新型コロナウイルスの感染症拡大の影響で、一部従業員もしくは全従業員を原則在宅勤務(テレワーク)とする企業が増えてきた。ここでは、これまでに従業員の在宅勤務を発表した主な企業と、テレワークにしたことによる影響を分析していこう。

在宅勤務を導入した有名企業は?

新型コロナウイルス,在宅ワーク
(画像=gopixa/Shutterstock.com)

まずは、在宅勤務を導入した有名企業を整理してみよう。

企業名 内容
Twitter 3月2日から、全従業員を原則在宅勤務に
Google 3月10日、北米エリアの全社員に
在宅勤務を推奨すると発表
Amazon 3月5日、本社があるワシントン州シアトル周辺の
従業員に在宅勤務を指示
トヨタ自動車 国内従業員に在宅勤務などを推奨すると発表
電通 2月26日から本社ビル勤務の全従業員約5,000人を対象に
在宅勤務を実施し、それを3月15日まで延長
資生堂 2月26日から3月6日まで、従業員約8,000人の
出社を原則禁止に
三菱商事 2月28日から3月15日まで、本店・国内拠点に勤務する
全社員と派遣社員約3,800人を原則在宅勤務に
三井化学 3月4日から3月19日まで、本社の汐留地区在勤者
約1,300人を原則在宅勤務に
GMO
インターネットグループ
1月26日に約4,000人を在宅勤務体制へ移行し、
2月7日には在宅勤務の継続を含む長期化に
備えた体制へ移行
サッポロ
ホールディングス
3月2日から3月13日まで、工場以外の社員
約1,500人を原則在宅勤務に
アサヒグループ
ホールディングス
3月2日から3月15日まで、グループ会社の全社員
約1万3,000人を原則在宅勤務に

メーカーでは在宅勤務導入、工場勤務者は対象外?

在宅勤務の導入においては、工場などの生産設備を有する企業とそうでない企業で、対象となる従業員が変わる。工場内で働く労働者を在宅勤務にするということは、生産体制の縮小あるいは停止を意味する。そのため、工場で働く人を在宅勤務の対象者に含めていない企業があることは理解できる。

三井化学は3月4日から19日まで、本社の汐留地区在勤者約1,300人を原則テレワークでの勤務とすることを発表した。ただし、「他地区事務所および、各工場は対象に含まない」としている。

ビール大手のサッポロホールディングスとサッポロビールも、新型コロナウイルスの感染症拡大を防止するため、在宅勤務に切り替えられる社員を対象に原則テレワークを導入することを発表している。こちらもやはり工場勤務の社員などは対象外だ。

各社は、在宅勤務に切り替えなかった工場勤務者などについては、時差出勤やマスクの着用、手洗いうがいなどの徹底など、できる限りの感染防止に取り組んでいるようだ。

IT系企業は動きが早く、規模も大きい

工場や店舗などを持たないIT企業は、全社員を対象に原則在宅勤務とするところが少なくない。工場勤務の人と違って、パソコンさえあればどこでも仕事ができるからだ。打ち合わせなども、テレビ会議ソフトなどを使えば自宅などでも行うことができる。

日本国内では、IT大手のGMOインターネットグループが、1月後半には都心で働く従業員を在宅勤務にすることを発表していた。

米Twitterは、3月2日から全従業員を原則在宅勤務とした。オフィスに出勤しなければ完了させることができない業務がある場合は出勤を認めるが、それ以外は在宅勤務を「義務」としている。特に日本、香港、韓国の従業員は在宅勤務を必須とした。

ちなみにTwitter社の全社会議では、Googleのオンラインビデオ会議サービス「Google Hangouts Meet」が使われている。ジャック・ドーシーCEOが、Twitter上でそうツイートしている。

飲食業界 在宅勤務というより「閉店」で対応

メーカーとIT系企業では、在宅勤務の対象者に違いがあることを説明した。これは企業の規模とはあまり関係なく、IT系企業であれば小規模であっても在宅勤務を導入しているところが多いようだ。

飲食業界では、多くの人がホールや調理場で働いているため、全従業員を在宅勤務にするということはその店舗を休業することを意味する。そのため、「休業日」を設けて週末は閉店にしたり、開店している時間を短くしたりすることで対応しているケースが多い。

店を休業にすれば、売上はその分減る。しかし賃貸物件でレストランを経営している人は、家賃は毎月固定で払い続けなければならない。新型コロナウイルスによって飲食店は大きな打撃を受けており、一刻も早い終息が望まれる。

一定の売上減は避けられない企業も

対象者などは企業によって異なるが、新型コロナウイルスが終息するまでは原則在宅勤務にするという企業が増えてきた。ただし、通常時とオペレーションが変わることが避けられないため、テレワークで働いたとしても一定の売上減は避けられないだろう。

一方で、これを機にテレワークの導入が推奨されるようになれば、「働き方改革」が日本で進むことにもつながるかもしれない。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)/MONEY TIMES

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