(本記事は、阪井裕樹氏の著書『世界のトップは身につけている1分で相手の心をつかめ』株式会社コスミック出版の中から一部を抜粋・編集しています)
結果を出す人が必ず持っている必殺技「エレベーターピッチ」
まずはあなたが、自己紹介をしている場面を思い出してほしい。
僕は主催のセミナーでは必ず参加者の方に「1分間」の自己紹介をやってもらう。
しかも、シンキングタイムなしで、だ。
多くの場合、突然自己紹介を振られた場合は、以下の三つのパターンになる場合が多い。
パターン①名前を名乗るだけで終了する。
そもそも自分について何を話したら良いかわからないので、名前+よろしくお願いします……あとは苦笑い。
パターン②異様に饒舌になる。
ここぞとばかりに自分をアピールしようと、色んなことを詰め込んで詰め込んで伝えようとして、結局聞き手は何を言いたいのかよく分からずに、タイムオーバーというパターン。
パターン③普通の自己紹介で終わる。
自分の名前+職業+(余裕があれば趣味など)+(セミナーに参加した場合、主催者との関係性など)。
あなたがこれまで突然自己紹介を振られたら、この3パターンのいずれかに当てはまった自己紹介をしていなかっただろうか。
もちろん、こういった自己紹介は間違いではない。
しかし、より自分の魅力を相手に伝えるためには、これだけでは不十分だ。
ここからは、あなたの自己紹介を、一緒に研いていこう。
「エレベーターピッチ」をつくる
再度復習すると、「エレベーターピッチ」とは、エレベーターに乗る短い時間の間にプレゼンすることで、ビジネスにつなげるテクニックのことを指す。
初対面での自分の持ち時間は「1分」が限界だ。
1分とは、文字数に直すと「約350文字」が限界。
話し言葉に直すと、「300文字」程度になる。
この短時間の中で、自分の魅力を相手に伝えることが求められる。
このエレベーターピッチを早速つくってみてほしい。
制限は350文字以内で、いったん、あなたがいつもしている自己紹介を、そのまま当てはめて書いていただければ大丈夫だ。
書き終えたら、実際にストップウォッチで、1分間計測しながら、声に出してみてほしい(可能であれば、録音して聞き直してほしい)。
実際に文字に起こしてみて、そしてさらに声に出してみると、どんな感想を持っただろうか。
一般的に、書いた内容としては冒頭でいった③のパターンの、
- 名前
- 職業・仕事内容
といった情報のみが記載されている内容になっていないだろうか。
そして、実際に声に出して読んでみると、意外と350文字は多く感じて、1分では話しきれない、という人が多いのではないだろうか。
実際に自分の話した内容を聴いてみると、よりわかるのだが、その自己紹介を仮に自分が初対面の人からされた場合、「もう少し詳しく話を聴かせてください!」と前のめりになるような自己紹介になっているだろうか。
ぜひ、自分自身に問いかけてほしい。
ビジネスの世界では、ファーストインプレッション(第一印象)が大事と言われる。
以下のメラビアンの法則でも言われているように、人は非言語情報(視覚・聴覚情報)で相手を認識する割合が高いと言われている。
- 視覚情報(見た目や服装など):55%
- 聴覚情報(声のトーンや話のスピードなど):38%
- 言語情報(話の内容など):7%
そのため、ファッションや話術・テクニックを研くことに人はお金や時間を投下し、話の内容を徹底的に研く、ということについては疎(おろそ)かにしがちだ。
しかし、いくらビシッとした服装をしていても、話のトーンやスピードが完璧でも、先ほどのような自己紹介をされたら、あなたはその相手に「もう少し話を聴かせてください!」と前のめりになるだろうか。
おそらくならないだろう。
もちろん、〝身だしなみ〟という点では見た目も大事だ。
〝身だしなみ〟とは、ファッションとは異なり、相手から自分がどう見られているかを意識して、相手に不快感を与えないように言動や服装を整えることを指す。
最低限のマナーは守った上で、大事なことは、「言葉を研(みが)く」ということだ。
なぜなら、先ほどのメラビアンの法則であった聴覚情報(声のトーンや話のスピードなど)は、「自分のストーリー」を話すと自然とついてくるものだからだ。
あなたは、自分の過去を誰かに話している時、その情景が浮かび上がり、喜怒哀楽を疑似体験した経験はないだろうか。
人間の脳は、過去の記憶を疑似体験する機能をもっている。
つまり、「自分のストーリー」を話すと、話し手自身もその記憶を疑似体験するため、たとえば悲しい記憶であれば自然と声のトーンが下がったり、話すスピードがゆっくりになったりするものだ。
これは後付けのテクニックでは絶対に出せない。「自分のストーリー」を語っているからこそ出せるリアリティだ。
この本を読んでくれているあなたには、たった7%だからと言語情報を甘く見ずに、ぜひこのリアリティを徹底的に追求してほしい。
そうすれば、相手には必ず伝わる。
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