます。
これは、健康維持にも関連しています。
●ちょうどいいお金持ちの「健康についてのあり方」
健康は、医食同源を重んじ、食材へのこだわりや鮮度へのこだわりを持っているので、食中毒など無縁の世界に存在しています。
値段の高い食事を好んでいるのではなく、身体にいいものを摂取するためには、結果としてお金を惜しまないのです。意外と質素な食事でありながら、食材や栄養のバランスにはとてもこだわるといった感じです。
食事だけではなく、適度な運動を心がけ、定期検診も怠りません。健康に対して、常に誠実に取り組んでいるのです。
お金に関しても、時間に関しても、健康に関しても、一貫して基準を持って現状を把握していることが、ちょうどいいお金持ちの特徴なのです。
ちょうどいいお金持ちになれない人たちは、暴飲暴食をしてダイエットにいそしんだり、定期検診を嫌がり不健康を自慢の種にしたりします。
これでは、時間もお金も労力もムダだらけで、ちょうどいいお金持ちの習慣とは真逆です。
●ちょうどいいお金持ちの「人間関係についてのあり方」
お金とは、自分ができないことをやってもらえるツールと認識しているので、自分の周りに優秀な人が多数存在しています。
「安物買いの銭失い」が嫌いなので、優秀な人に相応の対価を払い、結果としてより優秀な人に出会い、ますます支援してもらえる好循環になります。
人間関係は、ムダなお付合いによる商品の購入などしないため、最善の提案をしてくれる人が周囲に集まります。
見た目が怪しいとか、自分が聞いたことがないからという理由でセールスに来られた方を排除するのではなく、自分にとって有益な情報を提供してくれる人を好み、その選別基準を持ち合わせています。
みんなと仲よくすることよりも、仲よくできる人と1人でも多くお付き合いするスタイルなので、友達の数や「知人」の数にこだわることはありません。
金持ちケンカせずといわれるように、危険な場所やもめごとを好みません。また、ムダな人付合いがないため、人間関係のストレスが限りなく少ないのも特徴です。
あまり仲よくしていない人に対してであっても、「ごきげんよう」という挨拶が自然とできるのが特徴です。
そもそも挨拶とは、人間関係が希薄な人にでも愛想よく振る舞うために考案された知恵であり、「随分とご挨拶だね」とは、相手の非礼や無礼を皮肉にしたものであることからも、さほど親しくない人に向けて使われたことがわかります。もちろん、「親しき中にも礼儀あり」の精神は、当然備えています。
●ちょうどいいお金持ちは「型」を知っている
お金持ちは、よく「変わり者」や「型破り」だと思われがちです。
型破りとは、一見よくないことのように思われがちですが、型にはまっていないのであって、形なし(基本を知らないこと)とは違います。
基本(基準・型)をよく知り、自らの生活に適合させているのですから、基本に忠実、かつ自分サイズに上手にコーディネートしているのです。
自らのあり方を持ち、考え方が整理整頓され、お金や時間などの使い方・貯め方・殖やし方・稼ぎ方・借り方・守り方・管理の仕方・継ぎ方を知っている人というわけです。
次元を用いて解説すると、ちょうどいいお金持ちが物事を選別するとき、少なくとも5次元までの検証を行っています。
・1次元(お金)=費用対効果を確認する。 ・2次元(協力者)=ほかの手段と比較検討する。 ・3次元(バランス)=全く違う角度から、少なくとも3方向から検証する。 ・4次元(時間)=タイムテーブルを確認する。 ・5次元(精神)=心に与える影響も検証する。
やはり、お金・時間・健康(心や体のバランス)・有効な人間関係を大切にしているのです。
●ちょうどいいお金持ちは、「非常識(少数意見)」であることに疑問を持たない
非常識と思われがちで、最も常識を大切にしているのがお金持ちです。
・「みんなと仲よくする」ではなく、「仲よくできる人と、1人でも多く出会う」。
・「勉強すれば合格する」ではなく、「社会に貢献(人の役に立つ)するために勉強をする」。
・「働けば暮らしは楽になる」ではなく、「暮らしを豊かにするプロセスの1つが労働である」。
・事故にあったり、違反切符を切られたりしないためにも「車は自分で運転しない」。
・あの世に持っていけないものだから「家は賃貸を好む」(大金持ちとは異なる思考)。
・時間を有効活用したいので「行列には並ばない」。
・ストレスは最も健康に悪いと知っているので「人混みを嫌う」。
・ケガやもめごとを嫌うので「危険な場所には近づかない」。
・「価値のある物や相手にはいくらでもお金を出すが、価値のないものには1円も出したくない」。
その他にもたくさんありますが、基本は世間一般的な常識ではなく、自らの行動に根拠があって、常識的に行動しているのです。
「自らの行動の理由」が明確ですから、文字どおり「自(らの行動の理)由」な生き方です。
《コツ》 ・ちょうどいいお金持ちは、お金・時間・健康・人間関係の自らの理由が明確、そうでない人々から見るとそれは型破りで非常識に見える。
・ちょうどいいお金持ちは、目的達成(幸せ)のために手段があることを認識しているが、そうでない人は手段を積み重ねた結果が結果(幸せ)だと思っている。
お金持ちは依頼体質・自律体質
●依存体質・依頼体質・自律体質・自立体質
人は誰かの役に立ち、人は誰かを支え、誰かの支えの上に成り立っています。
自分でできることを提供し、自分のできないことを提供してもらいます。そのモノやサービスの交換ツールがお金です。そもそも、傍を楽に楽しくするからはた(傍)らく(楽)なのです。
何でも自分でできるようになると、「器用貧乏」になりかねません。
人には、得手と不得手がありますから、苦手を克服する時間を省いて、苦手なものは人に助けてもらうことで時間も労力も削減でき、得意なことで人の役に立つことで、その対価を得られ、金銭的に豊かになれるのです。
(1)依存体質とは、自分の意見や考えを持たず、人や情報に振り回されているレベルのことをいいます。もちろん、すべてを依存しているわけではなく、何かの項目で依存が目立つ体質です。
(2)依頼体質とは、頼るべき人が周囲に存在しているレベルのことをいいます。周囲に優秀な人が集まり、自分が望むことを専門的・実務的に協力してくれる状態です。お金持ちの周りが、まさにこの状態になっています。
(3)自律体質とは、自己管理ができ、自分で判断や決断ができるレベルのことをいいます。時間管理や金銭管理など自律ができ、判断や決断をできる基準や水準を持っています。お金持ちと呼ばれる人のほとんどがこの体質です。
(4)自立体質とは、自分で何でもやろうとするレベルのことをいいます。器用貧乏といわれるように、何でも自分でやろうとするあまり、人にものを頼めず、お金を使うことは少ないのですが、時間を取られ、結局、金銭的な豊かさからは遠のいていきます。
ちょうどいいお金持ちとは、判断や決断のための基準を持ち合わせた(自律体質)人で、周囲に優秀なサポーターがいる(依頼体質)人です。
●決して「器用貧乏」にならないこと
「自分で家を建て、車をつくり、料理を毎日つくり、衣服をつくる。毎日子供たちに学問を教え、時々自分で髪を切り、遊園地のような施設をつくり子供たちと遊んでいる」──私の周りにはこのようなスーパーマンは存在しません。
何でも自分でできるようになると、組織も社会も必要なくなります。世界中のすべての人類が、何でも自分でできる自給自足なんてことはありえません。
人は、誰かの役に立ち、誰かの支えの上に成り立っています。自分でできることを提供し、自分のできないことを提供してもらうという「双方向で相手のできないことを楽にする(傍を楽にする)」から傍楽(はたらく)なのです。
そのはたらく労力を数値化したのが対価であり、この仕組みを熟知している人ほど、自分の能力が、どこで・誰の役立つのかを知っています。
だからこそ、お金がもらえ、上手なお金や時間が使えるのです。
《コツ》 ・ちょうどいいお金持ちは、自らの分をよく知り、時間とお金を大切に使う。
・人にお金を払いサービスを受け、人の役に立ち対価を得ることを知っている。
・ちょうどいいお金持ちは、自律型依頼体質である。
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