ビル共用部の照明をLEDにするだけで、電気代を約7割削減できることをご存知でしょうか。とはいえ、決して安くない交換費用をオーナーが負担しなければならないため躊躇してしまうビルオーナーもいらっしゃるでしょう。
この問題を解消する方法のひとつとして、補助金・助成金の利用があります。LED化によってどのくらいコストを削減できるのか、また補助金・助成金を申請する際のポイントなどを解説します。

ビルの照明を蛍光灯からLEDに替えると電気代は約7割削減できる

照明
(画像=Antonio Gravante/Shutterstock.com)

ビルの規模に関係なく実行しやすい省エネ対策に、「共用部照明のLED化」があります。大塚商会によると、照明を蛍光灯からLEDに替えるだけで、電気料金を約71%削減できるそうです。

<ビル共用部で蛍光灯を100本利用している場合のコスト削減効果一例(※1)>

・全て蛍光灯の場合び電気(照明)料金 :月額約2万 5,200円
・全てLEDに替えた場合の電気(照明)料金 :月額約   7,140円

(※1)大塚商会シミュレーター利用:40W蛍光灯100本、1日の点灯時間15時間(25日稼働)、電力量単価16円/kWhで計算

この試算によれば、蛍光灯をLED照明に替えると10年間で200万円以上節約できることになります。

さらに共用部だけでなくテナント専有部もLEDにすると、「電気代が安く、環境にもやさしい」ことから入居者募集でのアピールポイントにもなります。

補助金・助成金を利用してLED化のオーナー負担を減らす

上記のようなメリットがあるビル照明のLED化ですが、照明器具交換のコスト負担が大きいというデメリットもあります。この問題を解消する一助として、ビルLED化などを支援する補助金・助成金の活用があります。

ビルLED化に関わる補助金・助成金には、大きく分けて2つのタイプがあります。

・タイプA:公募期間があり、審査した上で交付が行われるもの
・タイプB:申請期間があり、予算がなくなり次第終了になるもの

一般的に、タイプAのほうが承認のハードルは高くなっています。令和元年に公募が行われた補助金・助成金の例は以下のとおりです(※2)。

補助金の一例名称実施団体補助率など
タイプA(国の補助金・助成金)の一例電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金[1] [2]一般社団法人 環境共創イニシアチブ・中小企業への補助率1/3以内
・下限100〜~上限15億円
タイプB(自治体の補助金・助成金)の一例中小規模事業者省エネルギー設備等導入支援補助[3] [4]神奈川県相模原市・補助率1/3以内
・上限75万円
省エネ・省CO2設備導入事業補助制度[5] [6]大阪府茨木市・補助率1/3以内
・上限300万円[7] [8]

(※2)上記は一例。この他、各自治体が省電力に関する補助金・助成金を実施しています。

ビル照明LED化の補助金・助成金 申請をスムーズに進める方法

ビル照明のLED化に限りませんが、補助金・助成金をうまく使うコツは、適切な情報収集を行うとともに「期限に余裕をもって」申請することです。

公的な補助金・助成金の多くは、前年度と似た内容で継続されます(※3)。

・前年の情報をもとに、募集開始が近づいてきたら担当部署に電話で確認をする
・専門コンサルタントにヒアリングをしておおまかな情報をあらかじめ掴んでおく

収集した情報をもとに、なるべく早いタイミングで申請できるよう準備を進めることが大切です。予算上限に達し次第終了のもの・公募期間があらかじめ設定されているものの区別を問わず、申請内容に不備があった場合は差し戻されそのまま申請不可となる可能性があります(中には窓口担当者などのアドバイスを受けて修正できるケースもあります)。

なお、各種補助金・助成金は、毎年4~6月に募集されるものが多くなっています。

(※3)終了になる補助金・助成金もあるため要確認

ビル照明のLED化の補助金・助成金を申請する際の注意ポイント

補助金・助成金の申請は簡単な要件であれば自社でもできますが、複雑な要件のもの、特に国が行うものについては、専門家のアドバイスを受けて行うのが無駄がなく賢明です。まずは、普段取引をしているビル管理会社や電気工事業者などに相談し、サポートしてもらえるかどうか確認してみましょう。

ビル管理費用の見直しを考えているオーナー様は、この機会にビル照明のLED化を検討してみてはいかがでしょうか。(提供:ビルオーナーズアイ


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