「自転車保険」をご存知でしょうか。今、いくつもの自治体で加入の義務化が進んでいるため、お住まいの地域によっては「知らない」では済まされないかもしれません。どんな保険なのか、どうやって選べばいいのか解説します。

自転車保険とは

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(画像=PIXTA)

自転車保険はその名からイメージできるとおり、自転車に関連して起こったトラブルの金銭的ダメージを軽減するための保険です。ここで注意したいのは、ひとくちに「自転車の保険」といってもその中には次のような種類があるということです。

(1)自転車に乗っているときの事故で、人や物を傷付けてしまったときの補償(相手を守る)
(2)自転車に乗っているときの事故で、自分がケガをしてしまったときの補償(自分を守る)
(3)自転車が盗難に遭ったり破損したりしてしまったときの補償(自転車本体を守る)

このうち、各地で加入が義務化されているのは(1)の相手への補償だけです。「自転車の保険」として売り出されている保険の中には、「(1)+(2)」や「(3)だけ」などさまざまな組み合わせのものがありますので、内容をよく確認して自分の目的にあった保険を選びましょう。

自転車保険を義務付ける自治体が増えている

自転車で事故を起こした場合、高額の損害賠償を請求されることがあります。なかには、小学生のお子さんが起こした事故で、保護者に1億円近い賠償を命じる判決が出たことも。

多額の賠償を命じられて自力でまかないきれないとなると、その後の人生をかけてずっと払い続けなければいけないことになります。これは、自分や家族にとっても厳しい現実ですが、相手やその家族にとっても不幸なことです。

そういったことを防ぐため、国は保険加入を推奨し、自治体によっては条例で義務づけるところもでてきました。たとえば、以下のような地域です。

・大阪府
・京都府
・兵庫県
・仙台市
・名古屋市
・静岡県
・埼玉県
・神奈川県
・東京都(2020年4月~)

自分の住んでいる地域が義務化されているかわからない場合は、自治体のホームページを確認してみましょう。義務化されていたら「○○市 自転車 義務化」などで検索すれば案内ページが出てくるはずです。

完全に義務化とまではいかなくても、「できるだけ入るようにしましょう」という意味の「努力義務」として定めているところもあります。

自動車保険の特約でもまかなえる?

自転車に関する保険のうち「(1)相手への補償」については、自動車保険や火災保険などの特約として付けることもできます。また、クレジットカードの特典として付帯されていることもあります。

多くは「日常生活賠償特約」や「個人賠償責任特約」といった名前で、自転車という単語は入っていないのでわかりにくいかもしれませんね。これらの特約は自転車事故だけでなく、飼い犬が人を噛んでケガをさせた場合やお店で買い物中に商品を落として壊してしまった場合など、さまざまな賠償リスクをカバーできます。

新たに自転車保険に加入しなくても、すでに加入中の保険に月100円程度で追加でき、1つの契約に付いていれば離れて暮らす学生さんなども含め家族全員が補償対象になることが多いようです。すでに特約が付いている状態かもしれませんので、一度自分の保険内容をチェックしてみましょう。

「(2)自分がケガをしたときの補償」も欲しいという方は、こうした特約ではなく「(1)相手のための補償」とセットになっているような自転車保険を探しましょう。

自転車の補償を選ぶときのポイント

自転車保険は、同じように見えてもその内容は各社で違います。特に確認しておきたいのが以下の3点です。

最大補償額

相手側への補償の上限額は、1億円、3億円、無制限など保険によって差があります。また、自分や家族がケガをしたときの補償額もさまざまですので、我が家にはいくら必要なのか、貯金や医療保険との兼ね合いなども考えて選びたいところです。

対象者の範囲

相手側への補償は家族全員が対象になることが多いのですが、事故によるケガの補償は本人だけ、夫婦2人だけ、家族全員などの種類があり保険料も違います。

示談交渉サービス

賠償額などで相手側ともめてしまった場合、自力で交渉するには知識も労力も必要です。示談交渉サービスがついていれば、法律上の損害賠償責任が発生した場合には保険会社が間に入って交渉してくれます。

どんなときに誰がどこまで守られるのか、しっかり確認して選びましょう。

自転車保険のおすすめは?

自転車保険はいろいろな会社から発売されています。以下は、相手への補償と自転車に乗る人自身のケガの補償がセットになっているタイプの保険です。

楽天会員なら……楽天損保「サイクルアシスト」

保険料の支払いをすることで、楽天市場や楽天トラベルなど楽天系のサービスで共通利用できる「楽天スーパーポイント」が貯まります。また、貯まっているポイントで保険料を支払うこともできます。オンラインで手続きが完了するので手軽です。

コンビニで加入できる……ローソン×東京海上日動「ローソン自転車ほけん」

ローソン店内にあるLoppi(ロッピー)から申し込める保険です。ネット申し込みやクレジットカードでの支払いに抵抗がある方でも利用しやすいでしょう。相手側への補償の上限額が無制限なのもポイントです。また、セブンイレブンやファミリーマートでもそれぞれ店頭の端末で加入できる自転車保険を用意しています。

自転車事故のリスクに備えよう

保険加入が義務化されている地域の方は、既存の保険に賠償責任特約を付ける、自転車保険に加入するなど、もしなにか起きても相手側への補償はしっかりできるように準備しておきましょう。

自転車事故に関する補償は、簡単に加入できて手頃な保険料で備えられることも多くなっています。加入が義務化されていない地域の方でも、自転車を利用する機会があるなら加入を検討する余地はあるでしょう。

文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)/fuelle

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