(本記事は、山田 美樹氏の著書『外資系で学んだすごい働き方』プレジデント社の中から一部を抜粋・編集しています)

Issueを見つけだす力を磨こう

外資系で学んだすごい働き方
(画像=Ollyy/Shutterstock.com)

移動可能なスキルの中でも、大事なのが、「思考力」です。

思考力にはロジカルシンキング、ビジョンを描く力、優先順位を見抜く力、意思決定を下す力など、いくつかの要素があります。

中でもあらゆる業種を通じて求められるのが、「課題(Issue)を見つけだす力」でしょう。

Issue とは、一番本質的な課題という意味で、表面的に起きているトラブル=問題ではなく、まだ明らかになっていない、しかし重要な影響を及ぼす問題です。そのように誰も気がついていないけれども、何らかの対応、対処をしないと、今後に影響が出るような根本的な課題を特定する思考力を持つことが重要です。

不確実性が高く混沌としている現代は、さまざまなことがすごいスピードで動いていき、何が正解かを見極めにくい状況にあります。

単に上司からの命令に従って作業をこなしているだけでは、Issue を見つける能力は磨かれません。自発的に考える習慣を持ちましょう。業務やプロジェクトの課題を見つけ、解決策も提案していくといったことを習慣化していく必要があります。

テクニカルな思考力は、まずフレームワークで身につける

Issue を見つけだすアプローチにはさまざまなバリエーションがあります。

データや状況など目に見えるものから推測する方法、反対に「仮説思考」といって論理と直感を組み合わせて、表面的には明らかになっていなくても、「これが課題ではないか」と仮説を作っていく方法もあります。

テクニカルな思考力、戦略的思考や論理的思考は、型、フレームワークが数多く存在します。

フレームワークは、少しでも多く身につけておいたほうがよいでしょう。それぞれのフレームワークについては詳しく説明しませんが、古典とされるバーバラ・ミントの「ピラミッド思考」を始め、論理的思考のフレームワークについては書籍が多く出版されています。ぜひ、思考力の鍛錬を行ってみてください。

コンサルティングファームに勤めていた時、先輩から、「ロジック・ツリーを作る練習をしろ」とよくアドバイスを受けました。新聞の記事を読んだ後、ロジック・ツリーを書いては先輩に見せて、「ここが浅い」とか「段階が一段違う」などとチェックしてもらったのです。

新聞記事を読んで、その裏にある課題の仮説を自分なりに立て、それらを分解する訓練を1年くらい続けました。自分で記事を選ぶと、好きな分野ばかりに偏ってしまうので、ランダムに選んでいました。新聞を読みながら、パッと目に入ってきた記事、または電車の中でパッと目についた企業の看板や広告などを対象に、課題の仮説を立てることで、反射的に物事を構造化できるようになりました。

このように、どんな問題が起きた場合でも、課題を整理できるような訓練をしていました。できればチェックしてくれる人がいるのが望ましいですが、自分ひとりでも行ってみると、大分変わります。かなり思考力が鍛えられますよ。

外資系で学んだすごい働き方
山田 美樹(やまだ・みき)
1975年埼玉県行田市生まれ、行田市育ち。
上智大学比較文化学部卒業後、オックスフォード大学大学院社会人類学修士(M.Phil)を経て、欧州系戦略コンサルティングファームCVA、グローバル会計事務所Deloitteに勤務。その後、ロンドンビジネススクールにてMBAを取得し、組織・人事領域を専門とするコンサルティングファーム、ワトソンワイアット(現Willis Towers Watson)に入社。これまで、大手企業を中心に15年以上、100社以上の経営戦略を実現する組織と、個人のミッションを実現するキャリアの構築、ハイパフォーマンス人材の発掘・評価を支援。現在は、大手外資系ヘルスケア企業にて、社内の人事戦略立案、人事課題の解決に従事。共著に、『攻めと守りのブランド経営戦略』(税務経理協会)。GCDFキャリアカウンセラー(Global Career DevelopmentFacilitator)、認定レジリエンストレーニング講師。寄稿、講演 多数。同書が初の単著。

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