要旨

米国経済の見通し
(画像=PIXTA)
  1. 米国の10-12月期の成長率(前期比年率)は+2.1%(前期:+2.1%)と前期並みの伸び。個人消費の伸びが鈍化したほか、設備投資は3期連続でマイナス成長となったものの、輸入の落ち込みもあって外需が成長率を押し上げた。
  2. 20年に入り、中国で発生した新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が続いており、資本市場でリスクオフの動きが強まるなど、世界経済に対する懸念が強まっている。米国でも感染拡大や経済への影響を緩和するため、財政・金融政策で対応を強化している。
  3. 20年の米経済見通しは新型コロナウイルスの動向に大きく左右されるが、現時点でその影響を定量的に判断することは困難である。今回の経済見通しでは、全米規模での集団感染は回避されるとの前提を置き、20年の成長率を前年比+1.8%と前回予想時点(19年12月)の+1.9%から小幅に下方修正した。一方、21年は同+1.9%と、こちらは前回から据え置いた。
  4. 金融政策は、3月と4月にそれぞれ▲0.25%追加利下げを予想する。もっとも、資本市場が安定しない場合には3月の利下げ幅は▲0.5%に拡大しよう。その後は、コロナウイルスの感染拡大の終息を確認して、12月以降に政策金利は緩やかな引き上げに転じると予想する。
  5. 上記見通しに対するリスクは新型コロナウイルスに加え、米国内政治である。とくに、11月の大統領選挙で民主党候補者が勝利する場合には政策の予見可能性低下から米経済にネガティブとなろう。いずれにせよ、現時点では米経済の下振れリスクは大きい。
米国経済の見通し
(画像=ニッセイ基礎研究所)