多様性と言いつつも型にはめがちな組織
また、若年層の労働力が激減している今、女性はもちろんシニア層や外国人など、労働力人口は幅広く広がっています。
しかし、多くの会社ではダイバーシティの重要性を叫びつつも、共通の価値観を前提にした画一的なマネジメントをする傾向がありました。イノベーションを起こすのがベンチャーばかりだったのもうなずけます。
これからの「いい人材」が集まる会社の条件とは、刻々と変化する状況に柔軟かつスピーディーに対応し、社員の多様性を受け入れて、寛容性を示せること。そして、イノベーター人材が高い付加価値を生み出しつつ、アドミニストレーター人材が管理業務を支えるというバランスを保つことだと言えるでしょう。
人材流出を加速させるロールモデルの消失
そのような前提に立ったうえで、人材の流出を防ぐために現場レベルでできることはなんでしょうか。それを考えるうえでもう一つポイントになるのは、今は若手や中堅層の社員にとってロールモデルとなる存在がいない、ということです。
終身雇用・年功序列が当たり前だった時代には、上司は「いずれはこうなれる」という明確なロールモデルでした。つまり、若手は「輝く未来のために今を我慢する」ことができたのです。
しかし、時代の変化に伴い、憧れのロールモデルを失った今、「輝く未来」そのものも見えなくなっています。
そうした中で魅力のない会社には、若手は早々に見切りをつけるでしょう。特に、彼らは業務のスピードに非常に敏感で、意思決定が遅いために競合他社に負ける、といった経験を重ねると、無力感から辞めてしまうものです。
意思決定の遅さは若手のみならずイノベーター人材の流出にもつながります。スピーディーにPDCAを多く回せるほうが誰もが成長できることも明らかですから、業務のスピード感はこれからの会社にとって不可欠な要素と言えます。