経営環境の変化に柔軟に対応するためには試算表を迅速に確認し、分析・アクションを起こすことが求められます。しかし中小企業では肝心の試算表が翌月末にようやく確認できる状態だということもめずらしくありません。

試算表を迅速に作成するには「経理の効率化」が効果的です。実は多くの中小企業の経理は非効率になっていることが多く、改善のメスを入れると大幅な効率化が期待できるのです。

本稿では経理が非効率になりやすい理由を踏まえ、経理を効率化するための具体的な6つの方法を解説します。

経理が非効率になりやすい理由

スピーディーな経営判断を実現する!経理効率化の具体的な方法6つ
(画像=SFIO CRACHO / Shutterstock.com)

経理は会社の重要な情報を扱う部署。他部署から経理がどのような業務をしているのか見えづらいことがよくあります。そのため非効率な方法で作業をしていても周りから指摘されず、業務が属人化し何十年も業務プロセスが変わっていないという問題が起こりやすいのです。

また経理はミスがなくて当たり前の部署。そのため担当者は保守的になりやすく、業務を効率化するよりも全担当者の業務プロセスを踏襲します。その結果非効率な経理プロセスが引き継がれていくのです。

経理を効率化するための具体的な6つの方法

経理業務のほとんどはルーティーン。そのためうまく工夫をすれば大幅な効率化を実現できます。

ここからは個人レベルで取り組めるものから、会社全体で取り組むべき効率化の方法をお伝えします。

ショートカットキーを活用する

ショートカットキーを使いこなせると日々の業務スピードは格段に上がります。経理の効率化は基本的なことの積み重ね。会社全体として大きなインパクトはありませんが、個人レベルでできることをするのも大切です。まだショートカットキーを活用できてない場合は、早速取り入れてみてください。

ダイレクト納付・地方税共通納税システム

源泉所得税や住民税を納付するために金融機関へ出向く場合、交雑具合によって待ち時間が長くなり他の業務がずれ込むことも少なくありません。しかし、ダイレクト納付や地方時交通納税システムを取り入れることで、税務署や金融機関に出向くことなくオフィスから納付とすることができます。即時または期日を指定することができるため業務スケジュールも組み立てやすくなります。

デュアルモニターを導入する

デュアルモニターとは複数のモニターのこと。PCのモニターを複数使うことで作業効率をあげることができます。

経理業務では2つのエクセル、会計ソフトとエクセルを見比べるといった使い方をする人が多いのではないでしょうか。このような場合にデュアルモニターだとミスも減り作業効率があがります。

小口現金を廃止する

社内で小口現金をなくすと経理の効率化が大幅に進みます。現金は管理コストが大きいもののひとつです。

経費精算を例にみてみると、現金について以下の作業行われています。

  • 銀行から現金を出金して金庫に補充
  • 経費精算申請書を元に現金を出金
  • 申請者に現金を手渡し
  • 小口現金出納帳に記入
  • 会計ソフトに入力
  • 定期的に金庫の残高・金種チェック

上記のように、現金があるだけでこれだけの作業が発生しているのです。

少し話が逸れますが、小口現金は不正や横領が起こりやすい業務。不正を防ぐためにダブルチェック体制にするとさらにリソースが必要になります。

このように現金まわりの業務はとても多いもの。現金をなくしてしまえば、これらの業務もなくすことが可能です。

都度振込をやめる

請求書が届く度に支払いをしている場合は、なるべく振込作業をまとめて行いましょう。振込をするにあたって、以下のような作業が発生しています。

  • 請求書を確認
  • 支払い一覧を作成
  • インターネットバンキングなどで振込手続き
  • 上司に承認依頼をする
  • 上司の承認後に振込む

これらの作業を請求書が届く度に行なっていると、振込担当者と承認をする上司の2人分のリソースを都度使っていることになります。「振込は15日と月末のみ」などのルールを決めて、振込作業をまとめましょう。

クラウドツールを導入する

経費精算や会計入力にクラウドツールを導入すると経理の効率が大幅にアップします。しかし単に既存の経理プロセスにクラウドツールを導入しただけでは効果は得られません。

クラウドツールを導入する前に必ず業務の棚卸しを行い、クラウドツールを使った経理プロセスを再構築する必要があります。また、担当者へのオペレーション教育も重要です。なぜなら担当者がツールを使いこなせなければ、結局新しいツールが使われずに放置される可能性があるためです。

しかし日々の業務に追われている社内の担当者に、業務の棚卸しやプロセスの再構築を行なってもらうのは容易ではありません。このような場合、外部のコンサルタントにアウトソースすることで潤滑にクラウドツールへの移行ができます。

これらの事前準備さえしっかりと行えば、クラウドツールの導入で経理の効率化が実現するでしょう。

まとめ

経営判断の早期化を実現するために経理の効率化は避けては通れません。本稿では個人レベルで改善できることから会社全体で取り組まなければならない経理効率化の方法までお伝えしました。クラウドツールの導入は一時的に大きなリソースが必要ですが、本気で経理を効率化したいのであれば選ぶ価値があるでしょう。まずはできるところから、経理の効率化を始めてみてください。

(提供:THE OWNER