SBI証券はiDeCoに力を入れている金融機関の一つである。SBI証券のiDeCoでは、セレクトプランとオリジナルプランから選択する必要がある。それぞれのプランの違いや、おすすめ投資信託を4本ずつ紹介する。

SBI証券のiDeCo(イデコ)にはオリジナルプラントとセレクトプランがある

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(画像=beeboys/Shutterstock.com)

SBI証券のiDeCo口座数は30万口座を超えている(2019年9月末時点)。同時期の全体のiDeCo口座数が140万口座弱なので、口座数シェアでは2割超を獲得している。SBI証券はiDeCoで投資を始めるにあたり、多くの人に選ばれている金融機関と言える。

そのSBI証券でiDeCoを始めるには、セレクトプランとオリジナルプランのどちらかを選択する必要がある。まずはそれぞれのプランの違いから理解を深めていこう。

SBI証券のiDeCo(イデコ)の2プランの違いは商品ラインアップのみ

SBI証券のiDeCoセレクトプランとオリジナルプランの違いは「商品ラインアップ」の1点のみである。それ以外の制度や使い勝手に関しては、両プランでの違いはない。

2つのプランがある理由は、2018年5月にiDeCoの商品ラインアップを35本以下とするよう規定する法律が施行されたからだ。SBI証券は法律に対応しつつ、選択の幅を持たせるために2つのプランを用意したのである。

SBI証券のiDeCo(イデコ)のセレクトプランとオリジナルプランの商品ラインアップ

それぞれのプランについて、商品分類別に取り扱い本数を見てみる。細かい銘柄はSBI証券のホームページで確認してほしい。

商品分類別の取扱本数
商品分類 セレクトプラン オリジナルプラン
国内株式 6(4) 9(5)
先進国株式 8(3) 9(4)
新興国株式 2(1) 2
全世界株式  4(1) 0
国内債券 1 1
先進国債券 3(1) 1
新興国債券 1 1
国内REIT 1 1
先進国REIT 1 1
バランスファンド 4(3) 7(2)
コモディティ 1 1
ターゲットイヤー 4 4
元本確保型 1 1
合計 37(13) 38(11)
※カッコ内はアクティブファンドの本数(内数)、2019年12月11日時点

SBI証券のセレクトプランでは37本(うちアクティブファンド13本)、オリジナルプランでは38本(うちアクティブファンド11本)もの商品がある。

セレクトプランに4本ある全世界株式型の商品がオリジナルプランにはないなど、細かい違いはあるが、両プランともに様々な資産へ投資ができるように構成されている。

ただし現状ではセレクトプラン、オリジナルプランともに、iDeCoが定める商品本数の上限である35本以下を上回っている。同法の定めにより、2023年までに両プランともに、ここから数本程度の商品が削減される可能性がある。

SBI証券のiDeCo(イデコ)のセレクトプランでは「低コスト」の商品が多い

セレクトプランは2018年11月から導入されたプランである。特徴は「低コスト」にこだわった商品が多いことだ。

例えば、日経平均株価に投資するインデックスファンドとして、セレクトプランでは「ニッセイ日経平均インデックスファンド」、オリジナルプランでは「DCニッセイ日経225インデックスファンドA」という商品がそれぞれ用意されている。

これらの投資信託は同じマザーファンドへ投資しているにも関わらず、信託報酬率が前者は0.154%(税込)、後者は0.1859%(税込)と異なっている。このケースで考えれば、セレクトプランを選択したほうが有利となる。

これからSBI証券でiDeCoを始める人は、セレクトプランでの検討をおすすめする。

SBI証券のiDeCo(イデコ)オリジナルプランではバランスファンドが充実

SBI証券のオリジナルプランはiDeCoサービスが始まった2005年から提供している。商品数の上限が設定されたことにより、コストや運用実績などを総合的に鑑みて、確定拠出年金向けの専用ファンドを中心とした商品に見直されている。

オリジナルプランの特徴は、バランスファンドの多さだろう。その本数は7本とセレクトプランを上回っており、リスク許容度に応じた商品選択ができるように株式投資比率の異なる商品を多数ラインアップしている。

自身で商品選択を行うのが難しいという人は、バランスファンド目当てでオリジナルプランを選択するという方法もあるだろう。

SBI証券のiDeCo(イデコ)セレクトプランのおすすめ投資信託4選

セレクトプランのおすすめを国内株式型、海外株式型、債券型、バランス型に分け、それぞれの資産クラスから1本ずつ紹介する。

国内株式型……「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」

運用会社……三菱UFJ国際投信
運用方法……インデックス型
基準価額……1万1,570円
純資産総額……136.41億円
信託報酬……0.154%(税込)
※2020年1月31日時点

国内株式では日経平均株価やTOPIXなどのベンチマークがあるが、分散効果を考えて投資銘柄数が多いTOPIXをベンチマークとする投資信託の選択がおすすめだ。国内株式は情報も得やすく、iDeCoでも運用の基本となる資産クラスである。信託報酬が0.154%と非常に低く抑えられている点も重要なポイントだ。

海外株式型……「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」

運用会社……SBIアセットマネジメント
運用方法……インデックス型
基準価額……1万1,235円
純資産総額……48.7億円
信託報酬……0.1102%程度(税込)
※2019年12月30日時点

海外株式型では、全世界の株式市場を投資対象とする商品に注目したい。大型株から小型株まで網羅しており、その投資対象は約8000銘柄にも及ぶ。信託報酬も非常に低く、低コストで全世界の株式へ投資ができる魅力的な商品だ。全世界株式型の商品はオリジナルプランにはなく、セレクトプランのメリットと言えるだろう。

債券型……「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」

運用会社……三菱UFJ国際投信
運用方法……インデックス型
基準価額……1万1,022円
純資産総額……78.06億円
信託報酬……0.154%(税込)
※2020年1月31日時点

日本を除く先進国の債券へ低コストで投資を行える。セレクトプランはオリジナルプランと比べ、バランスファンドのバリエーションが少ない。こうした債券型の投資信託もポートフォリオに組み込みながら、リスクバランスの調整を行いたい。

バランス型……「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」

運用会社……三菱UFJ国際投信
運用方法……インデックス型
基準価額……1万1,678円
純資産総額……450.84億円
信託報酬……0.1540%(税込)
※2020年1月31日時点

国内外の株式・債券・ REIT(不動産)に幅広く分散投資できる投資信託だ。それぞれの資産への基本資産配分は12.5%ずつである。この投資信託1本で各資産への分散投資が低コストで可能となるため、ポートフォリオの中心に据えても良いだろう。

SBI証券のiDeCo(イデコ)のオリジナルプランのおすすめ投資信託4選

セレクトプランと同様に国内株式型、海外株式型、債券型、バランス型に分け、それぞれの資産クラスから1本ずつおすすめを紹介する。

国内株式型……「三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド」

運用会社……三井住友DSアセットマネジメント
運用方法……インデックス型
基準価額……2万6,276円
純資産総額……321億円
信託報酬……0.176%(税込)
※2020年1月31日時点

TOPIXをベンチマークとするインデックスファンドであり、信託報酬が低く抑えられている。オリジナルプランにある国内株式型インデックスファンドの中でも、投資対象と信託報酬のバランスが取れた投資信託だ。

海外株式型……「DCニッセイ外国株式インデックス」

運用会社……ニッセイアセットマネジメント
運用方法……インデックス型
基準価額……1万3,844円
純資産総額……320億円
信託報酬……0.154%(税込)
※2020年1月31日時点

オリジナルプランの海外株式型では、主要先進国の株式へ低コストで投資を行えるこの投資信託を主力に据えたい。マザーファンドは人気の高い「ニッセイ外国株式インデックスファンド」と共通であり、運用実績は疑う余地がないだろう。オリジナルプランでは、全世界株式型のインデックスファンドがないため、分散効果を高めるならば新興国株式型と組み合わせる必要がある点には注意しておきたい。

債券型……「野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」

運用会社……野村アセットマネジメント
運用方法……インデックス型
基準価額……1万8,822円
純資産総額……376.2億円
信託報酬……0.154%(税込)
※2020年1月31日時点

日本を除く先進国の債券への投資を行うインデックスファンドである。オリジナルプランでは先進国債券型はこの1本だが、コストも低く実績もある投資信託である。ポートフォリオのリスクバランスの調整に活用したい。

バランス型……「DCインデックスバランス(株式60)」

運用会社……日興アセットマネジメント
運用方法……インデックス型
基準価額……2万2,864円
純資産総額……104.32億円
信託報酬……0.154%(税込)
※2020年1月31日時点

国内外の株式・債券に分散投資を行う投資信託だ。基本資産配分は株式60%、債券40%となっている。コストも低く、ポートフォリオの中心に据えやすい投資信託だろう。関連ファンドとして株式比率を80%に高めた「DCインデックスバランス(株式80)」や、株式比率を40%や20%に下げた「同(株式40)」、「同(株式20)」も揃う。リスク許容度に応じてバランスファンドの選択ができる点がオリジナルプランの強みであろう。

SBI証券のiDeCo(イデコ)のプラン変更は自由に行える

セレクトプランとオリジナルプランの変更はいつでも手数料無料でできる。2018年10月31日以前よりSBI証券でiDeCoを行っている人は、オリジナルプランで登録される。セレクトプランへの変更を希望する人は手続きが必要だ。

ただしプランの変更の際には、一度保有資産を全て売却する必要がある。iDeCoなので、売却益への課税はされないものの、売却して現金化されている期間は運用が行われない点には注意した。また、新しいプランで買い付けの指示が必要となるため忘れずに行いたい。

文・樋口壮一(金融ライター)/MONEY TIMES

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