「35歳転職限界説」は一昔前の話。「年功序列」「終身雇用」という安心感よりも、自分らしく活躍できる場を……そう考えてミドル層が転職活動を行うことはもはや珍しいものではなくなった。
だが、ある程度経験があり、高い年収を稼ぎ出しているミドル層ほど、気をつけたほうがいい。あなたが思っているほど、あなたの市場価値は高くないかもしれないのだ。
特に大企業で勤め上げた経験の長いミドル層が陥りがちな「転職の罠」とは?
40代の転職が難しい人の2つの特徴
40代の転職が難しい人の特徴のなかで大きな割合を占めるのは2つある。
まずは「本人の自己評価と市場価値とのギャップ」だ。「名の知れた有名企業に勤めていた」「収入はこれだけもらっていた」「管理職として多くのリソースを管理していた」といった前職の実績や肩書のみで自分自身を高く評価している人は、転職の場面で市場価値とのギャップに苦しむことになるだろう。
転職回数が3回以上の人も転職は難しい傾向になる。ミドル世代の転職なので、転職回数が2回までであれば、さほど問題視はされない。しかし転職回数が3回を超えると、転職先企業は採用してもまた退職してしまうのではないかと考えてしまうのだ。
詳しくはこちら。
>40代での転職が難しい人の特徴とは 失敗する人と成功する人はココが違う(2019/09/08公開)
「年収700万円くらいなら」は見当外れ!?
大企業のミドルからの相談に乗っていると、「自分の市場価値も、世の中の実態も驚くほどわかっていないな」と感じることがしばしばあります。
30年近く社会人としてのキャリアを重ねてきたベテランがなぜそのようなことになってしまうのかとも思いますが、大企業の恵まれた環境、その恵まれた環境に依存する内向きな思考が、自分や世の中を客観的に見る力を鈍らせてしまうようです。
(中略)
その結果、生まれるのが根拠なき楽観主義です。
「大手で課長を務めていた自分なら中小企業の仕事など簡単に務まるはずだ」> 「転職先の年収? ぜいたくは言わないけど700万円くらいはほしい」……etc.
新聞やインターネットなどで二次情報、三次情報を収集するだけでなく、会社を辞めて転職した元同僚などにじっくり話を聴くなどして一次情報に触れれば、自分の考えが見当外れであることはすぐにわかるはずなのですが、それすらしていない。このようなリサーチ不足の状態で「なんとかなるだろう」と転職・起業といったアクションを起こすのは危険です。まだ辞めてはいけません。
詳しくはこちら。
>「年収700万円くらいなら…」世間知らずな転職希望の大企業ミドル社員たち(2020/01/28公開)
40代転職者の28%が「転職後に収入が減った」
40代男性が未経験職種に転職する際、大きなハードルとなるのが「年収」「経験」「年齢」の3つだ。それぞれ順番に見ていこう。
1,前職より年収が下がる可能性が高い
40代が未経験職種に転職するときには、収入が下がることを覚悟しておく必要がある。厚生労働省の調査によると、40代で「転職後に収入が減った」と答えた人の割合は約28%、「変わらない」と答えた人が約35%だった。(厚生労働省の雇用動向調査(平成28年)より)40代の転職では給与が増加した人は3割程度で20代、30代と比較するとやや少ない。残りの7割の人は以前と変わらない、もしくは以前より給与が減少していると回答している。
さらに未経験職種となれば、採用とともに育成や社内調整などのコストがかかる。同じ未経験職種であれば、育成後も長期的に働くことができる20代や30代の採用が優先されるため、40代の採用率は必然的に下がってしまうといえる。
上記を考慮すると40代で未経験職種へ転職する際、以前と同じ、もしくはそれ以上の給与を求めることは難しいだろう。
詳しくはこちら。
> 40代男性が未経験職種に転職するのは難しい?40代の転職の現状と成功させる3つのポイント(2020/02/02公開)
40代男性が転職を成功させる2つの重要なポイントとは?
ポイント1……自身の経験や専門性が活かせる仕事を探す
厚生労働省の調査では、「管理的な仕事」や「専門的・技術的な仕事」で転職者を採用する理由は「経験を活かし即戦力になるから」が65%近くになった。(※厚生労働省の「2015年転職者実態調査」より)事業所規模 1,000 人以上の「専門的・技術的な仕事」に限定すれば、「専門知識・能力があるから」「経験を活かし即戦力になるから」が80%を超えている。
専門性や経験があれば、替えとなる人材はなかなか見つからないため、企業としてはぜひ獲得したい人材だろう。裏を返せば、未経験の仕事に応募しても転職の成功率は低くなる。企業側とすればコストが高く、さらに教育の手間もかかる人材を採用するメリットは少ない。
(中略)
ポイント2……転職先について情報を収集し会社数を絞る
リーダーや管理職など、重要な責務を担いながら多忙な日々を送る40代男性が多数の企業に応募するのは現実的ではない。家族や老後も考える年代でもあるため、目先の時間的効率だけでなく人生の効率も考えれば、無駄な転職をしている暇もないだろう。転職後に失敗したと思わないよう、時間をかけて十分に情報を集めよう。仕事内容や企業文化など自分に合った企業を吟味し、最後の転職のつもりで挑むことが大切だ。
詳しくはこちら。
>40代男性の転職は難しい?転職を成功させるための2つの重要ポイント(2020/01/05公開)
失敗パターンを理解し、対策を
人手不足のご時世、年齢が上だからという理由だけで採用を見送る人事ばかりではない。年代に関わらず、優秀な人材にはラブコールが耐えないもの。失敗パターンから学び、何度もチャレンジできる若いマインドの持ち主には必ず活躍の場が用意されているはずだ。