40代で何回か転職を経験してきた人の中には、回数が多いと不利になるのではと不安な人もいるかもしれない。実際に転職が多いことは採用へどの程度影響するのだろうか。今回は転職の回数が選考へのどのように影響するのか解説していこう。

40代の転職回数の平均は?40代では6割の人が1回以上の転職を経験

転職,回数
(画像=Kzenon/Shutterstock.com)

実際に40代の転職回数はどのくらいなのだろうか。そして書類選考の時点で転職回数が多いことはマイナスイメージになるのだろうか。

転職サイトのリクナビNEXTのデータでは、40代で転職経験のない人は38%であった。つまり、40代で62%の人が転職経験者ということだ。それでは転職回数の割合はどうなっているのだろうか?

【40代の転職回数アンケート】

転職回数 回答者の割合
1回 20%
2回 18%
3回 11%
4~5回 12%
6回以上 1%

※リクルートキャリア「リクナビNEXT 採用実態調査」2017年1月〜6月より筆者作成

このデータからは40代の転職回数の平均は約1.5回。40代では1、2回の転職を経験しているのが一般的といえるだろう。

40代の転職回数が多いとされるのは「5回」から!多すぎるとイメージダウンになることも

転職回数が選考においてイメージダウンとなるかどうかは、業界の転職者採用についての考え方や企業が求めているポジションにもよる。

40代の転職回数は何回までなら採用されやすいか?

前述のリクナビNEXTの調査では「採用担当者が求職者の転職回数を何回から気にしだすか」というアンケートを実施している。回答では、3回の転職から気になると答えた採用担当者の割合が急上昇し、40%が、「気にする」と回答している。

一方同調査では、採用担当者に「実際に採用した求職者の転職回数は何回だったか」も質問している。実際に企業に採用された求職者の転職回数は下記のような結果となった。

【実際に企業が採用した求職者の転職回数別の割合】

採用された
求職者の転職回数
採用した
企業の割合
1回 3%
2回 6%
3回 28%
4回 22%
5回 22%
6回 7%
7~9回 6%
10回以上 6%

※「リクルートキャリア リクナビNEXT 採用実態調査2017年1月〜6月」より筆者作成

実際に採用された人の転職回数を見てみると、6回以上転職している人を採用している企業の割合は急激に減少している。アンケートからは、採用担当者が実際に気になりだす転職回数は3回だったのに対し、実際の採用に影響する転職回数は6回と、異なっていることがわかる。

転職は3回を超えると少し多いと感じられるが、実際には採用している企業は多いため、あまり影響しないといえる。ただ6回以上の場合、採用を見送る可能性が高まるといえるだろう。

転職回数が多い人が持たれてしまうマイナスイメージは?

ではなぜ転職回数が多いと採用に影響が出るのだろうか。一般的に、転職回数が多くなるにつれてイメージダウンが起こるのは以下の2つの理由だと考えられている。

1,スキルや能力に疑問を持たれる
転職回数があまりにも多すぎると、一つひとつの企業での就業期間が短くなり、業務の経験とスキルの品質の高さの信憑性が希薄になる。そのため採用担当が、募集職種や募集業務に最適な人材であるかどうか確信がもてない可能性がある。

前述のリクナビの調査でも以下のような回答が見られた。

「40前後だと多い人は6回程度の転職経験は普通にある。重要視しているのは、なぜその回数なのか?その回数によって何を得て、どう成長したか?ポジティブなコメントが得られるなら回数は気にしない」

同じ職種で転職してきた、または転職回数にもっともらしい理由がある場合はスキルや能力をきちんと評価される可能性が高まるということだろう。

2,継続性に疑問を持たれる
企業の募集ポジションが長期雇用の募集である場合、転職回数があまりにも多すぎると、求職者を採用しても、これまでと同様にすぐに辞めてしまうのではないかと捉えられる可能性がある。

実際に前述のリクナビの調査でも「短期間で転職を繰り返す人は、入社しても長続きはしないと判断している」「転職回数よりも各会社での在籍期間が気になる。各社、最低3年はいてほしい」など、求職者に長期間働いてほしいと考える採用担当者が多いようだ。

転職回数の多い人が採用されるための5つのポイント キャリアは一貫性を持ってポジティブに伝える

それでは転職回数の多い人がイメージダウンを避けて採用されるためにはどのような点に注視する必要があるのだろうか。ここでは転職の多い人が採用されるための5つのポイントを解説する。

ポイント1,企業へ今回の転職での意欲をアピールする

企業へ意欲をアピールすることは転職時には必須だ。スキルアップの目的で転職した結果、回数が多くなったという人はさまざまな企業でスキルと経験を積んでおり実績も豊富だろう。

自身の能力やスキルが求職先企業でどのように役立ち貢献できるか、具体的にアピールしたい。例えば「5人のチームを率いて売上を5,000万円アップさせた」「仕組み化を行い、業務工数を10人月から5人月に削減した」などと数字を用いて実績を語ろう。今回の転職が自分にとって最後の転職だという姿勢で、転職で実現したいことや、将来的のキャリアなど長期の目線から意欲をアピールできるようにしておくと、より採用担当者に好感を持たれやすい。

ポイント2,退職理由はポジティブに伝える

採用担当者が転職回数の多い求職者を選別する場合、退職理由はもっとも注視する点のひとつだ。転職理由を明確にポジティブに採用担当者に伝えられるように対策を練る必要がある。

たとえ転職理由が人間関係や給与水準への不満などネガティブなことだったとしても、それを採用担当者へそのまま伝えてしまわないようにしたい。同じような不満を転職先でも抱かれてしまわないかとマイナスな印象を与えてしまう恐れがある。

「より自身のスキルを向上させる」「よちやりがいのある仕事をしたい」など自身のとらえ方を柔軟にすることによって、ポジティブな理由で転職したと印象付けることが大切だ。

ポイント3,一貫性のあるスキルや能力をアピールする

転職の多い人が採用担当者に自身の市場価値をアピールする際、特に注意したいのが「一貫性」である。転職回数が多く職種も多数経験している場合、経験やスキルが多種多様になりがちで、統一感に欠ける恐れがある。企業の募集内容にあった一貫性のあるセールスポイントを整理して企業にアピールすることが大切だ。

例えば営業職、企画職、マーケティング職などを渡り歩いている人でも「マネジメント力」「企画力」「課題解決力」などは一貫性のあるセールスポイントにできるだろう。また1つの職種で様々な業界を経験していれば「営業力」など職種特有のスキルや、業界を横断した業務の「適応力」などをアピールできる。

募集されている求人に求められているスキルや能力に沿った実績や経験をアピールできるよう、キャリアの棚卸しをしておこう。

ポイント4,転職市場が活発な時期に転職活動を行う

企業の多くは、新年度に向けて人材補充を計画していくことが多い。そのため、毎年2月~3月は転職市場が活発になる時期で、企業も採用に積極的だ。他の時期に比べ求人数も多く、転職回数が多い人でもチャンスが増える。

一方で応募者も増えるため、ライバルも多くなるということは理解しておきたい。この時期に合わせて転職活動を行う場合は、遅くとも1月中に転職活動に必要な準備をしておくべきだろう。

また、4〜5月は採用活動が落ち着くため求人数は減るが、ライバルが少ない狙いめの月ともいえる。2〜3月で良い求人に出会えなかった場合は、4〜5月の求人を検討するのもよいだろう。

ポイント5,人材不足の業界を選ぶ

人手不足の業界は、求職者の転職回数にかかわらず採用に積極的だと考えられる。帝国データバンクの調査によると、2018年に人手不足感がもっとも高かった業界は「情報サービス」であった。「運輸・倉庫」「建設」「飲食」「放送」なども人手不足感が高い。転職回数の多い人でもスキルを活かせる見込みがあれば転職できる可能性は高いだろう。

転職回数が多い人に向いているエージェント3選

前述の「転職回数の多い人が採用されるための5つのポイント」で解説したように転職回数の多い人は綿密に準備と活動をしていく必要がある。転職活動に不安を感じたり、さらなる効率を求めたりする場合は、転職エージェントを活用するのが良いだろう。ここでは40代が使いたいエージェント3社を紹介する。

1,リクルートエージェント……業界最大級20万の非公開求人が魅力

リクルートエージェントは業界最大手の転職エージェントで、豊富で幅広い業種の非公開求人があることが魅力だ。転職のプロが希望条件に合う求人を紹介してくれたり、給与交渉や志望動機作成のアドバイスもしてくれる。

リクルートエージェントは手厚いサポートに定評がある。転職回数の多い人にとっては志望動機や転職理由をブラッシュアップする手助けをしてくれるため心強いだろう。また非公開求人の保有数は業界最大級のため、転職回数の多い人でも選考に通りやすい求人を見つけることも可能だろう。

2,CAREERCARVER……ハイクラスの転職に特化したサービスが無料で受けられる

CAREERCARVERは求人サイト最大手のリクルート系列で年収800万~2,000万円のハイクラス転職を専門とする転職エージェントだ。約1,800名のヘッドハンターが求職者の履歴書を確認した上で転職先を紹介してくれる。転職が決定した求人の平均年収は900万円とかなり高水準だ。ハイクラス求人にもかかわらず、全てのサービスが無料で受けられる点も魅力だろう。

CAREERCARVERはヘッドハンターのスカウト型サービスのため、転職回数が多い人も求人サイトから応募するより高確率で転職が可能といえる。

3,ビズリーチ……一流ヘッドハンターや企業からスカウトが受けられる

ビズリーチは、ハイクラス・ミドル層に特化したエージェントで求人の約3分の1が1,000万円以上の案件となっている。ヘッドハンターや企業から直接スカウトを受ける形式で転職活動ができるのが魅力だ。求人数やヘッドハンターの数はCAREERCARVERよりも多い。

ただスカウトの種類によっては有料会員でないと返信できないものもあるため、全てのサービスが無料で受けられるわけではない。

ビズリーチでは企業から直接スカウトが来るため、求人サイトよりも高確率で転職ができる。また非公開のハイクラス求人も多いため、転職回数が多い人でもスキルや実績に自信があればより好条件の求人を見つけられるかもしれない。

40代で転職回数の多い人はポジティブにアピールすることが大切

40代で転職回数が多い人の中には、ネガティブな理由で転職を考える人もいるであろう。しかし、転職活動では、ネガティブなイメージはマイナスだ。ネガティブな面をポジティブに変換し、セールスポイントをアピールしていくことが大切であろう。自分ひとりでセールスポイントを考えたり、転職活動を進めるのがむずかしいという場合は転職エージェントを活用してみるのもよいだろう。

文・小塚信夫(ビジネスライター)/MONEY TIMES

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