ロング・ショート戦略のメリット・デメリット
簡単に前述したように、割安株を買い同時に割高株を空売りすることで、中長期的な絶対収益を目指すのが、ロング・ショート戦略である。この戦略の収益の源泉は、割安株と割高株のそれぞれが適正価格に回帰するところにある。
この戦略のメリットは、何と言っても買いと売り両建てにすることで、市場変動による影響を軽減できること。このメリットを享受するために、同一市場、同一業種内で相対的に株価の高いものを売り、株価の安い物を買うのが一般的だ。また、これを違う市場同士、また違う業種同士で行うと、市場変動リスクは高まることになる。
この戦略のデメリットは、売買手数料などのコストがかさむこと。たとえば、普通に株式を取引する場合(買いのみ)は、1回の取引で買いと売りの2回の売買手数料だけだが、ロング・ショートの場合、4回の売買手数料がかかってくる。そして、市場変動の影響を受けない分、利益も比較的小さくなりやすく、大きなリターンを求める人にはデメリットになることもある。
ロング・ショート戦略の取り方
ロング・ショート戦略を実際に取るには、2つの方法がある。
1つは、自分で行う方法。自分でロング・ショート戦略を取る場合には、まず空売りをするために信用口座を開設する必要がある点に注意が必要だ。そのうえで、東証1部の同業種のなかから良い組み合わせを見つけ、割安株と買うのと同時に割高株を売る。その際には、買いと売りの金額をできるだけ同じ金額で行う。
その後、それぞれの株が自分の思う適正価格に近づいた時点で、2つのポジションの反対売買を行い利益確定する。もちろん、それぞれの株価が適正価格に収斂しないこともあり、そのときのために自分で損切りポイントを決めておくことも重要となる。
2つめは、投資信託を購入する方法。投資信託を購入することでロング・ショート戦略を取る場合、ロング・ショート戦略に特化した投資信託を購入する。以前に比べてロング・ショート型投資信託の銘柄数も増えているので、そのなかから自分にあったものを選べば良いだろう。
その際には目論見書をよく読み、どういった業種のどういった銘柄で行い、それにかかる手数料がどれくらいなのかを徹底して調べる必要がある。また、なかにはロングとショートに金額が均等ではなく、若干ロングポジションの方が大きくなっているものもある。そうしたファンドは市場変動リスクの影響を受けることになるため、それらをしっかり認識したうえで、実際の取引を行う必要があるだろう。
ロング・ショート戦略の応用
割安株を買い同時に割高株を空売りすることで、市場変動による影響を軽減しながら、中長期的な絶対収益を目指すロング・ショート戦略。市場変動に一喜一憂されるのを嫌う人や、少しずつだが確実に収益を出したい人に向いた戦略だと言えるだろう。そして、ロング・ショート戦略は、個別株同士だけでなく、インデックス同士などでも行うことが可能な戦略となっている。自分なりの組み合わせを見つけて市場変動を軽減し、楽しみながら投資を行ってみてはいかがだろうか。 (ZUU online)