社長の夢と従業員の夢は違う

経営者が思い描く会社の夢というのは、「いつまでに売上をどのくらいまで伸ばして、このくらいの規模の会社にしたい」「会社を上場させたい」といったことが多いです。そうすることが従業員もうれしいだろうと思っている経営者がいますが、経営者の夢と従業員の夢というのはかけ離れているものです。上場して、社長の持ち株の値段が上がろうと、従業員にとってはそんなことは興味のないこと。ワクワクすることでもうれしいことでもないのです。

それが分からない社長は、自分の想いを押しつけます。

それでは社員のモチベーションは上がらないと気づいている社長は、もっと従業員と共有できる夢を考えます。

働きがいがあるということが大前提ですが、例えば、「資金に余裕ができたら、社費で海外留学のチャンスを提供します」「研究施設を作ります」と言う。「そのためには、これくらい利益を出すことを目指したい」ということであれば、社員も売上向上に励むことができます。

「社員食堂を充実させます」「社員向け住宅ローン制度を設けます」でもいいでしょう。

社員がかなえてほしいと思うような提案をすることで、夢を共有し、士気を高めていくことができます。

小宮一慶(こみや・かずよし)
経営コンサルタント、小宮コンサルタンツ代表
1957年、大阪府生まれ。1981年、京都大学法学部を卒業後、東京銀行に入行。1986年、米国ダートマス大学経営大学院でMBAを取得。帰国後、経営戦略情報システム、M&A業務や国際コンサルティングを手がける。1993年には、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。1996年、〔株〕小宮コンサルタンツを設立。『小宮一慶の1分で読む!「 日経新聞」最大活用術』(日本経済新聞出版社)など、著書多数。(『THE21オンライン』2019年12月31日 公開)

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