年初来で航空関連銘柄に対して逆風が吹いている。特に注目が集まっているのは、中国の武漢市で発生した新型コロナウイルスである。

新型コロナウイルスは中国だけでなく、タイや日本へ急速に拡大し、1月中旬には最初の死亡事例が報告された。中国当局は1月23日、武漢市の封鎖を決定した。

その後、湖北省全体に都市の封鎖が拡大され、現地の空港は封鎖された。

また、工場の稼働が停止しており、空運需要も減少している。

他方、株式市場においては、一部の運輸関連銘柄が下落し始めている。

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XTN月足チャート(画像=Investing.com)

SPDR® S&P運輸ETF (NYSE:XTN)は、年初来で3.39%高となっているものの、もみ合いとなっている。その構成銘柄は、43.7%が陸上運輸関連銘柄や物流関連銘柄、25.82%は航空会社銘柄、 16.01%は空輸関連銘柄となっている。同ETFは月次でも、プラスの収益率となっている。

しかし、米国やアジアにおける航空会社の株価は、下げ相場となる可能性がある。

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ユナイテッド航空月足チャート(画像=Investing.com)

米ユナイテッド航空 (NASDAQ:UAL)は先月、上昇トレンドラインを下回った。最初にサポートとなる水準は約70ドル、買いが加速する水準は約60ドルであろう。RSIでは、ネガティブダイバージェンス(赤矢印)が発生しており、トレンドライン(青線)を下割りしている。

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カンタス航空月足チャート(画像=Investing.com)

豪カンタス航空 (ASX:QAN)は先月、大きく下落した。今月は上ヒゲの長いロウソク足が上昇トレンドライン(青線)に向かっている。買いが入る水準は(水色の長方形)は約5.00~5.50ドルであろう。

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シンガポール航空月足チャート(画像=Investing.com)

シンガポール航空 (SI:SIAL)は過去最低値を記録しており、いつ底を打つかは分からない。

中国国内における新型コロナウイルス感染者数の増加は低減しており、当局は国内の移動制限を緩和した。しかし、世界規模でのパンデミックの懸念は依然として拭えない。各国で航空便がキャンセルされ、欧州や米国でさらに感染が拡大する場合、航空関連銘柄は下げ相場となるだろう。

航空関連銘柄の好材料として、以下の3つが考えられる。

  • 原油価格の下落による、コストの減少
  • 貨物輸送価格の引き上げ
  • 気候の温暖化によるコロナウイルスの沈静化

しかし、ベストなシナリオは、コロナウイルスの問題が解決され、通常の状態へ戻ることである。(提供:Investing.comより)

著者:Investing.com