ステーキ専門店「いきなり!ステーキ」の経営不振が足を引っ張り、ペッパーフードサービスの2019年12月期の最終損益は27億円の赤字となった。当初は25億円の赤字を見込んでいたが、それを2億円上回った。なぜここまで赤字が膨らんだのか。今後の業績回復は見込めるのか。
ペッパーフードサービス、最終損益は27億円の赤字
ペッパーフードサービスは、2018年12月期に1億円の赤字に転落している。2019年12月期も黒字に転じることはなく、赤字幅はさらに拡大した。一方で売上高は伸び続けている。2016年12月期は223億円だった売上高は、2020年12月期は614億円まで増えた。売上高は伸びているのに、なぜ業績は不振なのか。
その理由としては、「いきなり!ステーキ」の急激な店舗数の拡大によって自社店舗同士が競合状態となり、効率的な事業展開ができていないことが挙げられる。自社店舗同士が客を奪い合えば、1店舗あたりの収益性が下がる。いくら売上を上げても利益は残りにくくなっていくわけだ。
主力事業の「いきなり!ステーキ」急激な出店の代償
ペッパーフードサービスは、「ペッパーランチ事業」「レストラン事業」「いきなり!ステーキ事業」という3本柱で事業を展開している。このうち売上高が最も大きいのが「いきなり!ステーキ事業」であり、同事業の収益改善は避けて通れないはずだ。
ペッパーフードサービス自体も、決算資料の中で出店戦略の失敗を認めている。同社は「急成長を楽しむ」を基本方針としてきたが、「いきなり!ステーキ」の新規出店計画を210店舗から115店舗に変更した。その後既存店の売上アップに注力してきたが、今のところ社内競合による売上減の状態から抜けきれていない。
これを受けて今期は44店舗の退店を決め、特別損失として減損損失を27億1,600万円計上した。これが、赤字額の大幅増加の主な要因だ。
今後はどう復活を目指していくのか
ペッパーフードサービスは、この状況からどう脱却しようとしているのか。同社は、「いきなり!ステーキ」事業における2020年12月期の具体的な施策として、以下の内容を挙げている。
復活施策1,閉店戦略で収益性を高める
まずは、自社内競合状態を解消するために、既存店44店舗の閉店に優先的に取り組む。競合状態が解消すれば、各既存店の売上高や収益力は自ずと高まっていく。また、来店客のニーズなどを調査し、既存店舗を別業態でリスタートさせることも視野に入れている。
復活施策2,既存店の販売力の強化
既存店のてこ入れも同時に進める。たとえば、目を見て「いらっしゃいませ!」と言う「0.2秒作戦」を徹底させるほか、肉マイスター制度の活用、路面店やフードコート店などの店舗タイプ別でのメニューの改定、新メニューの導入なども進めていくという。
復活施策3,ネット販売にも注力
「いきなり!ステーキ」と言えば実店舗をイメージする人が多いと思うが、同社はインターネットでのハンバーグやステーキ、バターソースなどの販売にも力を入れており、今後は楽天市場やAmazon、Yahoo!において販売商品のラインナップを拡大していくようだ。
復活施策4,コラボ商品による収入
そのほか、コラボ商品などによってロイヤリティ収入を増加させるという目標も掲げている。2月には、第一屋製パンと「いきなり!ステーキ監修 ハンバーグパン」を関東地区や関西地区などで販売した。
「いきなり!V字回復」は果たせるか!?
「いきなり!ステーキ」事業において、「宅配サービス」の拡充にも取り組んだ2019年12月期。2期連続赤字となってしまったが、競合店舗の閉鎖やメニュー改定などが今期の業績改善にどれだけつながるのかに、視線が集まる。同社は、「いきなり!V字回復」を果たせるのだろうか。
文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)/MONEY TIMES
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