人生には大きく分けると「上り坂」「下り坂」、そして「まさか」といった3つの状況が考えられます。比較的順調に経過してきた政治や経済情勢も2020年以降はどうなるか分かりません。私たちは自分自身の資産やビジネスを守るためにも日頃から「まさか」に備えることは大切です。今回の記事では、著名な政治学者イアン・ブレマーが主宰するユーラシア・グループによる2020年10大リスクの中から資産運用に関連するリスクについて紹介します。

さらにこれらのリスクにいかに対処すべきかについても確認していきましょう。

地政学リスクはビジネスをも左右する

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(画像=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

資産運用や企業経営において「金利」「為替」「景気」といった経済的な側面だけを追っかけていては判断を見誤りかねません。ボーダーレス化した社会においては「各国政府の思惑」「政治的衝突」「地球温暖化」「政情不安」が経営に大きなインパクトを与えるといえるでしょう。

2020年のリスクと資産運用

2020年のリスクが資産運用にいかなる影響を与えるか、ここでは次のリスクを取り上げ考察します。

・米中デカップリング(分断)と半導体関連企業
・気候変動と石油・石炭系企業
・規制をかけられる多国籍企業とGAFA( Google、Apple、Facebook、Amazon)
・米大統領選の動向

米中デカップリング(分断)と半導体関連企業

米国と中国問題の本質は、単に通商面での一時的な対立ではなく、民主主義対国家統制主義という価値観のまったく異なる2大超大国の覇権をかけた死闘問題といえるのではないでしょうか。特にハイテク産業に関して米国は、自国技術の対中輸出を厳しく規制、一方で中国は国内創生(アメリカに頼らない供給網)にドライブをかけています。

2020年はこうしたデカップリング(分断)がますます進行し欧州・日本の企業は立場をはっきりさせよう迫られる可能性が高いのです。特に日本が強みとする半導体材料・製造装置のメーカーに関しては、立ち回り次第で業績向上が期待できますが、一方で経営リスクとなる懸念も強いとされています。

気候変動と石油・石炭系企業

世界各国で「集中豪雨」「熱波」「異常気象」が頻発するなど地球温暖化の脅威はすでに顕在化しています。こうした中で機関投資家を含めてESG投資(環境・社会・企業統治に配慮している企業への投資)へのシフトはますます強まってきている傾向です。そのため反応の鈍い企業、特に今後は以下のような投資がシュリンクする可能性があるといわれています。

・石油石炭採掘の資源関連
・エネルギー供給会社
・自動車メーカー
・食肉業

関連銘柄の株式投資にあたっては、こうした動向をしっかりとウォッチしたほうが良さそうです。

規制をかけられる多国籍企業とGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)

多国籍企業は「減速する世界経済」「新興国の政情不安」「格差問題への対処」を迫られるだけでなく、ますます厳しくなる規制に悩まされるかもしれません。日米欧いずれにおいてもビッグテック(巨大IT企業)への包囲網は狭まり代表格であるGAFAに対しては、「個人情報の利用」「優越的地位の乱用」「過度な節税へのアクション」を求められる可能性が示唆されています。

こうした事態に上手に対応し「持続的成長を続けられるか」について今後に注目です。

米大統領選の動向

最大のリスクは2020年11月の米大統領選といわれていいます。どちらが勝ってもアメリカ政治は完全に分断し、あらゆる政策が停滞するのではと危惧されています。一方で多くのアナリストは景気後退開始が2020年末と予測、もしかすると大統領選がリセッションのきっかけとなるのかもしれません。

最後に中国は新型肺炎コロナウイルスの影響で国内団体旅行を2020年1月末に禁止し、さらに海外への渡航禁止も発表されました。この発表に伴い日経平均の下落は500円を超えました。このように地政学的リスクは相場を左右する投資の鉄則として心得ておくことが必要でしょう。

資産運用においては日頃からできるかぎり予測しうるリスクには早めに備えながら、リスクヘッジも検討しておくのが賢明といえるのではないでしょうか。(提供:Incomepress


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