乳がんは女性がかかるがんとしては最も数が多く、11人に1人が生涯で1度はかかるという統計もあるほど実は身近な病気です。「胸にしこりがある=乳がん」とは限りませんが、しこりを見つけてしまったら、誰でも不安になってしまうでしょう。ここでは知っておきたい乳がんの基礎知識について解説します。

乳がんになりやすい人とは

胸,しこり,乳がん
(画像=PIXTA)

年代別にみると、乳がんにかかる人は30代から40代にかけて急増し、70代以降は緩やかに減少します。多くのがんは60代ごろから年齢を重ねるにつれて増えていくのが一般的ですが、乳がんに関しては若いうちから注意が必要ということがわかります。

乳がんのうち5~10%は遺伝と言われていますが、残りの90~95%、つまり大半の人は別の要因から発症するようです。乳がんの発生には「エストロゲン」という女性ホルモンが関係していることが知られていますが、特に以下の条件にあてはまる方は乳がんのリスクが高くなります。

<生理・妊娠・出産>
・初潮が早かった
・閉経が遅かった
・出産や授乳の経験がない
・初産が遅かった

<生活習慣>
・飲酒
・喫煙
・閉経後の肥満
・運動量が少ない

<病歴>
・乳腺症など乳腺疾患にかかったことがある
・母、祖母、姉妹など親族に乳がんや卵巣がんにかかった人がいる

胸に違和感が……こんなときどうする?

乳腺科・乳腺外科のある病院で相談を

ある日突然自分の胸にしこりを見つけたら、恐怖を感じたり悩んだりしてしまうかもしれません。そういうときは、まずは冷静になって、専門家がいる乳腺科や乳腺外科のある病院に行き、その違和感の原因をつきとめましょう。実際、胸のしこりの多くは乳がんではありません。別の病気かもしれませんし、心配しなくてもいい良性のものかもしれません。

しこりの原因としては、たとえば次のようなものがあります。

・乳腺症(にゅうせんしょう)……良性の病気。
・乳腺炎(にゅうせんえん)……母乳の滞りや細菌感染などが原因の炎症。
・線維腺腫(せんいせんしゅ)……良性の腫瘍。
・葉状腫瘍(ようじょうしゅよう)……良性の場合も悪性の場合もある。

自分で「これだ」と決めつけることはせず、早めに病院で診てもらうようにしましょう。

乳がんの専門知識が豊富な「乳がんプラザ」もチェック

「乳がんプラザ」は、乳がんに関するさまざまな情報を集めたホームページです。質問を送ると乳がんの専門医をされている江戸川病院の田澤先生が直接回答してくれるコーナーがあり、過去に送られた質問やその回答も閲覧することができます。

そのほか、日本乳癌学会の「患者さんのための乳癌診療ガイドライン」や国立がん研究センターの「がん情報サービス」というサイトでも専門家が監修した情報が豊富に閲覧できます。

ネット上では、さまざまな情報を見ることができますが、なかには正しくない情報もあります。科学的で正確な情報を得ることが大切ですので、誰が発信している情報なのかはよく確認しましょう。

早期発見がカギ!定期検診が大切

乳がんは怖いというイメージがあるかもしれませんが、実は5年後生存率は90%を超えていて、ほかのがんに比べて生存率が高いという特徴があります。できるだけ早い段階で見つけ、悪化する前にきちんと治療を受けられれば、十分回復が見込める病気です。

日本の乳がん検診率は世界の先進国の中でも特に低いと言われています。触ってわかるなど自覚症状があることもあるので、できれば月1回程度、自分の胸を触ってみて早めに違和感に気付くことが大切です。また、きちんと定期健診を受けるというのも重要です。

国は40歳以降2年に1度は乳房エックス線検査(マンモグラフィー検診)を受けるよう推奨しています。勤務先の健康診断や自治体の無料クーポンなどで費用負担なく受けられることもあります。「面倒」とか「痛そう」という方もいますが、病気を見過ごして悪化させてしまうようでは本末転倒です。毎回必ず受けるようにしましょう。

女性特有の病気に備える保険

もしがんが見つかったら、医療費が心配だという方もいるかも知れません。基本的には、乳がんの治療は保険が適用されます。3割負担になるほか、「高額療養費制度」という1ヵ月の自己負担限度額を定めた制度があるので、一般的な収入の方であれば医療費は最高でも月5~8万円ほどでおさまります。

ただ、入院時の食事代や差額ベッド代、保険が効かない先進医療などはこの制度の対象外です。貯金が少ない、収入が不安定など、治療費が捻出できるか不安な方は民間の医療保険や共済に加入して備えておくといった方法もあります。

保険会社で加入できる医療保険の中には、乳がんを含め、乳房、子宮、卵巣といった女性特有の疾患を特に手厚く保障する「女性保険」や「女性特約」といったものがあります。また、数ある病気の中でもがんだけに特化した「がん保険」もあります。

身体に異変を感じたら早めに病院に行くことが大切です。でも、こうした保険は通常はがんの診断を受けてからでは加入することができません。お金の不安がある方は、自分が今加入している保険の内容を事前に確認しておくとよいでしょう。

文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)/fuelle

【こちらの記事もおすすめ fuelle】
せこくない、苦しくない、続く「節約術」まとめ
これで10%オフ!デパコスのオトクな買い方3選
免税店でさらにお得に買い物する3つの裏ワザ
イオン系列の株主優待「徹底活用術」生活費を浮かせる3つのポイント
えっ、知らないの?ヨーロッパでオトクに買い物できる「デタックス」活用法