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マイホームを買いたい、子どもを教養豊かに育てたい、海外にも連れて行きたいし、老後はお金に困らず生きていきたい……など、人生の夢や希望はさまざまなものがあります。夢を叶えるために貯金に励む人は多いですが、より効率的に、ライフプランを立て計画的に資産形成に努めることを検討してみてはいかがでしょうか。今回は、そのライフプランの立て方とメリットについて解説をしていきます。
ライフプランとお金の関係は?
皆さんも子どもの頃に「将来は○○になりたい」、「結婚して子どもは何人欲しい」というような夢をいろいろ思い描いていたと思います。夢の内容は変わったとしても、こういった人生の夢は大人になった今でも持っているのではないでしょうか。おそらくこの先、何歳になっても夢や希望はあるはずです。ライフプランはそれらの夢を実現するための計画のようなもの。いわば、「人生の計画図」と言えるでしょう。
ところで夢を実現するにはお金も必要となる場合がほとんどです。子どもの頃に欲しいものがあればお小遣いを貯めて買ったり、学生時代にはやりたいことのためにアルバイトをしてお金を稼いだ経験をお持ちの人も多いのではないでしょうか。このように、夢を実現するためには、いくら費用が必要で、いつまでにいくら貯めれば良いのか。毎月いくらずつ、どうやって貯めていくのかというような資金計画を立てて実行します。
この資金計画のことを「ファイナンシャルプラン」といいますが、実はライフプランとファイナンシャルプランは切っても切れない関係にあります。
・ライフプランを作ってファイナンシャルプランニングを考える ・ライフプランなしで資産形成に努める
この両者では、金融商品の選び方やポートフォリオの見直し方なども大きく変わってきます。もちろん、資産形成の効率性も変わってくることになるでしょう。
ライフプランは自分でしか作れない
ファイナンシャルプランニングと聞くと、ファイナンシャルプランナー(FP)をはじめとしたお金の専門家が行うものと考える人は多いかもしれません。もちろん専門家のアドバイスをもらうためにファイナンシャルプランニングの相談をするのはいいでしょう。しかし、ファイナンシャルプランを作るための元となるのはライフプランであることを忘れてはいけません。
このライフプラン、実は自分自身でしか作れないものです。いくらFPなどの専門家といえど、人生における夢が何であり、夢の実現に向けたライフプラン(人生計画)は何であるのか。それを、第三者であるFPが全て、アドバイスできるものではありません。たとえば、結婚をイメージしてみてください。どんな相手と、何歳頃に結婚したいか、どんな結婚式を挙げたいかなどを親に相談することはあっても、「私の人生を他人に決められたくない」と考える人の方が多いのではないでしょうか。一方で、自分自身で立てた結婚の計画に対し、結婚費用を貯めるためのファイナンシャルプランニングは、FPなどの専門家に相談したことがある人も多いかも知れませんね。
ライフプランは他人に委ねず自分で立てるべきということがお分かりいただけたでしょうか。さまざまな人生上のイベントを考えながら、まずは自分自身でライフプランを作っていきましょう。
ライフプランの作り方
夢や希望はあっても、それをライフプランに落とし込む方法がわからないという人は実は少なくありません。まだわからない未来のことを思い描いて人生設計をするのは想像以上に難しいものです。
しかし難しく考えすぎる必要はありません。次のようなステップで、ラフに考えていきましょう。
1.どのような人生を送りたいか考える
人生というと大げさに聞こえますが、まずは自分がどのように生きていきたいか、自分の価値観に照らし合わせて考えてみましょう。たとえば、独身の人なら結婚したいか、どんな家庭を築きたいかというような内容です。仕事については共働きがいいか、定年まで今の仕事を続けたいか。子どもは欲しいか、何人欲しいと希望はあるか、どんな習いごとをさせたいか、どういうふうに育って欲しいかなんていうのもOKです。家は持ち家が欲しいか、住み替えしやすいように賃貸がいいかなど。自分の人生ステップをイメージしながら、ざっくりとでもああしたい、こうしたいという希望を考えてみましょう。
2.ライフイベントを考える
夢や希望を思い描いた次は、それをライフイベントとして書き出してみましょう。この時、修正しやすいように、まずは付箋紙などを使うのがおすすめです。付箋紙1枚につき1つのイベントを書き込み、横線上に歴史年表のように時系列に並べていきます。
ライフイベントは結婚、子どもの誕生、マイホーム購入、定年……というような人生に訪れるイベントに限ることはありません。海外旅行や車の買い換えなど、自分がやりたいこともできるだけ挙げていきましょう。たとえば子どもができる前に夫婦で海外旅行に行きたいなと思えば、「子どもの誕生」の前に「海外旅行」と書いた付箋紙を貼ります。子どもが産まれて車を買い換えるだろうなと思えば、「子どもの誕生」の後に「車の買い換え」と書いた付箋紙を貼ります。こうすることでライフプラン作りがより具体的になります。
3.いつやりたいか、時期を考える
付箋紙をペタペタと貼った後は、その時期を考えていきます。現在をスタート地点として自分の年齢、家族の年齢、現在からの経過年数などを書き込んでいきましょう。1枚の紙に手書きで書いてもいいですし、エクセルなどの表計算シートを使っても構いません。時系列に貼っていったイベントを、自分が何歳の頃に、今から何年後に……というように具体的な時期に当てはめていきます。これでライフプランの完成です。
4.資金計画を立てる
ここからはファイナンシャルプランニングに入ります。まずはそれぞれのライフイベントにかかる費用を見積もってみましょう。この時、最初にイメージした価値観が生きてきます。たとえば結婚式にしてもいわゆるジミ婚とハデ婚ではかかる費用に差があります。どのライフイベントも相場というのはありますが、価値観に合わせた費用を考えられるのは第三者ではなく、自分自身。ネットなどで色々と調べながら書き込んでいきましょう。
このようにライフプランに合わせて具体的な費用のイメージができれば、今何をしなければいけないかが見えてきます。多くの場合は資産形成していく、ということになりそうですが、どんな方法で、毎月いくら、そのためには○○を節約し、△△の支出をやめるといった具体的な計画をしていきます。
その方法の第一歩として、ライフイベント費用に加え、現在の生活費や保険料なども加えて年間の支出を出していきましょう。収入とのバランスを取りながら、毎月貯めていくべき貯蓄額を割り出します。
ライフイベント費用には、近い将来必要なもの、中長期で必要なもの、元本割れしてはいけないもの、運用効果を期待したいものなど、いくつかに区分けできます。それに応じてどんな金融商品で準備するのが適当かを考え、実行していきます。
ライフプラン作成時の注意点
今の自分や家族の年齢にもよりますが、一生を通してライフプランを作っても、人生100年時代と言われるほど長い人生の中では夢や希望が変わっていくのはよくあることです。夢や希望、人生の方向性が変わればその都度ライフプランの見直しをするようにしましょう。
しかし、ライフプランは軌道修正できても、ファイナンシャルプランは軌道修正しにくい場合もあることには注意が必要です。
たとえば、豊かな老後を目指してiDeCo(個人型確定拠出年金)で拠出限度額いっぱい拠出する計画を立てたとしましょう。その分、銀行等の預貯金では少額しか積み立てられません。このようなファイナンシャルプランを実行している途中で、ライフプランが変わり、あるとき突然まとまったお金が必要になったとしてもiDeCoは原則60歳まで払い出しできません。手持ちの預貯金で足らなければ夢を諦めざるを得なかったり、先延ばしになることもあるでしょう。場合によってはローンを利用し、予定外の利息負担が発生することもあり得ます。
このようなことにならないためには、一生のプランを小分けにし、年代に合わせてライフプランを実行していくのがおすすめです。とくに人生設計が変わりやすい若いうちは20代、30代のライフプランから始めてみましょう。40代になれば、子どもも含めた家族のライフプラン、40代後半からは老後生活を見据えたライフプランなどと、短めのライフプランからスタートし、歳を重ねると共に長めのライフプランにしていくのがいいでしょう。
ライフプラン作りに迷ったら、日本FP協会などが提供しているライフプラン診断*1を試してみるのも参考になります。上手にライフプランを作ることができれば、それに合わせて資金準備対策もしやすくなります。長い人生をお金に困らず生きていくためにも、希望を実現させるためにも、自分オリジナルのライフプランを作ってみてください。(提供:mattoco Life)
*1 出所)日本FP協会「ライフプラン診断」