米金融大手のBlackRockのiSharesとState Street Global AdvisorsはESG(環境・社会・ガバナンス)上場投資信託の提供を拡大している。これには証券取引委員会(SEC)に申請中のState Street初のアクティブ運用ESG上場投信も含まれる。
iSharesは今年中に、インデックス型上場投信の商品ラインの一部として化石燃料を除外した3つの上場投信を導入する予定だ。これらの投信はまた、営利目的の刑務所、物議を醸す兵器製造業者、パーム油製造業者、物議を醸した企業を排除している。 3月4日には、iSharesは持続可能な主要上場投信を「意識高い投信」へ名称変更する予定だ。この投信には、環境・社会・ガバナンスの面で優れた特徴を持つが、広範な市場インデックスと同様にリスクとリターン特性を持つ企業のみが含まれる。
環境・社会・ガバナンスへの意識高い投信への需要が増加
意識高い商品ラインは、最新製品ラインのインデックス提供社でもあるMSCIインデックスに基づき、株式・債券ESG投信とともに2018年3月に初めて導入された。今後、数週間内に、意識ブランド投信のインデックスには、石炭やオイルサンドから収入を得ている企業を除外する商品が追加される。 Americas iSharesの責任者であるArmando Senra氏は、「iSharesの持続可能な投信に対する需要の高まりと持続可能性を投資の基準とするための選択肢を提供する必要性がある」と述べた。
フィンランド最大の年金保険会社であるイルマリネンは、持続可能な新興市場投信であるiShares ESG MSCI EM Leaders投信(LDEM)に、最近6億ドルの投資を行った。イルマリネンは以前、iSharesがESG MSCI USA Leaders投信(SUSL)を設立する際に8億5000万ドルを投資した。
いくつかのインデックス型ESG投信を保有するState Streetは、同社初のアクティ運用ESG投信の取引を米証券取引委員会 (SEC) に申請した。 SPDR SSGA責任準備ESG投信は、米国債、モーゲージ・パススルー、社債などの短期の固定利付証券に投資し、極端なイベント、物議を醸す兵器、民間の銃器、石炭採掘、タバコ、国連グローバル・コンパクト(持続可能性の原則)違反に関与している、または収益を得ている大半の発行体を選別する。
金融サービス分野の発行体は、最初の審査過程から除外されるが、他のESG基準に基づいて除外される可能性がある。
自社の投資商品と分析にESG評価を使用することを推進している資産運用者の数が増えている中で、BlackRockとStateStreetは、いくつかの排他的な持続可能性審査を行っている。両社の最高経営責任者 (CEO) は、環境・社会・ガバナンスといった重要な問題を開示せず、対処しなければ、経営陣に対する委任状投票にも影響する可能性があると警告した。
BlackRock社のラリー・フィンク最高経営責任者は、今年1月にCEOに宛てた書簡の中で、「企業が持続可能性に関連した開示や、その基礎となる事業慣行・計画について十分な進展が見られない場合、経営陣・取締役に反対票を投じる傾向が強まるだろう」と述べた。
State Street Global Advisorsの社長兼CEOであるCyrus Taraporevala氏は、取締役会に宛てた1月の書簡の中で、「この株主総会委任状投票シーズンより、S&P500、FTSE350、ASX100、TOPIX100、DAX30、CAC40の各指数のうち、Rファクターのスコアで出遅れていて、どのように改善しようとしているのか明確にできない企業の取締役に対して適切な議決権行使を行う」と述べた。
モーニングスター社によると、これらの発表にもかかわらず、両社は、昨年も過去5年間もESG関連の議決権行使を支持するファンドマネジャーの上位10社に入っていない。BlackRockは2019年にはESG関連の株主決議案の7%しか支持せず、バンガードと同率で最も低かった。モーニングスター社によると、ESG関連決議23のうち、BlackRockが支持していれば15の決議が可決され、40-50%の支持を達成していたはずだと言う。
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