家電量販店にはビックカメラやヤマダ電気など、全国各地に店舗を持つ有名な企業が多い。ここでは、売上や時価総額、経常利益などをランキング形式で紹介。業界が抱える課題や各社の経済的・経営的規模、特徴や強みなど解説していこう。

目次
1,「売上高」ランキング
2,「経常利益」ランキング
3,「時価総額」ランキング
4,「総資産額」ランキング
5,「店舗数」ランキング
6,「従業員数」ランキング
7,「年間平均収入」ランキング
8,家電量販店各社の特徴・違いをチェック
9,家電量販店業界が直面する課題と新時代の業界動向に注目

1,「売上高」ランキング――家電量販店の売上規模No.1はどこ?

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(画像=TK Kurikawa/Shutterstock.com)

家電量販店の売上高は、会社の規模を反映する指標だ。家電量販店業界の市場シェアと併せて、ランキングを確認してみよう。

家電量販店ランキングに使用された数値は、上場会社各社については直近の有価証券報告書(※)を、未上場会社についてはホームページの企業情報を参照した。

※直近の有価証券報告書の対象期間は、12月決算のビックカメラとラオックスは2019年1月1日~2019年12月31日期、8月決算のコジマは2018年10月1日~2019年9月30日期、その他の3月決算の企業については2018年4月1日~2019年3月31日期を指す

「売上高」ランキング

順位 コード 会社名 (連)売上高 市場シェア
1 9831 ヤマダ電機 1兆6,005億8,300万円 28.3%
2 3048 ビックカメラ 8,940億2,100万円 15.8%
3 2730 エディオン 7,186億3,800万円 12.7%
4 未上場 ヨドバシホールディングス 6,931億円 12.3%
5 8282 ケーズホールディングス 6,891億2,500万円 12.2%
6 8173 上新電機 4,038億3,200万円 7.1%
7 7513 コジマ 2,681億2,700万円 4.7%
8 7419 ノジマ
(デジタル家電専門店運営事業)※
2,180億8,500万円 3.9%
9 8202 ラオックス 1,295億2,000万円 2.3%
10 7618 ピーシーデポ
コーポレーション
404億4,700万円 0.7%
10社合計 5兆6,554億7,800万円 100.0%
※ノジマはグループ全体の売上高の50%以上を携帯電話販売店運営事業が占めているため、デジタル家電専門店事業のみの売上高を対象とした

売上高第1位は「ヤマダ電機」で、第2位の「ビックカメラ」の売上高の2倍近い。さしずめ、「ヤマダ電機」は家電量販店業界のガリバーという位置付けだろう。

「ビックカメラ」は第2位だが、第7位である「コジマ」が連結子会社であるため、「コジマ」の売上高を控除した場合のビックカメラの売上高は6,258億9,400万円となり、実質的には第5位の「ケーズホールディングス」の下になる。

第2位の「ビックカメラ」と1,754億円の差で第3位にランクインしたのは、「エディオン」だ。ただし、後に続く「ヨドバシホールディングス(ヨドバシカメラ)」や「ケーズホールディングス(ケーズデンキ、デンコードーなど)」とは僅差であることから、3社は同程度の事業規模と考えていいだろう。

2,「経常利益」ランキング――効率的に利益を出している家電量販店1位はヨドバシ

経常利益と売上高の関係は、以下のとおりだ。

「経常利益=売上高-売上原価-販売費及び一般管理費+営業外収益-営業外費用」

経常利益ランキングで上位にランクインするには、売上高が高いだけでなく、コストを抑えて効率的に利益を出すことが条件となる。家電量販店業界で、効率的に利益を出している企業はどこだろうか。

「経常利益」ランキング

順位 コード 会社名 経常利益
1 未上場 ヨドバシホールディングス 573億円
2 8282 ケーズホールディングス 385億3,900万円
3 9831 ヤマダ電機 368億8,900万円
4 3048 ビッグカメラ 258億7,100万円
5 2730 エディオン 188億8,900万円
6 7419 ノジマ
(デジタル家電専門店運営事業)※
115億9,000万円
7 8173 上新電機 110億300万円
8 7513 コジマ 71億6,600万円
9 7618 ピーシーデポ
コーポレーション
26億8,600万円
10 8202 ラオックス -36億8,400万円
※ノジマについては、デジタル家電専門店事業のみの経常利益をランキング対象とした

経常利益ランキングは、売上高ランキングとは順位がかなり変わる。

第1位がヨドバシカメラを運営する「ヨドバシホールディングス」、第2位は「ケーズホールディングス」、第3位が「ヤマダ電機」だ。売上規模では家電量販店業界の中堅に位置する「ヨドバシホールディングス」と「ケーズホールディングス」が、売上高では他を寄せ付けない「ヤマダ電機」よりも上位になっている。

売上高経常利益率を見ると、「ヨドバシホールディング」は8.27%、「ケーズホールディングス」は5.6%、そして「ヤマダ電機」が2.30%。ヨドバシホールディングスの利益率の高さが際立っている。

現在「ヤマダ電機」は収益モデルの改革に取り組んでおり、経常利益ベースで利益率改善の効果が表れてきた。これが、第3位という結果につながったと考えられる。今後の「ヤマダ電機」の経常利益に注目したい。

3,「時価総額」ランキング――市場における企業価値TOPはヤマダ電気

時価総額は、「発行済株式数×株価」で算出される。株価は、株式市場における上場会社への評価が加味されるため、投資家からの評価が高ければ時価総額も大きくなる。売上高や経常利益のランキングと比較しながら、時価総額ランキングをチェックしてみよう。なお、ヨドバシホールディングスは未上場会社なので、ランキングから除外した。

「時価総額」ランキング(2020年4月15日終値基準)

順位 コード 会社名 時価総額(百万円) 株価
1 9831 ヤマダ電機 4,929億1,000万円 510円
2 8282 ケーズホールディングス 2,719億6,000万円 1,155円
3 3048 ビックカメラ 1,554億900万円 826円
4 2730 エディオン 1,021億4,900万円 912円
5 7419 ノジマ 899億6,200万円 1,754円
6 8173 上新電機 535億4,600万円 1,867円
7 7513 コジマ 282億8,200万円 363円
8 7618 ピーシーデポ
コーポレーション
263億6,400万円 486円
9 8202 ラオックス 134億4,000万円 144円

時価総額ランキングについても、売上高同様に「ヤマダ電機」がダントツの第1位である。第2位は「ケーズホールディングス」、第3位は「ビックカメラ」。売上高とそれほど変わらない結果となった。

特に上位3社の上場株式の価値は、株式市場でも高く評価されていると言えるだろう。

4,「総資産額」ランキング――負債も含めたすべての総資産額もヤマダが1位

総資産額とは、負債と資本の合計額のこと。上場企業にとって、総資産額の大きさは企業の大きさの指標の1つでもあり、投資家からも注目される。

上場する家電量販店のうち、資産規模で上位になるのはどこだろうか。なお、未上場のヨドバシホールディングスは総資産額を公表していないため、ランキングから除外した。

「総資産額」ランキング

順位 コード 会社名 総資産額
1 9831 ヤマダ電機 1兆1,840億4,200万円
2 8282 ケーズホールディングス 4,101億5,600万円
3 3048 ビッグカメラ 4,004億5,100万円
4 2730 エディオン 3,559億4,700万円
5 8173 上新電機 2,073億5,100万円
6 7419 ノジマ 1,558億4,600万円
7 7513 コジマ 1,093億3,600万円
8 8202 ラオックス 853億2,700万円
9 7618 ピーシーデポコーポレーション 336億2,000万円

総資産額ランキングの上位3社は、「ヤマダ電機」「ケーズホールディングス」「ビッグカメラ」であり、これらは売上高ランキング、経常利益ランキング、時価総額ランキングのいずれかの上位にもランクインしている。

この結果から、家電量販店業界においても、総資産額の大きな企業は概して事業規模あるいは企業規模が大きい企業であると考えられる。ただし総資産額には負債も含まれるので、総資産額だけに注目するのは危険だ。

企業の財務状態の健全性を測る際、総資産額だけでなく、いくつかのキャッシュフロー比率や利益率なども併せて確認したい。

5,「店舗数」ランキング――業績に直結する物理的指標も首位はヤマダ

店舗の規模や販売効率なども関係してくるが、一般的に店舗数は売上に直結する。

家電量販店の店舗数ランキングは、以下のとおりだ。なお、ランキング内の店舗数は国内店舗のみを対象とした。上場会社については会社四季報(2020年3月16日現在)数値を、未上場会社についてはホームページ上の公表値を参照した。

「店舗数」ランキング

順位 コード 会社名 店舗数
1 9831 ヤマダ電機 678
2 8282 ケーズホールディングス 505
3 2730 エディオン 434
4 8173 上新電機 236
5 7419 ノジマ 205
6 7513 コジマ 142
7 7618 ピーシーデポコーポレーション 108
8 3048 ビックカメラ 44
9 8202 ラオックス 34
10 ヨドバシホールディングス 23

店舗数ランキングでも「ヤマダ電機」は圧倒的第1位であり、店舗数の多さが売上高第1位を支えていると考えられる。

ただし、これはあくまでも店舗数だけに着目したものであり、店舗の立地や規模などは反映されていない。

売上高第2位の「ビックカメラ」は店舗数ランキングでは第8位であり、売上高第4位の「ヨドバシホールディングス」は店舗数ランキングでは最下位である。これは、ビックカメラとヨドバシカメラの店舗展開が駅前の大型店舗を中心としているためだ。

また、セグメント情報を開示していない企業では、店舗数に携帯電話販売店運営事業などの家電販売事業以外の店舗が含まれている場合がある。よって店舗数ランキングの数値は、店舗展開のイメージとしてとらえるといいだろう。

6,「従業員数」ランキング――人的資源の多さは売上高に比例する

小売業の販売を支える従業員数の多さは、売上高や時価総額、店舗数などの指標とどれほどの関連性があるのだろうか。

ここで紹介する家電量販店各社の従業員数は、直近の有価証券報告書ベースで、グループ全体を対象にしたものである。なお、企業内のすべての事業で正規雇用されている従業員数と、臨時雇用従業員数を併記した。

「従業員数」ランキング

順位 コード 会社名 連結従業員数 臨時従業員数
1 9831 ヤマダ電機 18,853名 9,521名
2 2730 エディオン 8,761名 6,827名
3 3048 ビッグカメラ 8,742名 7,952名
4 8282 ケーズホールディングス 6,599名 7,528名
5 ヨドバシホールディングス 5,000名
6 8173 上新電機 3,876名 3,623名
7 7513 コジマ 2,570名 2,127名
8 7419 ノジマ 2,408名 2,057名
9 8202 ラオックス 1,851名 1,572名
10 7618 ピーシーデポコーポレーション 780名 998名

従業員数ランキングでも、「ヤマダ電機」「エディオン」「ビックカメラ」の3社が上位を占めた。これらは売上高でも上位に入っており、事業規模と従業員数にも一定の相関があると考えていいだろう。

7,「年間平均収入」ランキング――年収ランキングトップは「上新電気」

従業員の年収を見ると、利益をどれほど従業員に還元しているかを測ることができる。年収ランキングが、売上高や時価総額のランキングとどのような違いがあるかについても確認してほしい。

各社とも、直近の有価証券報告書で公表されている平均年間給与を参照した。ヨドバシホールディングスは従業員の年収を公表していないため、ランキングから除外している。

「年間平均収入」ランキング

順位 コード 会社名 平均年間給与
1 8173 上新電機 583万8,000円
2 2730 エディオン 520万5,000円
3 8282 ケーズホールディングス 505万5,000円
4 3048 ビッグカメラ 466万円
5 7513 コジマ 457万2,000円
6 9831 ヤマダ電機 443万5,000円
7 7618 ピーシーデポコーポレーション 441万3,000円
8 7419 ノジマ 436万7,000円
9 8202 ラオックス 358万3,000円

年収ランキングでは、これまでのランキングのいずれにおいても上位に入らなかった、大阪拠点の「上新電機」が第1位になった。第2位の「エディオン」とは年間60万円以上、月にして5万円もの差をつけている。

8,家電量販店各社の特徴や違いをチェック ヤマダ電気とビックカメラの違いは?

家電量販店業界の成長鈍化に対して、各社はそれぞれの得意分野を活かした新しい商品やサービスを模索し、他社との差別化を図っている。各家電量販店を特徴づけるサービスや新事業とは何か、以下でチェックしてほしい。

ヤマダ電機<9831>――「家電住まいる館」への業態転換を進める業界最大手

47都道府県すべてに店舗を展開している、国内唯一の家電量販店最大手。中国、シンガポール、マレーシアをはじめとするアジアを中心に、海外にも店舗網を広げている。

既存店舗には都市型、郊外型、小商圏型、地域密着型などがあり、地域の事情に合わせてスクラップ&ビルドを継続的に行っている。新規出店は、地域密着型の小規模フランチャイズ店舗が中心だ。

家電量販店市場の停滞を受けて、現在は子会社の統合や2018年から行われている家電、家具、リフォームを融合した「家電住まいる館」への業態転換も積極的に進められている。2019年には、経営再建中の大塚家具を子会社化した。

ビックカメラ<3048>――複数ブランドを展開、インターネット通販にも積極的

首都圏中心の駅前大型店舗「ビックカメラ」、関東地方を中心に全国に広がる「コジマ」、パソコン関連機器の「ソフマップ」ブランドを展開する家電量販店業界第2位。

多くの独立型携帯電話ショップの運営や、ビッグカメラ店舗内での酒類・飲食物を販売する「ビッグ酒販」、インターネット通販の「ビックカメラ.com」、「Amazonビックカメラ店」、「コジマ楽天市場店」など、多角的に事業を展開している。

家電コンシェルジュが高級家電を提案する新業態店舗を、日本橋三越に出店している。

エディオン<2730>――サンフレッチェ広島を運営する広島地盤の家電量販店

西日本や中部を中心に、全国に直営店舗網を持つ家電量販店中堅。店舗では、住宅設備の販売を強化している。多数あるフランチャイズ店舗に対しては、自社取り扱いの家電商品などを供給している。

好採算の自社ECサイト「エディオンネットショップ」の品揃えを拡充しており、その一環として配送業者を買収した。携帯電話専門店やソフト専門店などの各種専門店の他、J1のサンフレッチェ広島も運営している。

ヨドバシホールディングス<未上場>――石井スポーツ子会社化で家電以外の商品強化

1970年代に西新宿を拠点として小売業のヨドバシカメラを開業し、1980年代前半には家電販売に進出した家電量販店の草分け。2018年末からは酒類販売の開始、2019年4月にはアウトドア用品の「石井スポーツ」を子会社化した。家電販売の頭打ちに対する対策として、家電以外の取扱商品を強化している。

複合商業施設の運営にも乗り出している。2019年11月、日本最大級の複合商業施設である「LINKSUMEDA」がオープンしたが、これは日本最大の来店客数を誇るヨドバシカメラマルチメディア梅田との提携によって実現したものだ。

ケーズホールディングス<8282>――茨城発祥の家電量販店

茨城県水戸市発祥で北関東地盤の、現金値引きと郊外型店舗が特徴の家電量販店。北海道や東北が基盤の「デンコードー」を買収して、全国進出を果たしている。

ケーズホールディングスが国内家電メーカーや卸売会社などから一括仕入れした家庭家電商品などを、子会社である「ギガス」、「関西ケーズデンキ」、「デンコードー」などに供給して、一般消費者に販売する。従来のような郊外型店舗に加えて、都市型店舗の開発も模索中だ。

ノジマ<7419>――ニフティ買収でインターネット事業を強化

主な事業は「デジタル家電専門店運営事業」、「インターネット事業」、「キャリアショップ運営事業」、「海外事業」の4つだ。

ノジマの主要事業であるデジタル家電専門店の店舗展開は、神奈川県を中心に、近隣都県に集中的に出店するドミナント展開が基本だ。業務効率化を狙った電子棚札の全店導入が完了し、今後は接客とコンサルティング強化を推進する。

2017年4月に、インターネットプロバイダ「ニフティ」を買収し100%子会社化して、インターネット事業のサービス向上を図っている。

上新電機<8173>――eスポーツ施設開業で若年層の取り込みを狙う

1948年に上新電機の前身「上新電機商会」が大阪府波速区で創業され、1954年には他社に先駆けてパーツ類の販売業から家電量販業に転換した。現在は、北海道から九州までの地域で店舗を展開している。

上新電機と関係会社で構成されるジョーシングループは単一事業として、グループ内会社で家電製品の販売とそれに付帯する業務を行っている。グループには、連結子会社以外にもフランチャイズ契約提携先も含まれており、経営指導や商品供給を行っている。

2020年2月には若年層顧客の拡大を狙って、関西最大級のeスポーツ施設を神戸に開業した。

コジマ<7513>――ビックカメラの連結子会社、2社連名看板店舗を拡大

1963年に栃木県で創業した郊外型の中堅家電量販店。1970年代に多店舗化を図り、全国に店舗展開している。

2012年にビックカメラの連結子会社となり、ビックカメラとの商品共同仕入れやPOSシステムの一本化などを進め、「コジマ×ビックカメラ」の2社連名看板店舗を拡大している。「コジマ×ビックカメラ」店舗では2018年から酒類の販売を開始しており、ユニクロとのコラボ店舗もある。

ラオックス<8202>――中国市場とインバウンドに強み、免税店ビジネスを拡大

1976年にラオックスとして創業して以来、家電量販店として事業を拡大してきた。2010年以降は中国への積極的な市場拡大を進め、現在では中国からのインバウンド需要を狙った免税店ビジネスと、中国市場向けの貿易やEC事業に力を入れている。

ラオックスの事業はインバウント事業、グローバル事業、生活ファッション事業、エンターテインメント事業の4つに分けられる。単体としては、免税品販売事業を柱とするインバウント事業の比重が大きい。

新型コロナウイルスの感染拡大による日中間での出入国制限措置と東京オリンピックの延期によって、期待されたインバウンド需要が見込めなくなった。加えて日中の消費者心理の冷え込みもあり、営業赤字の継続や希望退職者の募集、パート・アルバイトの雇い止めなど、大きなダメージを受けている。

ピーシーデポコーポレーション<7618>――顧客に継続的な付加価値サービスを提供

1994年に「パソコン安い・安心・便利」をコンセプトに掲げて、横浜にコンピュータ専門店「PCDEPOT」1号店を開店。現在は、パソコン関連機器ユーザーやプレミアムメンバーに対して「ITソリューションサービス」を提案することで、商品、サービス、環境を継続的に提供することに注力している。

ピーシーデポコーポレーションの主力である、パソコン等販売事業の店舗形態には、「ピーシーデポスマートライフ店」、「PCDEPOT」、「PCDEPOTパソコンクリニック」の3業態がある。中でも「PCDEPOTパソコンクリニック」の店舗展開と、プレミアムメンバーシップ(月額会員制保守サービス)の提供は、同社の特徴である。

9,家電量販店業界が直面する課題と新時代の業界動向に注目

家電量販店業界は、旺盛な国内消費を受けて店舗網を全国各地に拡大した。しかし従来の家電量販店のビジネスモデルは、人口減少や消費者動向の変化によって路線変更を余儀なくされている。

少子高齢化、人口減少、実質賃金の伸び悩みなどによって、2010年ごろまで続いた家電量販店業界を含む小売業界の市場拡大は頭打ちとなり、近年は横ばいの状態が続いている。

2020年は、家電量販店業界では白物家電などの全国的な買い替え需要と、東京オリンピック開催によるテレビ需要が期待されていた。しかし実際は、2019年10月に消費税が増税され、個人消費が落ち込んだだけでなく、2019年12月には新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が始まった。東京オリンピックの延期が決定され、終息の見通しが立たないまま外出自粛の状態が続いている。

社会情勢の影響を受けやすい家電量販店業界では、新型コロナウイルス感染拡大と外出自粛が、各社の業績や財政状態に深刻な影響を及ぼすことになるだろう。家電量販店各社は、コロナウイルス禍と市場成長の頭打ちという厳しい状況だ。

しかし近年、家電量販店各社は「店舗の業態転換」「家電製品以外の新サービス提供」などの事業改革に取り組み、市場や社会情勢の変化に柔軟に対応できる体制づくりに努めてきた。こうした継続的な企業努力が奏功すれば、短期間での業績回復も期待できる。新時代の家電量販店や業界動向に注目したい。

文・近藤真理(フリーライター)/MONEY TIMES

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