いまマラソンや駅伝の世界でナイキ製シューズによる記録ラッシュが続いています。これまで常識と言われていた「ランニングには薄底」の概念を覆し、厚底シューズによる好記録が連発しているのです。このままナイキ製のシューズがロードレースの世界を席巻するのでしょうか。日本勢のシューズメーカーは挽回できるのでしょうか。長距離ランナーの競技用シューズのトレンドを解説します。
箱根駅伝もナイキ一色。止まらない「ヴェイパーフライ」ブーム
箱根駅伝を正月の名物として、毎年楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。その箱根駅伝、今年は選手の足元に異変がありました。緑とピンクの靴を履いた選手を多数だったのです。彼らが履いていたのは、ナイキの「ヴェイパーフライネクスト%」。実に210人中、177人がナイキのシューズを履いていたのです。区間賞も10区を除くすべての区間でナイキのシューズを履いた選手が獲得し、まさに「ナイキ祭り」の箱根駅伝だったと言えるでしょう。
ナイキの躍進は箱根駅伝だけにとどまりません。東京オリンピックの代表を決めるレースである「MGC」においても、上位選手の多くはナイキのヴェイパーフライでしたし、世界記録保持者のキプチョゲ氏も、ナイキのシューズを履いて、非公式ではあるものの人類初のフルマラソン2時間切りを達成しています。あまりに好記録を連発したため、オリンピックでの使用の可否が検討されるほどになりましたが、ひとまず東京オリンピックでは使用できることが決まり、東京オリンピックでもナイキ製のシューズがロードレースを席巻しそうです。
ヴェイパーフライはこれまでのシューズと何が違うのか?
では、ナイキのヴェイパーフライは、これまでのシューズといったい何が違うのでしょうか。特徴を紹介しましょう。
最も大きな特徴は、ソールに内蔵されたカーボンプレートです。しなりの大きいカーボンプレートをソール素材に挟み込むことで、着地時に大きな反発力が生まれ、前へ進む推進力を生み出します。これにより、走りにスピードが加わり記録の短縮に貢献したといわれています。
また厚底によるクッション性も高さも見逃せません。ソールに使われているのは、ズームXと呼ばれる航空宇宙産業に使われる素材で、これがクッションとなり着地の衝撃を吸収。脚部を疲労から守ってくれます。さらに、撥水性の高いニット素材をアッパー部に使用し、保水率を下げるなど、ナイキが培ったテクノロジーが集約されています。まさに最先端のシューズであるといえるでしょう。この2月には、その進化版である、「アルファフライ ネクスト%」が発表され、話題を集めています。
ナイキに対抗できる?日本勢のシューズメーカーの動向は
このナイキの躍進を、他社は指をくわえてみているだけではありません。他社もそろってカーボンプレート内蔵シューズに参入しており、ナイキの牙城を崩そうとしています。
ミズノは「ウエーブデュエル」と呼ばれる、短距離走で培ったテクノロジーを長距離走用のシューズに搭載したモデルを発表しています。こちらは、ソールの中にウエーブプレートと呼ばれる、陸上スパイクで特有の跳ね上げ形状のプレートを入れた設計をしており、ソールの反発力を高めたシリーズになっています。
アシックスは「SORTIE」というモデルで、ナイキに挑んでいます。パワーをダイレクトに推進力へと伝達する構造を採用しており、デュオソールと呼ばれる、広い接地面による安定性と優れたグリップ力をもつソールを採用しており、ランナーの力を引き出すシューズを作っています。
また、2月14日には、カーボンプレートを導入したアスリート向けのランニングシューズを4月中旬に発売すると発表しました。名称は「メタレーサー」で、詳細はまだ公開されていませんが「高反発」がコンセプトワードとなっています。東京オリンピック・パラリンピックで選手が使用するには、4月30日までに市販されていることが条件であり、間に合うことになります。
このほか、アディダス、ニューバランスなどトップランナー向けのブランドもカーボンプレートを導入したモデルを発表、発売しており、今年の東京オリンピックは新モデルによる熱いレースとなりそうです。
五輪は「道具」にも注目したい
選手の最高の力を引き出すために、道具の進化は欠かせません。これまでも、道具はオリンピックなどの大型競技会に合わせて大きく進化し、夢の記録達成に貢献をしてきました。ナイキ厚底シューズの話題をきっかけに、東京オリンピックでは、選手の足元にも注目してみてはいかがでしょうか。(提供:JPRIME)
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