シュワシュワとした炭酸の飲み心地が美味しい「シャンパン」。スパークリングワインと同義と思われるかもしれませんが、実はシャンパーニュ地方で造られたスパークリングワインのみが名乗ることが許されています。その歴史やルールについて紹介していきましょう。

ブドウ栽培の長い歴史をもつシャンパーニュ地方

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(画像=Champiofoto/Shutterstock.com)

シャンパーニュ地方はフランスの北東部に位置しており、首都パリからは東に約140キロの場所にあります。夏と冬の気温の差は大きくなく、1年を通じた平均気温は11度ほどで、シャンパーニュ地方全体に平坦地が広がっています。

シャンパーニュ地方では1世紀ごろからブドウの栽培が始まったと言われ、特に修道院などでブドウの栽培とワインの生産が行われてきました。そして17世紀ごろからこの地方で作られる発泡性ワインが「シャンパーニュ・ワイン」「シャンパン」として世界的に知られるようになったと伝えられています。

「AOC」と呼ばれる規則により、その品質は守られる

現在はこのシャンパンについては「AOC(原産地統制呼称)」と呼ばれる厳格な規定が設けられています。産地がシャンパーニュ地方であることだけでなく、その規定をすべてクリアして初めて、シャンパンと名乗ることができます。

この規定ではブドウの栽培方法や醸造過程に関するルールが明記されています。主なものを紹介していきましょう。

ブドウの栽培地域

まずブドウの栽培地域が厳格に規定されています。シャンパーニュ地方で作られていることが絶対的な条件で、さらにブドウの栽培地域によって「グラン・クリュ(Grand Cru)」「ブルミエ・クリュ(Premier Cru)」といった格付けが与えられます。

ブドウの品種・栽培方法

ブドウの品種についても規定があります。シャンパンと名乗るためには、「シャルドネ」や「アルバンヌ」、「ピノ・ムニエ」、「プティ・メリエ」、「ピノ・ブラン」、「ピノ・ノワール」などのブドウを使用している必要があります。

その中でも特にシャルドネやピノ・ムニエ、ピノ・ノワールがシャンパン生産の主役となっており、シャンパーニュ地方においても多く生産されています。

このほか「植栽密度」や「剪定方法」も細かく規定されており、そのルールに従ってブドウを栽培していく必要があります。例えば植栽密度に関して言えば、樹と樹の間隔は90センチから150センチ、といった具合です。

ブドウの熟度や天然アルコール度数

ブドウの糖分などに関する規定もあります。ワインを生産するためには成熟したブドウを使う必要がありますが、ブドウの果汁1リットルにおいて糖分が143グラム以下の場合、そのブドウは成熟していると判断されません。

ブドウの収穫量に関する基本収穫量や上限収穫量も定められており、それぞれ1ヘクタール当たりで10.4トン、15.5トンと明記されています。

また天然アルコール度数については、最低度数が9%とされています。

フランスワインの中でも売上高1位。厳格なこだわりが品質を維持

こうしたブドウの産地や品種、製法に関する厳格なこだわりがシャンパンの品質を維持し、世界的なブランドであり続けさせていると言えるでしょう。

シャンパンはフランスのワイン・蒸留酒の中でも売上高で第1位となっており、フランス経済に対する貢献も大きいことで知られています。シャンパーニュ委員会によると、世界のブドウ栽培地のうちの0.5%がシャンパーニュ地方にあり、現在は直接雇用者として約3万人がシャンパーニュ業界で働いているとのことです。

この地方からのシャンパンの輸出先は190カ国にも上ります。もちろん日本もその輸出先の1つです。特別な日に楽しめるお酒としても知られているシャンパン。こうした歴史を知った上で改めてシャンパンを口にすれば、より味わい深く楽しめそうですね。 (提供:JPRIME


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